第19話 本音で話すべきこと

 ダルケンさんとの話を終えて、私は自室に戻って来ていた。

 いつも通り、イルディンも来てもらっている。例によって、色々と話したいことがあるからだ。


「ふう、なんだか疲れたわね……」

「うん、そうだね……」


 ソファで並んで座りながら、私は呟いていた。

 疑いの目を向けられるのは、精神的にかなり辛かった。それによって、かなり疲れているのだ。

 これからも騎士達の捜査が続くなら、かなり辛い毎日になるだろう。そのことが、かなり億劫である。私はこれからの日々に耐えることができるのだろうか。


「特に、前半の二人がとても疲れたわ」

「それはそうだよね……」


 前半の二人に関しては、私を犯人だと決めつけてきていた。それは、今後も続いていくだろう。その心配もあるため、かなり疲れている。

 ダルケンさんに関しては、比較的普通の騎士だといえるだろう。ただ、あの人は私を疑っていない訳ではない。そのため、それ程安心できるという訳でもないだろう。


「はあ……」

「姉さん? 大丈夫?」


 私は、隣のイルディンにもたれかかった。

 それに対して、優しい弟は心配そうにしてくれる。

 正直、大丈夫ではないかもしれない。このまま、騎士達に疑われるのは、かなり辛いことである。

 だが、それを弟に言ってもいいのだろうか。姉として、弟に情けない姿を見せる訳にはいかない。あまり、弱音を吐くべきではないだろう。


「大丈夫、少し参っているけど、問題ないわ」

「……そうは見えないけど」


 私が誤魔化そうとすると、鋭い弟はすぐに気づいた。

 よく考えてみれば、イルディンは私のことをよく知っている。そんな彼に対して、誤魔化すことなどできるはずではない。

 そもそも、変に虚勢を張る必要もない気がする。イルディンに対して情けない姿など何度も見せてきたはずだ。今更、参っている姿を見られることを躊躇う必要などない。


「……そうね。大丈夫ではないかもしれないわ」

「姉さん……」


 どうやら、私は自分が思っているよりも疲労しているようだ。冷静だったなら、弟に対して虚勢を張ることなどなかったはずである。

 参り過ぎて、冷静な判断ができていない。こういう時は、素直に疲れていることを打ち明けて、弟に甘えるべきなのだ。


「イルディン、膝を貸してくれる?」

「膝? あ、うん。いいよ」


 私はイルディンの同意を得てから、その膝を枕にして寝転がった。

 この前とは逆に、私が膝枕してもらったのだ。

 弟の膝は、中々いい寝心地である。弟の温もりを感じられるというのがいい。その安心感があれば、ゆっくりと休めそうだ。

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