第88話 平凡な行動

 翌日、朝の6時にセットしたアラームが鳴り、目が覚めた。


 朝風呂に入り、居酒屋の朝定食を食べた。咲と出会う前の俺なら間違いなく、一日中パチンコを打っているだろう。俺は、カプセルホテルをチェックアウトして、繫華街にあるインターネットカフェに入った。


 カラオケ店の二階に受付が有り、きちんと分煙されている。二階のフロアが禁煙エリアで、三階のフロアが喫煙エリアになっている。俺は5時間のコースにした。前払いで1015円だ。三階の喫煙エリアを選び、個室とは言い難い、仕切りが有る部屋に入る。


 オンラインゲームは無料で楽しめるが、落とし穴がある。「課金」だ。ゲームが進行すると課金アイテムを手に入れないと、楽しく無いらしい。俺はこの手のゲームはしないのでスルーだ。


 無料アダルトサイトも充実していて見放題だ。上映を終了した映画も見放題だ。そしてソフトドリンクは無料で飲み放題で種類も豊富だ。俺は取りあえず、アイスコーヒーを一杯頂いた。


 5時間有れば映画を2本見れる。1本目は、麻雀系の映画を見た。

 隣に音が漏れない様にイヤホンで聞く。フリードリンクは有難いが、トイレが近くなる。


 食べ物の持ち込みOKで、小腹が空いても大丈夫なように、カップ麺やスナック菓子も販売している。漫画の単行本も、週刊誌の最新版も揃っていて、5時間有っても時間が足らないくらいだ。


 映画を1本見終わると、アイスコーヒーを5杯飲んでいた。さて、次は何を見よう。ディズニーの映画を見る事に決めた。心が荒んだ時、ディズニーを見ると癒される。


 しかし咲と真菜は、俺をフリーに動かしてどうしようと考えているのか?世界中のポセイドンプロジェクトの参加者が俺に注目しているらしいが、きっと幻滅しているだろう。


 俺は子供の頃、親父にこき使われ、ホームレスに憧れていた。平日の昼間から酒を飲み、仲間と博打を打つ。究極の自由人だと思った。


 そして俺は大人になり、精神障害者と云う蟻地獄に落ちた。もがき続け、止まれば穴に落ち食われるしかない。そんな事を考えながらディズニーを見終わった。


 丁度制限時間になりインターネットカフェを出た。


 さて次はどこに行こう。競輪場、競馬場、朝キャバ、ストリップ劇場、パチスロ、パチンコ、ソープランド、雀荘。色々と思い巡らすが、いまいちピンとこない。


 取りあえず、駅の近くにある居酒屋に行く事にした。店に入ると先ずは緑茶割りの大ジョッキーを頼んだ。つまみは、エイヒレとコーンバター。


 酒を飲むといろいな事が思い浮かぶ。

 俺はどこに向かおうとしているのだろう。

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