第12話 人称と視点編 ブレてる一人称を探せ
やっぱ例文で見るのが分かりやすいですよね〜!
ってことで、はいこれっ! ちなみに毎度毎度、例文を考えるのが一番大変だったりします。笑
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・ぼくがおからちゃんに「好きだ」と告白すると、おからちゃんは少し照れたようにはにかんでから、こう言った。
「枝豆くんのことは好きなんだけど、でもわたし、実はコーンポタージュ先輩のことも好きなの」
おからちゃんはそう言って頬を染めながら、ぼくとコーンポタージュ先輩を天秤にかけた。
「うん、やっぱり、枝豆くんじゃないと思うの。枝豆くんはほら、あっさりしてるでしょ。でもコーンポタージュ先輩は、濃厚っていうか……。だからごめんね」
おからちゃんはそう言うと、ぼくを置いて先に帰ってしまった。
ぼくは悲しくなってしまって、思わず涙ぐんだ。コーンポタージュ先輩には敵わない。ぼくだって、本当は濃厚になりたかったのに。
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何となく書いてみたら、想像以上の問題作ができました。
さて、何ヶ所の問題を見つけられるでしょうか。ちなみにわたしは、自分で書いといて3ヶ所ほど気になってます。
まずは、人称と視点のはなしなので、視点ブレを起こしてるところを発見しましょう。これは皆さんすぐに分かるかもしれませんね。
ここです。
・おからちゃんはそう言って頬を染めながら、ぼくとコーンポタージュ先輩を天秤にかけた。
ちなみに、ぼく=枝豆くんは、わたしの創作の相棒でして、フルネームを『枝豆 太郎』といいます。まさかの苗字のほう。
わたしが小説で登場人物の名前を決める前は、すべてこの枝豆くんが名前を担ってくれているというだけの存在なので、彼はエスパーではありません。
だから、ここが視点ブレのところになるんですね。
一人称ではほとんどが、ぼく=枝豆くんから見た、おからちゃんの立ち位置、つまり、主人公(視点を持ってる人)の、目の前にいる人のことを書いてるときに、視点ブレを起こしてます。
ここまでは恐らく、大体の方がわかってるのではないかな? 問題は、だからそれを、どうすればいいのさってことですよね。
こうすればよいのです! そーい!!
・おからちゃんはそう言って頬を染めた。そして、まるでぼくとコーンポタージュ先輩を天秤にかけているかのように、うーんと考えだした。
コツは、ぼく=枝豆くん、もう面倒くさいわ、枝豆くんが見ているものを、そのまんま書くことですね。
枝豆くんには、おからちゃんが「天秤にかけた(ように見えた)」んですよ。ここの(ように見えた)のところを、見て見ぬふりをするから、視点ブレに繋がるのです。
本当に「天秤にかけた」かどうかが分かるのは、おからちゃんだけですからね。枝豆くんに分かるのは、「そう見えた」ってことだけです。
もっと具体的に描写をしてもいいですよ! ほっぺに手を添えてるとか、目を閉じてうなってるとか、眉間にシワがよってるとか、見えてるものを書けば書くだけ、おからちゃんの気持ちが鮮明になります。あまり多すぎるとクドいので、加減は必要ですけどね。
わざわざこちらで他人の心を書かずともいいのです。そのお話を読んでる人が、よほど独特な感性を持っているんではない限り、表情や仕草、顔色なんかで、人の考えていることはある程度の想像をしてくれます。そして、そうやって読んでる人におからちゃんの気持ちを汲み取ってもらうほうが、より深くおからちゃんの気持ちにも寄り添ってもらえるようになるのです。
書かなきゃいけないのは、枝豆くんの心ですよね。
枝豆くんがどう思ったか、枝豆くんにはどう見えているのか。そこを注意深く見て、それだけを書く。枝豆くんと同じ目になって見てみる、っていうのを意識すればいいかと思います。これはもう慣れなので、できるようになってしまえば、視点ブレを起こすことはほとんどないはずです。
さーて視点ブレはこれでいいかな。
あとふたつもやっつけてしまいましょう。
もうひとつはこれですね。
「何回『言った』っていうんですか問題」
例文を見てくださいよ。
・〜はにかんでから、こう言った
・おからちゃんはそう言って、〜
・おからちゃんはそう言うと、〜
短い文章のなかに、3つも同じようなことばっかり言ってますね。しつこいですよね。そんなに言った言った言わんでもいいです。
特に、セリフのあとの、たとえば
「枝豆くん、きらい」
と言った。
これ! この「と言った。」! これは嫌われるんですよ〜。例文にはちょっと上手く入れられなかったんですが、この「と言った。」だけのオンリー5文字は、とっても嫌われます、下読みさんに。
セリフなんだから、「言った」のは当たり前なんです。そんなこたぁわざわざ書かんでも分かるっちゅうの、なんです。無駄なことに文字数を使っておるぅ……なんですよ!
だから、「言った」って書きたい場合は、プラスアルファも一緒に書いてくださいね。
ここでも見えてるものをそのまんま足します。
・と言って、ぷいっとした。
・そう言うと、さも嫌そうに顔をそむけた。
・言って、急に逃げた。
プラスアルファを足してあげれば、状況も表情も分かりやすくなりますしね。
それにしても例文では「言った」が多いので、こういう場合はいくつかポーイ! しましょう。
最後にこれも気になりますよ。
「○○してしまいすぎ問題」
・〜先に帰ってしまった。
・ぼくは悲しくなってしまって、〜
これも「言った」と同じで、近いところで同じ言葉を連発してしまってますね〜。
リズムが悪くなりますし、さらっと流し読みしたときに引っかかります。流し読みじゃなくても引っかかります。
片方ポーイ! しましょう。
さてその3ヶ所を直しますよ! 上手くいくかな! そーい!!
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・ぼくがおからちゃんに「好きだ」と告白すると、おからちゃんは少し照れたようにはにかんだ。
「枝豆くんのことは好きなんだけど、でもわたし、実はコーンポタージュ先輩のことも好きなの」
おからちゃんはそう言って頬を染めた。そして、まるでぼくとコーンポタージュ先輩を天秤にかけているかのように、うーんと考えだした。
「うん、やっぱり、枝豆くんじゃないと思うの。枝豆くんはほら、あっさりしてるでしょ。でもコーンポタージュ先輩は、濃厚っていうか……。だからごめんね」
おからちゃんはそう言うと、ぼくを置いて先に帰ってしまった。
ぼくは悲しくなって、思わず涙ぐんだ。コーンポタージュ先輩には敵わない。ぼくだって、本当は濃厚になりたかったのに。
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この視点ブレってやつを、どうやって自分で発見するかですが、これには「1ヶ月放置プレイ」がもっとも有効かと思います。
何度も何度もページを開いてみてはいけませんよ!
1ヶ月、触らずに放置してください。
そんで、改めて見たときに、ちゃんと「視点ブレを探すぞう!」って意識しながら探してみてくださいね。
お次も一人称についてです。
章によって視点を持ってる人が変わる、いわゆる一人称多元視点ってやつを見ていきましょう!
そして、お星さまたくさんありがとうございます〜!!
ここでまとめてお礼させてください♡
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