山生活8年目
奴らの出処を突き止めた。
場所は前に地震で土砂崩れが起きた場所だった。
剥き出しになった斜面からは洞窟のような物が見えていて、そこから化け物共が出て来ていた。
潰すか…
この場所を突き止める少し前にわしがいつものように日課の修行と見回りをしていた時のこと、見回りから帰ってきたわしが見たものは無惨にも荒らされた畑と破壊された家。備蓄していた食料は全て食べられていたが、ペットの水担当ポチと火担当のタマ廃棄処理担当のピーちゃんは無事だったのが不幸中の幸い。しかしわしは当然怒りに燃えた。
見回りでいない時間をねらっての行動だろうか?破壊の跡を見るに今までの奴らとは違う生物の仕業と言うことがわかる。
それは足跡を見ても明らかで、恐らくはわざと残したのかこの洞窟へと続いていた。
わしは意を決し洞窟へと入る。洞窟の中はまさに化け物共の巣窟であった
緑の獣、豚の化け物、犬型の化け物、大きなトカゲ、半分魚のような奴に、鳥の化け物もいた。
だがこいつ等ではない。わしをここに誘導したのはもっと力があり頭脳もあるやつだ。
洞窟の化け物共を倒しながら奥へ進んで行くと少し開けた場所があり、気配察知に強力な反応あった。
開けた場所の奥から強力なプレッシャーを放ち、のそりのそりとこちらへと向かってくる様はまるで歴戦の戦士を思わせる威圧感。
《グオオォォォーー》
前に見た豚の親玉と大きさは同等程度だが力量はこちらのほうが遥かに上に思える。まさに巨人といった風貌の化け物がわしの前に立ち憚ったが、誘導した奴とは別であろう。強敵には思えるがあまり知性を感じられない。
《ガアッ》
そんなわしの考えを読み取ったのか巨人はその手に持つ両方に斧がついたような巨大な武器を吠えながら振り下ろしてきた。
速い、受け流すには剣速が速く失敗するリスクが高い。後方へ距離をとり【気拳・連】高速で打ち出される気を乗せた拳エネルギーを連続で巨人に叩き込むが奴はそれを斧で薙ぎ払った。そしてお返しとばかりに斧を地面に当てながら振り抜き石礫の散弾を浴びせてきた。
【亀の気・剛体】動きは遅くなるが、全身の筋肉を引き締め鋼のようにすることで防御力を一時的に引き上げる技だ。前の闘いでの反省を生かして防御技もしっかりと修行してきている。
しかしながら馬鹿力で振られた斧の石礫の散弾は威力が思いの外高く、防御こそしたもののそこそこダメージを負ってしまった
《グガガガガガッ》
散弾の弾幕の裏から既に巨人は迫ってきていてめちゃくちゃに斧を振り回してくる。
【亀の気・剛体】から【獅子の気・風王】に切り替え高速で振るわれる斧を紙一重で避ける。初撃こそ気の切り替えの一瞬のラグで体を掠めたがその後の連撃は全て避ける。
連撃の合間をぬって巨人の懐に入り込み【獅子の気・炎王】を発動【真・炎王手刀打ち】を叩き込む
《グオオッ⁉》
巨人の腰から肩口に掛けて斜めに大きく切り裂いた傷は同時に傷口を炎上させる
しかし攻撃を叩き込み一旦距離を取ったわしが見たものはゆっくりとだが傷が治っていく巨人の体であった。
再生する敵の姿を初めてみた事もありわしは一瞬呆けてしまった。つくづく心が弱いわしはこういう所で自分の弱さを再確認する
「がっはっ!?」
一瞬呆けたわしを再び石礫の散弾が襲い、攻撃をまともに食らったわしはなおも追撃を仕掛ける巨人の攻撃に回復が間に合わず、ギリギリで発動した【亀の気・剛体】でなんとか致命傷を避けながら耐える。
巨人は好機と見たのか再度接近、斧を凄まじい速度で振り回す
わしも斧の一撃はもらってはマズいと再度【亀の気・剛体】から【獅子の気・風王】へと気を切り替え回避に専念する。
先程と同じパターンだがダメージを受けている分先程と比べてわしの方が不利、しかも回復の方に気を回す暇がない上このままでは血を流し過ぎてこっちの方が先に倒れてしまう。
わしは覚悟を決め仕留めにかかる。再びやつの斧を掻い潜り懐に入り込み跳躍【獅子の気・炎王】を発動し奴の心臓を直接狙う
【真・竜の気飛燕四本ねじり貫手】
左手で放つ自身最高の貫手は確実に巨人の心臓を貫いた
《グガァッ》
だが、巨人は心臓を貫かれたままわしを掴み空中へと放り投げ、そして
[ゴキンッ]
まるでホームランとはこうするのだと言わんばかりにわしをボールに見立てその巨大な斧をフルスイングした。
さして高くもない天井にぶつかって跳ね返り地に当たり、どうすることもできずにただ地を跳ねながら転がり続け壁に激突してわしの体はようやく止まる。
幸いなのは奴も必死だったのか斧の刃の部分にわしを当てられなかった事か。そうじゃなければ今頃わしは真っ二つになっておる
【え、炎鳥の気・か、回】意識が朦朧とし、ギリギリながらもなんとか体を回復させる。
はっきりとしない意識の中巨人を見ると、奴は膝から崩れ落ちそのまま地に伏せた
同時にまた力が溢れてきて体にわずかだが活力が戻る。
体に力は戻ってきたがわしは帰る事にした。なぜなら洞窟のさらに奥には先程の巨人より遥かに強力な気配が漂ってきたからだ。きっとこの気配の主がわしを誘き寄せた者の正体だろうが何より体は全快にはほど遠く、気を多様しすぎた為体力も減っている。
わしはリベンジを決意し洞窟を後にした。
今後の課題を多分に残して。
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