倒錯ゲーム開発日誌 〜会社に内緒で〝男の娘〟をしてるのがバレて人生終わったと思ったら美少女の彼女ができて一緒に創った〝乙女ゲーム〟が大ヒットしてしまった。〜
第15話:商店街でカワイイ男の娘が注目のマトだった件。
第15話:商店街でカワイイ男の娘が注目のマトだった件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
会社の先輩でちょっと……いや随分と言葉のセンスはおかしいけれど優しくてカワイイ
もう、ずいぶんと前から好きらしく、ぼくと
でも、
それはともかく、ぼくはその無理ゲーに挑戦している
とりあえず
姉さん! これ、未来だと色々なハラスメントに抵触していません??
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ぼくは、会社を出た。そしてエレベーターに乗って、弊社が間借りしている保険会社の裏口から出た。
駐車場をつっきって、保険会社の敷地を出て右に曲がると、すぐに駅が見える。
ぼくは、駅まで行くとまた右にまがって、駅のホーム沿いに歩く。反対側の出口に向かって歩く。
そして反対側の出口につくと踏切があって、そこをまた右にまがる。
煉瓦造りの並木通りがまっすぐとつづいている。駅前の商店街だ。
ぼくは駅前の商店街を歩いた。
品の良さそうな身なりのおばさまとすれちがう。
僕はまるで鳥のトサカのようなおばさまの特徴的かつ情熱的な紫色の髪型をチラチラみていると、おばさまと目があった。
おばさまだけじゃない。ランドセルの小学生の男の子と女の子、学生服の中学生の男の子と女の子の初々しいカップル、ケーキ屋さんの黄色いビニール袋を持ったお母さんと男の子とも目があった。
ぼくは、もれなく通行人と目があった。そしてみんな、僕の自慢のふくらはぎをちょっとみて、ぼくの顔をちょっと見て、それから僕の目線よりちょっと上をじっくりと見ている。
え? どういうこと?
ぼくは目線を上げた。そしてすぐに気が付いた。
みんながぼくのことをジロジロ見るのは、ぼくがとっても特徴のある、暗い緑色のサイドテール髪型をしているからだ。
ゲームとかアニメだったらぶっちゃけ地味な髪色だけど、現実世界では紫トサカのおばさまと結構いい勝負のトリッキーな髪型だ。
ぼくは、目の前のスーパーにかけこむと男子トイレに入った。そして暗い緑色のとってもトリッキーなウィッグを外して、とっても無難なショート髪型になると、トイレを出た。
入り口で、スーパーの店員女性とすれちがった。
すっごく、不審そうな顔をしていた。
(無理もない。無難ショートの女の子が男子トイレからでるんだもの。そりゃびっくりする。でも、やっぱり女子トイレに入るのは無理だ。だってぼくは男だもの)
ぼくは足早にスーパーを立ち去ると、再び商店街を歩いた。
ランドセルの小学生の男の子と、学生服の中学生の男の子とも、ゲームショップの黄色いビニール袋を持った二人組の男の人とも目があった。
みんな、ぼくの自慢のふくらはぎをちょと見て、そして、目があうと視線をすぐにそらす、ちょっと頬をあからめて目をそらす。
うん。ぼくがふつうの女の子に見える証拠だ。青春真っ盛りの、健康的なバスケとかバレーとかやってそうなスポーティー女子高生に見える証拠だ。
なぜならぼくは、今、とてもスムーズに写真屋さんにフィルムを渡しているからだ。
「おねがいします」
って「ニコッ」て笑うと、バイトのお兄さんがテレテレしていた。
ぼくは、フィルムの現像が終わったらすぐに取りに来る旨を伝えて、来た道をそのまんま帰った。
ぼくは帰りに、ランドセルの小学生の男の子と女の子、学生服の中学生の男の子と女の子の初々しいカップル、そしてホームから出てきた、大学生っぽいカップルとも目があった。
男の子は、みんなぼくの自慢のふくらはぎをちょと見て、そして、目があうと視線をすぐにそらす、ちょっと頬をあからめて目をそらす。
女の子は、みんなぼくの自慢のふくらはぎのちょっと上に履いているモノトーンでタックの少ないボックスプリーツのスカートを見て、それからぼくの目線のちょっと下に着ているタータンチェックのワンポイントにチェックをあしらったすっごくカワイイ制服のブレザーを見ている。
うん。今ぼくは完全に女の子を演じ切れている。女子高生を演じ切れている。すごいな。
あ、いやすごいのはぼくじゃなくて、
あ、いや表現がよくないな、完全に街に女子高生として違和感なく溶け込めているから。めちゃくちゃオシャレカワイイ制服の女子高生として、男の子の視線を釘付けにしているから。
そしてなにより、めちゃくちゃカワイイ制服が、女の子の視線を釘付けにしているから。
そして、そのキャラクターに抜群に面白くて甘酸っぱい青春ラブコメが書ける
でも、この後、ぼくは思わぬピンチに遭遇することになる。
天才CGデザイナーで、さらには(弊社的にはあまり意味ないけど)天才パタンナーの
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