一話・魔法の1歩③

「助けていただき、ありがとうございました。そ、その…僕はウィッチマ国出身のアンライト・ウットと言います。」


 アンライトというのか。いい名前だ。こんなにもいい名前で美少年だ。きっとモテてるだろう。いいな~、僕も前世が吉〇亮みたいにイケメンだったら…。きっと、バレンタインのチョコは二けたをいっただろう。けど、よく考えると…。チョコをいっぱい食べると太るよな。てことは、全国の女子はイケメンを太らせようとしているのか!やべ、これ以上いろいろ言ってはいけない気がする…。話を戻そう。


 ウィッチマ国出身だと言っていたな。アンライトについていけば問題なくウィッチマ国に着きそうだ。ついでに国の案内もしてくれないかな?


 「アンライトさん、私今ここのウィッチマ国に向かっているのです。それで、ウィッチマ国をよく知っているあなたがついて来てくれれば、道に迷わなくて済むかなと思うのですけど…。」


 僕は地図を広げてわざとたどたどしく言ってみた。人は弱弱しいものを見ると何かしてあげたくなってしまうものだ。


「ウッ。どうしよう…。」


 アンライトは迷っているようだった。さすがに怖いよな。知り合って五分の相手に自分の国の案内をお願いされているのだ。でも、今少年は迷っている!あと、もう一押しだ!


 「ん~。じゃ、何でも一つ言うことを聞くっていうのはどう?パシリでも何でもお願いしていいのよ。でも、お願い事を増やせは無しね。」


 小学生がするような「願い事、何でも聞く券」みたいなものだ。こんなものにつれてくれればいいが…。


 アンライトは唸るように考えた後、「わかった。案内するから、約束忘れないでね…。」と言った。


 つれた。よっしゃ!これで国を安全に見ていける。


 僕たちは、アンライトの服が乾くまで待ってからウィッチマ国を目指して出発した。あの池を離れてからウィッチマ国にはわずか半日で着いた。歩いているとき、アンライトは緊張しているようだった。それもそのはずだ。美しい女性が隣で一緒に歩いているのだ。自分だったら、緊張でどうにかなってしまう。

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