食事を蔑ろにするな!

 夕食を決める際迷ってしまうのは貧富の差なく万人に与えられた使命ではなかろうか。




「今日のご飯何にするー?」


 彼女ちゃんからの問い。「何にするー?」と言われてもこれといって思いつかん。まぁ、無難なところを置いていこう。


「カレーとかでいいんじゃない?」


 カレーと焼肉とラーメンはワイルドカードである。とりあえず言っておけば候補には残るだろう。さて、相手の顔色は……あれ?


「とかで? いいんじゃない?」


 あっ。と思ったがもう遅い。みるみると立ち上る怒気のオーラにドキドキ動悸。要求心案件である。


「何その投げやりな態度! 私なんかとのご飯はなんでもいいっていう事!?」


「いや、そんな事は……あくまで提案というか……」


「提案!? ふぅーん! 下妻氏は案を提供する際に、いっんじぇぬ? なんて言い方するんだー!」


「いや、そんな風に言ってないし……」


「言ってましたー! 確かに、いっなぇんじゅね? クァリーでんっぬでぃね? って言ってましたー!」


「変わってるじゃん……」


 耳腐ってんのかこいつ。


「なんなんさっきからー! 変わってるとか変わってないとか変わってないとか変わってるとかー! 一番の問題は下妻氏が私に投げやりな対応をした事ー! それ故にー 私は怒っているー! 憤激! 憤怒! 憤死! フン族!」


 フン族……あぁ、怒りのあまり血管ブチ切れてアッティラみたいに鼻血出して死ぬぞっつってんのか。教養のレベルたけーな。ただ、そんな事よりだ。


「いいじゃん……作るの俺なんだから」


 そう。夕食当番は、基本俺である。


「……確かに」


「それで、夜なに食べたい?」


「……カレー」



 双方納得。結局カレーを作った。





 本日のQ &A


 Q.彼女から「ご飯何にする?」と言われたらどうすればいいですか?


 A.「何にしよっか?」とか言って一緒に悩むふりをしろ。どうせ相手が決めるから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る