最終話 解説 それ並べ替えてみませんか問題
複雑な姿になってる一文ってありませんか。
なんかこう、いくつかのいろんな情報がまとめて入っちゃってるやつ。
18話と19話で助詞のことを、もんのすごくふんわ〜りとやりましたけど、それとはまたタイプが違うやつです。
わたしが上手に例文を作れなかったので、またしてもふんわ〜りとしたやつですけど、取り敢えずこの文章どうでしょう!
♧♧♧
設定:おからちゃんは枝豆くんに憧れてる。
枝豆くんはおからちゃんの面倒を見るのが好き。
枝豆くんは時たま人から頼られる。
①
運動が苦手なおからちゃんにとって、枝豆くんは足の速い憧れの先輩だ。
②
枝豆くんは白目を剥きそうな顔でおもしろがるプリンさんの横を通り過ぎ、おからちゃんの答案用紙を見た。
③
あの、では枝豆くんに桃をもぎ取って逃げたのを、もう一度お願いできますか。
♧♧♧
うーん。やっぱり前後の流れがないと分かりにくいかなぁ。もしかしたら、ぱっと見ではあまり違和感がないかもしれません。
これ、そもそもなにが問題かっていうと、これらの文章はですね、「つまりなにが言いたいのか、よく分からんのですけど?」ってなってるやつなんですよ。たとえば、伝えたい意味が正しく伝わらなかったり、誤解をさせたり、一度見ただけではすぐに理解ができなかったりするんです。
でもこれがね、ほんのちょーっと言葉を並べ替えると、もうちょーっとだけ意味が読み取りやすくなるんですよ!
いっこずつ見ていきましょう!
①
運動が苦手なおからちゃんにとって、枝豆くんは足の速い憧れの先輩だ。
まずはこれですね。
これは直してから説明したほうが分かりやすいかもしれません。
直すとこうです!
♧♧♧
運動が苦手なおからちゃんにとって、 足の速い 枝豆くんは 憧れの先輩だ。
♧♧♧
「枝豆くんは」と「足の速い」が入れ替わりました。
これは、どの言葉がどこにくっつくのかっていうのがポイントですね。
「枝豆くん」が「足が速い」んですよ。
「枝豆くん」が「憧れの先輩」なんです。
「足が速い」ことに「憧れてる」わけではないんです。
「運動が苦手なおからちゃん」が「足の速い枝豆くん」に憧れてるんです。ここの語順が並ぶようになってるのが伝わりますかね?
おう、わたしの説明の下手さが浮き彫りになっている気がするぅ。笑
②
枝豆くんは白目を剥きそうな顔でおもしろがるプリンさんの横を通り過ぎ、おからちゃんの答案用紙を見た。
これも先に直しちゃいましょう!
♧♧♧
枝豆くんは おもしろがるプリンさんの横を通り過ぎ、 白目を剥きそうな顔で おからちゃんの答案用紙を見た。
♧♧♧
「白目を剥きそうな顔で」と「おもしろがるプリンさんの横を通り過ぎ」が入れ替わりました。
これ、意味が変わったのが分かりますか?
直す前の例文だと、白目を剥きそうになってるのはプリンさんになってます。でも実はこれ、白目を剥きそうになってるの、本当は枝豆くんなんですよ!
これは、枝豆くんが白目を剥きそうになってる理由が、「おからちゃんの答案用紙」にあるんです。「プリンさんがおもしろがっていたから」ではありませんし、ましてやプリンさんが白目剥いてたわけでもないんです。誤読を誘発してるんですよ〜。
プリンさんの情報を間に挟むからややこしいことになっているんですね。
なんちゅうかこう、必要な情報同士を、なるべく近づけてあげると意味を取りやすくなりますよ。
③
あの、では枝豆くんに桃をもぎ取って逃げたのを、もう一度お願いできますか。
これも同じです。
♧♧♧
あの、では、桃をもぎ取って逃げたのを、 もう一度 枝豆くんに お願いできますか。
♧♧♧
「枝豆くんに」の位置がずれました。
「枝豆くんに」「お願い」したいんですよ。
「桃をもぎ取って逃げた」のを間に挟むからややこしいんです。
直す前の例文では、まるで枝豆くんが桃をもぎ取って逃げたみたいじゃないですか。違うんです、枝豆くんは、再現をしてもらいたいと頼られているのです。意味が全然違いますよね。
こんな不思議なミスせんやろ〜! と思いませんでしたか?
するんだな〜これが! 笑
必要な情報同士をできるだけ近くに持ってきてあげるのが、読みやすくするコツです。
どの情報がどこにくっつこうとしてるのかを、よくよく観察してみてくださいね。これ一文ずつを抜き出してもあんまり分からなかったかもしれませんが、文章のなかに紛れてると確実に違和感があるところなんですよ。いやでもごめんなさいね、わたしの説明が下手くそなばっかりに分かりづらいですね。笑
これらがどこら辺にあるかというと、あの、どこにでも出てきます。笑
セリフでもひょっ! って出てきますし、地の文でもひょっ! って出てきます。
でもこれは多分、自分では探しにくいタイプのお直しかもしれませんね。やらかしてるかも! っていう心当たりのある人は、一度お友だちにお願いして探して見てもらうといいかもしれません。お友だちいないもん! な人は、「ゆっくり音読」をしてみるのをオススメします。
周りの文章と一緒に続けてゆっくり音読してみると、「なーんか変な……気が……」っていう感じで発見できるかもしれません。でも多分、これは人に探してもらったほうがいいと思うなぁ。
さてさて、ちまちま続けてきた添削エッセイもこれで最後です〜!
他にも細かいところはあれこれあるんですけど、多分ここまでで出てきたことたちさえ気をつけることができたら、相当読みやすくなると思います!
では最後にご挨拶だけ。
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