第17話 咲の霊力
タンポポのメンバーに伊東正彦がいる。
まだ若く歳は二十七だ。統合失調症と診断されたのは十九歳の時で、ある日家を飛び出し特攻服を着て一人で公園に行き、意味不明な事を叫び手には包丁を持ち暴れたらしい。
警察に通報され機動隊が出動し、三時間睨み合いが続き確保された。未成年者なので、医療少年院に入れられ、一年間入院して病状が良くなり退院する。
髪の毛は茶髪でとび職として働くが、被害妄想と幻聴に悩まされ仕事が出来なくなる。自宅に引きこもる伊東に親が心配して福祉と打ち合わせ、タンポポに通所する様になった。
伊東は、とてもストイックな人間で自立して親元を離れ生活したいと願っていた。 障害年金とタンポポの工賃での暮らしにチャレンジしていた。とても心の優しい男で、俺のタンポポでのメンバーで、一番のお気に入りだ。
一人暮らしを始め、日々充実しているらしい。配達でコンビを組むと、俺の倍動き随分と助けられていた。三ヶ月に一度、お金を貯め高級なステーキや牛タン屋などに二人で食事に出かけている。勿論、割り勘で。
この伊東に、咲が興味を示した。
伊東の夢に天使として現れ、スクラップの箱に閉じ込められそうになり、伊東が助け出すというストーリーを演じたと言うのだ。
俺はそんな馬鹿な事出来る訳無いと聞き流していると、伊東が、トラックでの配達の時、天使を救出した夢を見たと言う。必ず良い事が起きると喜んでいるのを黙って聞くしか無かった。
咲は、なぜ産まれてきて俺と暮らすのか?
聞いても咲は分からないと答える。自分には心の声を聞く力と人間になる奇跡的な現象しか分からない。預言者じゃ無いし、これから起きる事など知らないと言う。
ただマチルダでいる時にしか、天の神様の啓示が伝わらないらしい。咲でいる時は、マチルダでいた時の記憶がぼやけると言う。マチルダに戻ると意識が鮮明になり、咲でいた時の反省をする。
霊的能力は、マチルダでいる時の方が遥かに高い。
伊東の夢に出たのも、何が自分に出来るのか試して見たかったと言う。心の方程式は十人いれば、十通りある。
愛の法則を当てはめれば犯罪や自然破壊は激減するだろう。
今は答えが無いと咲は語るのであった。
*~*~*
【ちょっと一息】
おはようございます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
いままでのエピソードは、ほとんどが実際に僕が体験したものを書いてきました。
小説を書くのは本当に難しいです。今回、伊東君の事を書きましたが、この夢を見たというのも、実話なのです。
「心の方程式」は僕の小説を書く練習台だと考えています。
これからどんな展開になっていくのか楽しみにして下さい。
そして是非とも♡の応援をよろしくお願いします。
それでは明日、次のお話でお会いしましょう。
龍神 昇でした。
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