再会した日

「うぐっ!!…………な、なに?」


衝撃と一緒に目が覚めた。何か重くて大きな、丸太みたいなものが落ちてきた衝撃。


「え……。人間?」


?!

目の前には人間の男がいる。

死んだように私の胸に突っ伏していて、すごく重い。

それに私より大きい。大人の人間だ。


気を失う前に一体何が?


思い出せ思い出せ早く思い出せ。

人間が動き出したら面倒だぞ。


「ヂヂ!!」


いつの間にか頭に乗っていたチクリの鳴き声をきっかけにして、出来事が頭に浮かんでくる。

私は、人間に襲われたんだった。

いつまでもいつまでも私を追いかけてくる嫌な奴だった。

私はもう魔法を使わないまま冬をやり過ごすつもりだったのに、人間がしつこいせいで使ってしまったんだ。

そこからの記憶が無い。

ああ、夢の私が言っていたのはこういうことか。魔素が尽きて気を失っていたのかもしれない。

……じゃあ、どうして人間がここに??

絶対に私のことを追って来られないように森の外まで吹き飛ばしたのに。

どこかで引っかかった?

─いや、それでもぶつかった衝撃で気を失うはず。

とても強い人間だった?

─そんなはずない。しつこくて鬱陶しいだけで弱っちい人間だったから。

もしかして、別の人間?

─そうだ、きっとそうだ。

でもどうしてこんな所に人間がいたんだろう。


「ぅ……。」


うわうわうわ人間が起きた。

こいつどかして逃げないと!!


「ぁ゛っ……。」


どうしたんだこいつ。

また倒れた。


毛を掴んで持ち上げて顔を見てみる。


「アロエ……?」


「ん゛っ。」


あっあっびっくりして手離しちゃった。

まあ血出てないし大丈夫かな。

それよりアロエはどうしよう。

そもそもなんで倒れてるんだ?

あれ?

そういえば私はどうして目が覚めたんだ?

魔素が尽きたんだから、アロエみたいに倒れてるはずなのに。



あ。



そうか。

私がアロエの魔素を全部取り込んじゃったのか。だから私が目覚めて、アロエは倒れた。

初めて会った時みたいに、私のこと助けようとしたのかな。

ちょっと悪いことしちゃったな。

まあ、アロエには助けてもらったし、今回は特別に家まで帰してやるか。


「アロエ!運んでやるから起きろ!ほら起きろ!」


「ヂヂヂ!!ヂチュ!!」


起きないな。何回叩いても起きない。

チクリもつついてるのに。

あっ、私が触るから魔素が尽きちゃうのか。

え……このまま引きずって連れていかなきゃいけないのか?

持ち上げられるかな。


「えっ、お、重っ!!!」


よし、諦めよう。

頑張ってもどうしようもないことはある。

まあ、目が覚めるまで、魔物に食われないように見張っててやるくらいはしてやるか。

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