第103話 リリィさんの不登校1

「どうしちゃたの? 最近、防波堤に来てくれないね。さっき、お家にも行ったんだけど留守だったから、もしかしてと思って、リリィさんのお気に入りのここに来てみたんだけど」


「ストーカー行為で警察に通報するよ!」


いきなりの喧嘩腰、表情が見えない分、リリィさんの声の抑揚で判断するしかないのだが、やはり、それは俺を拒絶するように聞こえてくる。何かリリィさんの機嫌を損ねる様な事したかなと思いを巡らしては見るものの、最後に別れた花火の夜とお墓で偶然会った時、それ以外の関係が思い当たらないのも事実であった。


「リリィさん、そんな言い方、しないでよ。寂しいじゃない」


「………………」


「ねえ、防波堤まで不登校するの?」


「………………」


「何か俺がいけなかったかな? 教えてくれないと、何も出来ないよ」


「いいよ! これは私の問題だから、けんたろーに何か出来る事じゃない!」


普段のリリィさんからはあまり想像できない怒声を俺の背中で上げている。海からの風は、依然強く、時折、砂を巻き上げて肌に強く打ち付けている。

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