ムダ毛の処理に触れるな!

 サボテンの花は愛情を注がないと咲かないという。



 買ってよかったダブルベット広い広い。というよりシングルで2人は狭すぎた。


「いいねダブルベット。フカフカだし」


「そうだね。お値段以上のところで買ってよかった」


 彼女ちゃんもご満悦。これでしばらく喧嘩する事もないだろう。出費は痛かったが平和には変えられん。ラブアンドピース万歳。心穏やかなる日々が何より尊いのだ。よっしゃテンションしてきた。もう抱きついちゃお。えい!


 ジョリ。


 指先に伝わる感覚。触った場所は恐らくスネ。あー……ね? なるほどなるほど。そういう事ね。ま、しかたないか。ま、しかたないですよね。ま、ね?


「……今、スネ毛処理してない女とかないわーって思ったでしょ?」



 いかんこれまずいやつだ。



「え、いやいや。思うわけないじゃん」


「はい嘘ー! さっき絶対、あー……ね? って反応しましたー!? 確実に思うところある感じでしたー! なんなん!? この頃忙しくてちょっとお手入れできなかっただけじゃん! それで駄目女心扱いされるの!? 酷くない!? やっぱ男ってクソだわ!」


 次から次へと妄想でよくもまぁそれだけ言えるな。だがそれも悲しみ故。これは世の男性代表として怒りを鎮めねばならぬだろう。


「ごめん。確かに、あー……ね? とは思ったけど、それはなにも非難する感じじゃなくて、最近疲れてるんだなーとか、大変だなーっていう感じの、あー……ね? だから、そんな女性軽視的なやつじゃなくって……」


「あーごちゃごちゃうっさ! いいですー! 今から剃ってきますー! トゥルトゥルの茹で卵みたいにしてきますー! そしたら次は下妻氏の番だかんねー!? 生えっぱなしのスネ毛全剃りにしてもらうから! これがホントの剃りっどスネーク! ってやかましいわ!」


「……」


 剃りっどスネークはそんなに上手くないぞ喉元まで出かけたがなんとか抑え込む。あ、本当にバスルーム向かってった。もう24時だぞ。勘弁してくれ……






 その後、茹で卵みたいにトゥルトゥルのスネとなった彼女に強要され、本当に俺までスネ毛を剃るハメとなった。しばらく、短パンは履けないな……






 本日のQ&A


 Q.彼女のスネ毛が気になります。どうしたらいいでしょうか。


 A.まずてめーが毎日処理してんのか? 人に求める前に自分でやってみろ。カスが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る