第28話


 古代自然遺物リメインであるĒōsエオスの種と、ボイニクスの骨を加工した古代人工遺物アーティファクトであるフォークリングに魔力を注ぎ籠み、貯めに貯めたおかげか随分と神秘的な輝きをしはじめた!


 雪が降り続く曇り空だけど、窓辺で光に照らすと種は本当に宝石のように茶色くキラキラと輝く…… 琥珀アンバーみたいだな……


 ボイニクスの骨は何かの魔物の骨っぽいんだけど、見た目は金属で魔力を大分と含んだのか柔らかな桃色に変色した。


 「これ、もうちょいなんじゃね?」



 エオスってのが何かわからん!ボイニクスもわからん!

 何故か[鑑定]には詳しく出ないしワールの旅の日記にも記載が無いからだ。[※下に理由あり]

 


 レア度が高い物を知るには熟練度[極]では足りないのかもしれない…… それこそ[ゴッド]まで熟練度が上がらないとダメなのかも。


 ま、でも綺麗だし!指輪の能力も問題ないし、そんな事どうでもいいかな!


 でもね…… いざという時に『魔力が足りません』とかなると俺は後悔するだろう…… んー心配だし、もうちょい魔力を籠めてみよう!

 せめて雪が溶ける時期まで!

 うん、それがいい!

 

 春になってリーナリアロリ成人にサプライズで指輪を渡す事を考えて俺はニヤニヤする。

 

 「ヒロ!!」

 「お!おお!?」

 ドバコーンとコテージの扉を勢いよく開けてリーナリアロリ成人が帰ってきた。 

 

 ビクッとして、サッと[延命の指輪]を両手で閉じ込めて隠す。

 

 「…… ヒロ、何か隠した?」

 「いや?」

 「ウソ!隠したでしょ?エッチなものじゃないでしょうね?」

 

 んわ!めっちゃ力ある!ギチギチとリーナリアロリ成人が腕力で俺の手を開こうと…… [収納]!

 シュン…… !と手の中から指輪がストレージに戻る。


 「何もないわね…… ストレージに隠した?」

 「もともと何もないって!それより何か用事があるんじゃないの?」

 「あ!そうだ!スノーエンドの町長さんがヒロと話がしたいんだって!」


 

 「フォヒュッ!」

 俺は思い当たる事があるから変な声を出してしまう。どうやってこんな声出たんだ!?


 「…… なに?町長さんと何か悪い事でもするの?」

 「いやー?何だろうか?」

 なんとか誤魔化(ごまか)そうとするが如何(いかが)だろうか?

 

 悪い事ではないです!

 可愛いお姉ちゃんとジュースでも飲んで楽しく会話とかできないかなぁーとかチラチラと町長さんに話しただけですよ!


 「ヒロさんは町の恩人ですし、若いですが…… その見目(みめ)もよろしいです。あのコテージも即金で支払いするお金もあるようで…… すぐに女の子は集まると思いますよ」

 

 俺、そんな町長さんの言葉信じてた!

 俺、楽しみにしてた!


 町長マッチングサービスに期待していた!!


 しかしだ!うへへ…… と想像して笑ったのが悪かったのだ!

 

 「…… リーナリアロリ成人なんで付(つ)いてくるの?」

 「…… なんとなく」


 キュッ…… リーナリアロリ成人が俺の上着の端をつかむ…… 動かない…… だと?


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 うん、これは…… ダメだなぁ……

 「リーナリアロリ成人、もしかしたら町長さんは何か頼みたいのかもしれないし…… 」

 「もしかして…… ってなぁぁ〜に?」

 「うひっ!」


 あ!上着が破れた!

 す、すみません!一緒に行こう!リーナリアロリ成人


 こうして俺はまた、お姉さんと遊ぶ機会を逃すのか!?ちくしょう!

 


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




 町長の家に到着すると、スグにメイドさんに執務室へと案内される。

 女の子とのマッチングの話をしないでくれよ!?


 そう願いを込めて町長、リーナリアロリ成人、町長と目をやりバチンとウィンクをする。


 おい!首を傾(かし)げるな!察してくれ頼む!


 そう思いながら執務室の来客用の椅子へと座ると、町長は気まずそうに話をはじめた。


 「え!?スタンピードがまた!?」

 「はい…… 今朝、スノーエンドの冒険者ギルドで依頼を出したんですが…… また我が町から東に30キロの所で魔物がウヨウヨと集まっているようで…… 」


 ベイコクさん倒したばかりなのに、またスタンピード。どうなってんだよこの町は今までよく存続できたな!?

 それに何で俺?依頼を出して冒険者に対処してもらいなさいよ!と遠回しに言ったんだけど、、


 「スノーエンドには今、まともに戦える冒険者は少ししかいません。衛兵も…… です」


 冒険者は行雲流水(こううんりゅうすい)、雲や水のようにどこにでも流れていく者たちだ。

 雪が積もる田舎町であるこのスノーエンドより、都に行き仕事を探すか、大分と前の秋の時期に、中堅でまだ体力がある冒険者なんかは基本的に冬でも魔物討伐などの仕事があるロームン帝国に南下していくという。


 「まぁ、この町にいても冒険者に振り分ける依頼(クエスト)は限られています。金が無く雪の中で凍え死ぬよりかは…… と優秀な冒険者は出てしまうのです」

 それに兵士もこの町の統治者と共に都市に移動してしまう。


 残るのはこの町に実家や家族がいる冒険者や兵士だけ……


 「え?詰んでません?」

 「はい、かなりヤバいです」

 「うーん…… 」

 リーナリアロリ成人は神妙に話を聞きながら、うんうんと頷(うなず)いている。


 この話の流れはアレだ。よし…… よし!町長プレゼンツ、マッチングエロエロ作戦はリーナリアロリ成人には隠せたぜ!


 「ヒロ様、どうか手を貸して下さいませんか?」

 「えー?」

 ちなみに、冬の間は仕事をしたくないから冒険者証は出していない。あくまでも俺たちはお金持ちの旅人として認識されている。


 「ヒロ…… 」

 「はいはい、いいですよ。でもちゃんと依頼して下さいね?ただ働きは嫌なんで」

 リーナリアロリ成人、ヒロ何とかならない?って言おうとしたでしょ?リーナリアロリ成人?ぶへへへ先に言ってやった!悔しい?悔しい?痛たたた!脇肉をつねらないで!


 …… マジで…… マジで止めて…… 肉が外れちゃう。


 「ホッ…… 良かったヒロさんに受けて頂けて良かったですよ」

 「まぁ、冬の間はお世話になりますから」

 「はい!それとですね、ちゃんとヒロさんが希望している若い女の子とのマッチングもしっかりと進めていますので、今回の依頼が終わったら楽しみにしておいて下さい!」


 …… ピキッ!

 「ひぅっ!」

 リーナリアロリ成人が俺の手をキュッと握る…… 握り潰れるからぁ!

 「女の子との…… マッチング?」

 「ごめんなさい不埒でした許してください!」



 この後、俺がリーナリアロリ成人にどうされたかは…… ご想像にお任せします。



 という事でスタンピード殲滅戦の第二ラウンドとなった!!

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