第113話 リリィさん……俺に任せてくれないか1

「けんたろー、ありがとう……私の気持ちに気付いてくれて、私、パパが死んじゃて、ずっとお母さんを助けて来たけど、私ではどうにもできなくて、でも、お母さんがおかしくなってきちゃって、……困って、困って……誰にも言えなくて……言いたくなくて……でも、ありがとう」


リリィさんはおれの話を聞き終えると、安心したのか、また、しばらく泣いていた。俺の胸の中で。


え~っと、俺はロリには、きょ、興味ないんだからねっ。

なんのおまじないにもなりゃしないよな。


「リリィさん、俺は君を助けたい。だから、もう、一人で悩むようなことはしないでくれるかな? そして、出来る事は多分、もう個人では無理だと思うんだ。種明かしをすれば、俺は、最初、俺を学校に誘ってくれた君の学校の校長先生に何とかリリィさんを学校に連れ戻すように言われていたんだ。防波堤で会ったのは全くの偶然だったけどね。それで、ずっと君をどうやって連れ戻すかを考えていたけど、段々、それはどうでもよくなっていた。だって、本当のリリィさんが分かってきたから。リリィさんは学校に来てはいなかったけど、立派にリリィさんだったからね」


「立派にリリィさんって何よ」


少し笑った。

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