第16話 別の部署の騎士
私とイルディンは、感じの悪い騎士達と話し合った。
彼等は、明らかに私を犯人だと決めつけている。これから、絶対に苦しくなるだろう。
そう思っていた矢先に、ラガンデ家の屋敷に再び訪ねて来る騎士がいた。
その騎士は、私に話を聞きたいらしい。先程、既に聞かれたと応対しても、その人物は部署が違うと言ってきたようだ。
という訳で、私とイルディンは、再度騎士と対面していた。先程の騎士に比べると、目の前の騎士は感じが悪いという訳ではない。ただ、前の騎士達の感じが悪すぎただけなので、普通の人といえるだろう。
「何度も、申し訳ありませんね。ただ、こちらも部署が違いましてね。私は、ダルケン・ウォーファムと申します」
「はあ……」
比較的感じがいい騎士は、ダルケンというようだ。
部署が違うということだが、騎士団はそんなに複雑な作りになっているのだろうか。そこはあまり詳しくないため、よくわからない。
「率直に伺いたいのですが、アルメネア様は、ガルビム様に浮気されて、婚約破棄されたのですよね?」
「え? あ、はい……」
「当然、彼に対して怒りを覚えていた。それも、間違いありませんか?」
「そうですね……」
ダルケンは、特にメモも何も見ずに私に質問してきた。
その質問は、あの二人にされたことと概ね同じだ。だが、聞き方だけでかなり印象は違う。この人は、私を疑ってはいるものの犯人と決めつけている訳ではなさそうだ。
「事件当日、あなた方はこのラガンデ家にいたと聞いていますが、これも正しい情報でしょうか?」
「はい。この屋敷にいました」
「なるほど、つまりあなた達に犯行はできないということですね。もっとも、実行犯がいれば、話は別ですが」
ダルケンさんは、事件当日のことを聞いてきた。
私もイルディンも、それどころかお父様もお母様も、事件当日は屋敷にいた。よって、犯行を行うのは不可能だ。
もっとも、ダルケンさんの言う通り、実行犯が別にいるという可能性は否定できない。貴族の犯罪は、実行犯を別に立てることが多いので、私達が黒幕であるという可能性を追うことは、そこまで不思議なことではないだろう。
「さて、あなた達のことはわかりました。次に、アルメネア様にはとある人物について聞きたいのです」
「とある人物?」
「シメール・オーガティアという人物を知っていますか?」
「シメール様ですか? 知ってはいますけど……」
そこで、ダルケンさんの口からシメール様の名前が出てきた。
どうやら、ダルケンさんは彼女についても聞きたいようである。
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