山生活6年目


山の生活も長くなると多少逞しくなるようで、持ってきていた予備の靴も既に朽ち果て今は裸足だ、服もまだ無事なのもあるがサイズが合わなくなったせいもあり今はイノシシとクマの毛皮を合わせたものを着用している。


今日も目の前には大きな畑と実る野菜達、そしてそれを狙う獣達がいる


前まではなかったんだが最近はどうやらおかしい。というのも、明らかに日本にはいない生物がいるのだ。というより世界にもいないと思う。

だって棍棒もって二足歩行で俺に襲いかかってくるのだから。


なんか臭いしぐぎゃぐぎゃ言ってる緑色の獣が近頃増えてきて俺の畑を荒らす様になった、当然俺は激怒。やつらを撃退する日々を送っている。


修行は続けているが、不思議な事に、やつらを退治するようになってからより一層力が漲ってきていた。

やつらは見かけによらず強い。武器を使う点もさることながら、一匹でイノシシと互角。

三匹いればクマをも倒してしまえるような力だった。


まぁそんなやつらを相手に闘っていれば力量も上がるものかと納得している。


しかし今日はいつもと様子が違うようだった、何やら奴らの親分みたいなやつが出てきた。


デカい。最初の感想はそれだった、次いで武器が剣であったこともやつの迫力に拍車をかけているのだろう。やつのそれは所謂大剣というものであった。2mはあろう筋骨隆々の体躯に自身と変わらぬ大きさの大剣を軽々と振り回す


《グガァーーー》


やつの咆哮にはビリビリと肌を指すような殺気が込められていた。

殺らなきゃ殺られる。

自然の中で生き抜いて培ってきた教訓だ、やつは本気だ。ならばワシも本気にならねばなるまい。


「おおおおぉぉぉーー!」


【獅子の気・炎】この技は自身の身体能力を高め、同時に右手に炎の様な熱が帯びる。

【獅子の気・風】この技でやつと離れていた20メートルはあろう距離を一瞬で無くす。


《ガッ!》

やつはわしの技に反応し剣を振り下ろす。しかしそのような剣速ではまだ甘い、わしはその振り下ろされる剣に合わせ自身のねじり込んだ腕を掲げ、剣と拳とが触れる一瞬で力を一気に開放する。

【白刃流し】わしはやつの剣を一気に弾く、やつは弾かれた剣で体が泳ぎ体制を崩している、今が好機。

【炎気手刀顔面打ち】

高速で振るわれる熱を帯びた手刀は相手の顔面を側頭部から一気に分断する



残心をしてやつを見ると、いかな化け物といえども頭を無くしては生きてはいけないのだろう、声を発する間もなくそのまま後ろへと倒れた。


と同時にまた力が溢れてくる。

また一つ仙人への道を落ちたのだろう、いつまで落ちればわしは仙人へと到れるのか未だ底が見えない。


そうこうしている内に親分を殺された子分共は蜘蛛の子を散らすように逃げていった


呼吸を整え今の闘いを振り返り反省点を洗い出す。

久々の大声に声が裏返ってしまっていた。今後は大声の練習も修行に組み込もうと思う



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