第18話
「はい?えっと妹さんなんですよね?」
「はい、リーナリアは妹です」
「…… なんで妹なのにヒロさんより年齢が上なんですか?」
「いや見た目…… 」
「それは分かりますが、リーナリアさんは人属ではないハーフの亜人ですよね?なら多くは見た目と年齢は比例しませんから…… 」
この無意味な問答は冒険者ギルドでの一幕である。
リーナリアをギルドに登録させようとしたら、家族なのに年齢がおかしい事やリーナリアが亜人である事に疑問を持った受付に難癖をつけられているのだ。
「…… 義父様。」
「うむ、ヒロはああであるから、な」
いや、ちょい待ってよ…… と抗議するも無駄で我が家の構成は
父→
姉→
弟→俺
という絶対に納得できない感じに収まってしまった。
「なぜだ!」
「坊やだからさ」
ふふふと自分のFランク冒険者証を持って
「アタイと結婚したら年齢の上下が関係なくなるよ!ホラ教会はこっち」
「ノー、アイム ノット ペドフィリア!」
「むう…… 」
パタパタと寄ってくる
また骨折りサブミッションホールド地獄は嫌だよ俺は!
「ねぇ、ヒロに働く必要ってあるの?」
「んぁ?働くっていうか…… 人との繋がりがあるし、遊びみたいなもんだから楽しいじゃん」
「アタイにはよく分からないわ」
─────昨日の夕飯の後に、
「あ…… あ…… お金が…… こんなに…… 」
まるで産まれたての子山羊のようにプルプルした
聖女の回復魔法の威力をまた身をもって知る事になった。流石の
「ごめんなさいヒロ…… 」
「お…… おう…… (ビクビク)」
「こんなにお金があったらアクセサリーとか服とか買えると思ったら興奮しちゃって…… 」
「(ビクビクドキドキ)ああ、そうか…… 今の服しか渡してないもんな…… ゴメンね。じゃあコレをあげるから落ち着いて…… 」
ざっとアクセサリーと服を幾(いく)つかストレージから出すと
「きゃー!!」
と叫び
「まあ、金で買えない物を欲しがる道楽と思ってくれ」
「あい、分かった」
武将のような受け答えをしてコクンと頷(うなず)く
こうしてると本当に小さい子なんだよなぁ……
「うーん、これかな?親父どう思う?」
「む、夫婦で選ぶがいい」
「…… 殴るぞ」
「む、やるか?相手をしよう」
「すみません嘘です。この仕事を受けます」
ムキンと筋肉をするな
右に大男(筋肉)、左に実害ありの暴走幼女(種族的筋肉)…… これ、マジで俺のレベルを上げるか装備を整えるかしないと軽はずみに死ぬな……
不意にそんな恐ろしい現実に気付き震えながら[遺跡発掘の護衛]の依頼書をギルドカウンターに持って行った。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「こんにちはー冒険者ギルドから来ました」
「…… 親子連れじゃと?」
町から5キロの場所に遺跡はあった。
元々、発見はされていたけど近年になって新たな区画が見つかりロームン帝国学術会が再発掘の用意を始めたそうだ。
今回はその
小規模な発掘隊と2名の騎士だけでは不自由があるかもと急遽ギルドに依頼を出したらしい。まぁ、俺たちは護衛と言って出ているけど
「おぬし子供を連れてくるとは何事じゃ」
「む、いや2人とも冒険者であるが…… 」
「それはいい、だがまだ成人前の子供じゃろ?まずは薬草採取や小物の魔物退治して経験を積ませるというのが親のやるべき事じゃろう?怪我でもしたらどうするんじゃ?」
「む、む、ヒロキ…… 」
…… 驚いた。久々にちゃんとした事を言う大人に出会ったような気がする。
先遣隊のリーダーらしきお爺さんに
「チッ!」
「ガキのお守りまでは聞いてないぞ」
…… あーっ…… 騎士がブツブツ言ってるなめんどくさい。
こういうのはやる気を無くすからやめて欲しい。
まあ、でも分からんでもない。未知の危険地帯かもしれない場所に子供に見える2人を連れて行くのはリスク高いな。
怒らんとこ。今回はハズレの仕事っぽいな…… とにかくポーターの仕事しておこう。
こらこら、学者のじいちゃん達
こうして、イライラする騎士2人と学術会議の爺ちゃん4人にウチのメンバーを加えた9人で遺跡の入り口にある階段を降りていく。
まぁ…… あれだ、じいちゃん達は絶対に守ろう。そうしよう。
─────────────────────
<i537241|25380>
カクヨムでは画像の挿入が出来ないみたいです。
知っている方は知っいると思いますが、
竹内まりやさんのプラスティック・ラブ
という曲のジャケットのトレース絵なのでテキトーに「あーこんな感じね」と思ってもらえたら。
プラスティック・ラブは名盤なのでぜひ夜か雨の日に聴いてみて下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます