倒錯ゲーム開発日誌 〜会社に内緒で〝男の娘〟をしてるのがバレて人生終わったと思ったら美少女の彼女ができて一緒に創った〝乙女ゲーム〟が大ヒットしてしまった。〜
第22話:幼馴染の〝己由 逢眞〟の設定ができた件。
第22話:幼馴染の〝己由 逢眞〟の設定ができた件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
今頃はきっと、ディナークルージングと洒落こんでいることでしょう。
いいなぁ。
そしてそのあとは、帝国ホテルのスイートにチェックインして、ちょっとバーでおしゃれなカクテルひっかけたりなんかしちゃったりすることでしょう。
いいなぁ。
ちなみに、ぼくと
一時間前にご飯をといで、さっき炊飯器のスイッチを押しました。
ちょっと外食が続いたからです。
新米ゲームプランナーと新米イラストレーターのお給料はとってもささやかなんです。
あと、そろそろお豆腐の賞味期限が近づいているからです。
ぼくひとりならともかく、
(だって昨日のデザートに、ちょっとすっぱい蕎麦シフォンケーキを食べたばっかりだもの)
あとそれから、ぼくと
休日なのに仕事をしています。
〝乙女ゲー〟の幼ななじみのキャラクターを爆誕させるためです。
姉さん、ぼくがんばるよ!
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うん……しっかり煮詰ってしまった。
ぼくは、PCの前でうなった。いい感じだと思うんだけどなぁ。何かが違う気がする。
空塚さんをベースに、かなりいい感じのキャラクターができたと思うんだけど、なにかが足らない気がする。
うーん……なんだろう? わからない。
ぼくは、立って台所に行った。着替えるためじゃなくて味噌汁の様子をみるためだ。
玉ねぎと、じゃがいもをぐつぐつと弱火で煮込む。そして最後に味噌を溶き入れる。たったそれだけの料理。食べ応えがあるから、おかずの代わりにもなって重宝する。
ぼくは、じゃがいもをさいばしで「スッと」切った。うん、いい感じに火が通っている。ぼくはそれをつまんで、ふぅふぅと吹いて頃合いに冷ますと、口に運んだ。
うん……しっかり煮詰まっている。
じゃがいもは甘かった。いい感じに出汁とみりんが染みている。
味噌汁というには、いかがなものかと思うけど、そもそも料理としていかがなものかと思うけど、安くて、簡単で、美味しい。
料理が下手のぼくでも、かろうじて自信のある料理だった。
ぼくがさっきから、お米を炊いたりじゃがいもをむいたり、玉ねぎをきったり、出汁のパックやみりんを入れたり、お鍋に水をはってコンロにかけたり、沸騰したお鍋からあくをすくったり、味見をしたりと集中力なく〝乙女ゲー〟の幼ななじみキャラクターの設定作りと、おかずになる食べ応えのある味噌汁づくりを交互に繰り返している作っている間、
すごい。
ぼくは、ひと口コンロの火をとめた。(お味噌汁は食べる直前に溶かす。)
そして、PCの前にすわった。エンディングの仕様を思いついたからだ。
何に煮詰まっていたか、ピンとひらめいたからだ。
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『女性向け学園ラブコメ(乙女ゲー)』
キャラNo.1 己由 逢眞(みよし おうま)
外観:
身長183cm。見た目は復活した仮面ライダーの主演俳優さんみたいな方向で。めっちゃ有名なグループのセンターの人でも可。
制服はちょっと着崩してる。ガタイは多分いい方。
いかにも頼りになる! って感じのちょっとワイルド寄りのセンターキャラ。
概要:
主人公の幼馴染。主人公とは家族ぐるみの付き合い。
歳の離れた弟がいる?
家はフレンチの老舗レストランで、小さい頃から修行をしている。
高校を卒業したら、修行するためフランスに留学予定。
個人的には家を継ぐよりも、もっとカジュアルなお店を開きたいと思っているけど、伝統あるお店を潰すわけにはいかないと半ばあきらめてしまっている。
性格、劇中の立ち位置:
頼りがあって余裕綽々の
(要するに、口は悪いけどいい人)
主人公のことが小さいころから好きで、主人公をほっとけない人。口は悪いけど態度で優しさを見せるタイプ。
一見、女心がわかるようで、意外とそんなことない。一番大事なことは見逃しちゃったり、肝心なところで弱気になって脆さを見せる。
(要するに、帝国ホテルの約束すっぽかした
主人公とは、
「お前らもう付き合っちゃえよ!」
って言いたくなるくらいの仲良しだけど、根っこではうまく行くわけないと諦めてしまっている。(10年くらい海外修行で超長距離恋愛が確定の運命だから)
へんなところで頭が固くて、一人前になるまでは、彼女なんて修行の邪魔になるって思い込んちゃってる。
分岐ルート 3種(仮)
1:専用バッド:好感度低い
主人公を振って、単身パリ留学。
(せつないので、未来に希望があったほうがいいかも)
2:専用グッド:好感度高い
単身パリ留学。主人公が数年後パリにいって再開。
3:専用トゥルー:好感度、
留学しない。日本で修行してそのまま継ぐ決意をする。
伝統だけじゃない新しいフレンチを模索していくと心に誓う。
(ちょっと難しいかもですが、有名な料理の対決番組の赤い服のフレンチのヒゲダンディズムの人も実は海外修行経験ないし、そういう道もあると思うんですよね)
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要するにぼくは、
無理だと思ったら、ダメだってすぐに割り切っちゃう。悪い意味で潔すぎる。
だから、その弱点を
「これはもう、どうしようもない」
って言う、とんでもなくおっきな重責を背負ってもらう。
それを、ヒロインが支える構図にするんだ。これを、このキャラの根っこに据える。これならいけるんじゃないかな……?
・
・
・
「できた!」
「できた!」
ぼくがつぶやくと、偶然、
ぼくは、
……でも。
物足りなかった。完璧にあざと可愛い男の娘の〝
これじゃダメだ。
隠しキャラに、センターでメインを張るキャラが負けちゃダメだ。
もっと、もっーーーーーと、圧倒的にカッコよくないと。秒で「カッコイイ」って心を持ってかれるキャラじゃないと。
どうすれば良いんだろう?
いや、実はどうすれば良いか予想はついている。
ぼくが、
多分だけど、そのために
ぼくは、冴えないぼくを、ビックリするくらいのイケメンに描けることができる
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