下妻氏には彼女がいる。彼はいつもあれこれ考え、考慮し配慮し遠慮しつつ彼女と接しているのだが……大正解だったはずの選択はいつも大ハズレ。彼はまたその度にひとつずつ理不尽な真実を学んでいくのであった。
というわけで、下妻氏が彼女とのお付き合いの中で噛みしめる無情やら無常、その果てに得る小悟(あるいは諦念)を描き出したこちらの掌編集、ひと言で表すなら「あー」ですね。
そも、男子と女子は思考プロセスが異なるもので、同じ問題を解けど解答はズレるもの。しかも正解を片方が握っているとなれば、それはもう大変なことになるわけです。
下妻氏は当然、そういうことを弁えていますので、全力で合わせたりごまかしたりなんだりかんだりがんばるのですよ。そのがんばりの積み重ねが、彼女の理不尽(あくまで男子からすれば、です)でジェンガみたいに崩落する逆カタルシス! 涙なしには読めません。
コミカルだけれどとことん深い真・恋愛劇、ぜひご一読いただき、愛とはなんぞやを知っていただきたく!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)