第112話 聞いて欲しい昔の事を

俺は、これ以上の事が出来るのか正直、手が無かった。これは既に、行政のレベルで、一個人の出来る事を超えていると思った。


「リリィさん、俺はリリィさんの気持ちに寄り添えると思うよ。だって、俺も君と同じ思いをした事が有るから、俺が小学校五年生の6月から12月までの半年間で俺は君と同じ思いで、街をさまよっていたから……」


俺の顔を驚いた眼をしながら、まだ、泣き腫らしている目を俺に向け、向き合ってくれたリリィさんに、


「聞いてくれるかな? 俺の子供の時の話を、そして、俺は君に寄り添える人間だと、その資格がある人間だと確認してほしい……」


俺はずっと遠い昔の話を、蒸し暑さは無くなった快晴の強い風が吹く白い砂浜の上で、真剣に向き合う俺の幼い大切な友人に向けて、少しばかり長くなる話を語りだした。

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