第154話 おじさん2

「おじさんはどのくらい昔にこっちに来たの? 私は1年半前に引っ越してきたの」


「そうだな……もう、随分、前になるな………………13年かな。そのくらいだ。随分、経っちまったね」


「そうなんだ……」


あんまり、このネタ引っ張らない方が良い気がする。けんたろーには口止めされていたし、おじさんは何か話ずらそうだし、どうするか……ポケモンの話でもするか、私、あまり詳しくないけど………………


「お嬢ちゃん、お兄さんは好き?」


「へ?」


変な相づちが出てしまった。


「うん、大好き。とっても優しいから、でも、誰にでも優しいんだけどね」


「そうか、優しいんだね。そうか……」


おじさんは、噛みしめるように繰り返した。


「お兄さんは今なにしているの?」


小学生! って言っていいのかな?


「え~と、接客業って言ってたけど細かい話は教えてくれないからわからないけど、店長さんらしいよ」


「それは凄いな……立派なお兄さんなんだね。お兄さんはどんな顔しているの?」


「顔かぁ……6年生女子の間ではよく見りゃイケメンで通ってるよ。よく見りゃってところがミソだけどね」


「アハハ、小6女子は辛らつだね。結婚とかしてるの?」


「してないよ。彼女もいない。だって、女の子がお気に入りのお洋服着て見せてるのに言わなきゃ気が付かないんだから、これじゃダメだよ」


「そうなんだハハハハハ」


嬉しそうに笑うおじさんを見て、私は出来るだけ知っている事をお話してあげたいと思った。

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