第156話 パパ1
私の大好きなけんたろーはこういう人だ。おそらく、多分、けんたろーは何も言わず帰って行くに違いない。優しいけんたろーは絶対に目の見えない、この、13年前に自分を捨てた、パパを責める事はしない。
出来ない。
だって、ここに来た直後、おじさんが出てきた直後、玄関で立ち尽くしたけんたろーは、おじさんを一目見て、今のおじさんを理解して、涙を流していたのだから……
そして、
多分、
絶対、
けんたろーは寝ていない。
ずっと起きている。
全身をマッサージされながら、空白の13年を埋める方法を考えているはずだ。
でも、おそらく、私の推測では、けんたろーは何も言わずに、何もなかったように二人の人生が交差した事すら匂わせずに、けんたろーは、ここから帰るはずだ。
そんな、けんたろーを思って、私は、本人が語る事はない過去の話を、余計な事と知りながら、しようと思う。
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