VS鬼・ニ

【仙気流・断空鉄槌打ち】【仙気流・乱れ十字蹴り】【仙気流・正拳100連突き】

『ハッハッハやるではないか、どれも素晴らしい攻撃だ』


鬼と対峙しておそらくもう1時間は経つ。鬼の再生能力はまさに化け物じみていて、頭を潰そうが心臓を貫こうが体を半分にしたって再生しやがる。しかも、

『フハハ、それ我もお返しだ』

「ぐうっ、がはぁっ」

鬼のその太すぎる腕から繰り出される攻撃はその全てが一撃必殺技級。動きはそこまで速いわけでもなく、攻撃も通らないわけじゃない。だが、防御をかえりみずこちらの動きに合わせてのパンチは正にカウンター。戦闘開始から使い続けている闘気纏もそろそろスタミナ切れもあってか、今までなんとか躱していた鬼の攻撃についに被弾してしまう。


『フハハ、やっと当ったな人間。素晴らしい戦闘力であったが我のパンチ一つで、もう動けなくなるとはやはり強者でも所詮は人間、脆弱なものだな』

鬼のパンチでバラバラになりそうな身体を必死で繋ぎ止め、ダンジョンの壁に当たるまで吹き飛び、なんとか体制を整え闘気纏の効果で身体を回復させる。


鬼の戦闘スタイルはその化け物じみた再生能力に依存したカウンター攻撃。速さはないがとてもシンプルで、故に高速移動からの近接攻撃がメインの俺の戦闘スタイルとは相性が悪すぎる。


『どうだ?我の下に付く気になったか?』

鬼がそんなことを言いながら近づいてくる


『貴様では我には絶対に勝てん。戦闘力は認めるが魔力をあまり感じられないからな、魔法の一つでも使えたらあるいは、状況は変わったかもしれんな?フハハハハ』


魔法…?考えろ、鬼は今は力を貯めていると言っていた。外は魔素が薄く、ダンジョン内は濃いからと。…魔素とはなんだ?魔の素、魔の力。

鬼は言った、俺には魔力をあまり感じられないと、逆に考えるなら普通なら魔力を感じられるということなのか?魔素…魔の素…未知の力…


『考えは纏まったか?人間。これが最後だ、我の下に付け。従わぬならば死あるのみだ』


あの日から気を格段に感じ取れるようになった。

あの日以降化け物共が現れるようになった。

あの日から世界には魔素があった?

感じ取れなかっただけでいつも傍には魔素があった?

ここはダンジョンと呼ばれる場所で魔素が濃い場所。

ならば俺のやることは一つ。


信じる…



『返答は無し。残念だ、1年前のあの時せっかく見逃して力を付ける時間を与えたというのに、待った甲斐がなかった。もういい、興醒めよ。死ね』


ズガァーン

「残念ながら俺にはまだやる事がある。ここで死ぬ訳にはいかないな」


鬼のトドメの一撃を躱し鬼の頭を飛び越え広間の中央へ戻る

「やはり俺の直感は正しかった。俺はここに来て正解だった。」


仙気流・闘気纏改め【仙気流・闘魔気纏】闘気纏に更に魔力を合わせる事で全ての効果が向上する。

今や世界には魔素が溢れている。目に見えないだけで空気と一緒、そこに有る。俺は気づかなかっただけで魔素を取り込んでいたんだ。飯の時も、修行の時も、化け物を倒した時も、俺の傍にはいつでもそれがあったんだ。

そう認識した瞬間、今まで蓄積されていた魔素が一気に俺の力へと変わる。魔力へと変わる。


『おぉっ!?まさかこれ程とは!』

サバイバルの基本は有るものなんでも使うこと。今までの修行で手に入れた気とあの日から蓄積してきた魔素を融合、コントロールする

【仙気流・闘魔剛気拳】

『ぐはぁっ!?痛み?この我が痛みだと?』


鬼は今までの余裕が消え去り、怯むように焦りだす

見れば俺の攻撃で弾け飛んだ脇腹の再生が今までよりも非常に遅くなっている


『がっ、まっ、まて、待つのだ人間、共に話し合おうではないか』


「殺そうとしていて何を言う?殺そうとするなら殺される覚悟を持つんだな。再生能力に依存して覚悟も持たずに都合良すぎだ。」

ゆっくりと近づく俺に鬼が怯える、が、

『調子に乗るなよ人間、食らえぇ』


不用意に近づく俺に狙いを定めた鬼の騙し打ち、しかし【仙気流・闘魔十字受け】鬼の攻撃は受け止められる。

『なに!?』

「見逃してやろうかと考えゆっくり歩いたが待った甲斐がなかったな、興醒めだよ。くたばれ」


【仙気流・闘魔百万正拳地獄突き】闘気と魔力を融合させた正拳突きを100万回突きだすシンプルな技。だけど日課の巻藁突きで研ぎ澄まされた俺の正拳突きは、それだけで一つの大技へと昇華する。


『うががががががが…………………………』


最後に物言わぬ肉片と化し鬼は、退治された。


あ、情報聞き出すの忘れてた




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