第20話:小説家が覚悟を決めた件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
ぼくは今、帝国ホテルのラウンジにいます。
着物姿で、深窓の令嬢という表現がぴったりの
ぼくは、もう諦めようと思いました。
でも、
会社で、毎日お昼に
そのことを大声でまくしたてた蓮ちゃんは、帝国ホテルのラウンジで注目のまとになっています。
リクルートスーツに着せられているお子ちゃまカップルと、トレンチコートの怪しい男は、注目の的になっています。
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そして、
ぼくも急いで空塚さんの後ろにまわってグイグイと背中を押した。
前に進むのを全力でこばんでいた。でも、
空塚さんはスーツだった。空塚さんは、アースカラーのスーツをバッチリと着こなしていた。
出版業界って意外とパーティー多いもの。服装は自由だけど、
フォーマルだけど、刺し子
ぼくは、紙袋からおっきな花束を
ぼくと
だけど
そんな
「好きです。おつきあいしてください」
って、一切の迷いなく告白をした。
カッコイイ!
森林公園の芝生広場のおっきなススキの前で、告白に失敗したぼくとはえらい違いだ。
余計なことは語らない、めっちゃ男らしい告白だ。カッコイイ!
帝国ホテルのラウンジは、めっちゃ静かになった。
さっきまでの喧騒が嘘みたいだ。(騒いでいたのは
でも、みんな注目していた。突然始まった告白に、ぼくと
みんなの注目が集まる中、
「ありがとう……うれしい。
わたしも、空塚くんのこと好きだよ。
でも……無理です。わたしは、
大学を卒業してからちょっとだけ好きなことやらしてもらって……わがままを言わせてもらって、30代からは
おじいさまの紳士服店を絶対潰さないって決めてたの。
わたしが継ぐって……もう、幼稚園の頃から決めてたの。
……だから……ごめんなさい」
みんなの注目が集まる中、
「ああ、知っている。俺も最初から知っている。
悪い。迷惑かけたな。じゃ、そういうことで」
おかしいよ。両思いなんだよ?
でも……きっと多分これが大人の世界なんだ。きっとそうなんだ。
ぼくは、そう思わないと、自分にそういい気かせないと頭がどうにかなってしまいそうだった。
ぼくは、
横にいる
ぼくと
「ちょっと待ってよ。君、
声をかけたのは、意外な人だった。
「えぇ!
「いやいや、僕は9月で退陣したよ。今は単なるプー太郎。
てか、かっこいいじゃない
素敵な告白だったよ。小説のワンシーンみたいだ」
え? どういうこと?
編集長ってことは、
「と、遠縁の会社を継ぐって言ってたの、
豆鉄砲の
「明治から続く老舗中の老舗紳士服店を、潰すわけにはいかないからね。我が国が誇る素晴らしい伝統技術をみすみすと潰すなんて耐えられない。
だから婿養子にはいって、〝
え? どういうこと??
ヒゲダンディズムの
「おじさま、今回の縁談は破談ということでよろしいですよね?」
え? え? どういうこと??
「ああ、もちろんだとも……」
え? え? え? どういうこと??
「
「だって……わたしは〝
だって……ぜったいに〝
「ありがとう……
おじいちゃんはね、
「でも、〝
「聞いただろう、〝
「君、名を名乗り
「
「
「誓います!」
「婿養子に入るのは?」
「問題ありません!」
「一刻も早くひ孫の顔を見せてくれるかね!?」
「はい!!」
「なるほど……」
そう言うと、
「うぐ……」
「ふん、悪くないだろう。
そう言って、
カッコ良かった。
「ありがとうございます!!」
カッコ良かった。
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