倒錯ゲーム開発日誌 〜会社に内緒で〝男の娘〟をしてるのがバレて人生終わったと思ったら美少女の彼女ができて一緒に創った〝乙女ゲーム〟が大ヒットしてしまった。〜
第8話:同棲とディレクター業務を始める件。
第8話:同棲とディレクター業務を始める件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
〝ケフカ〟です!
良かった!
そして、社長の
良かった!
そして、よくよく考えたら、そもそも〝乙女ゲー〟について一切考えていませんでした。
姉さん! 〝乙女ゲー〟って……何!?
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「はじめまして、〝ケフカ〟です。呼び辛かったら〝ケフちゃん〟って読んでください。よろしくお願いします」
可愛い。
そして緊張はしてたけど、肩はふるえてなかった。つまり、萎縮はしていなかった。
良かった。
おじぎと同時に拍手が起こった、ぼくも、もちろん拍手した。でもって拍手してたら、
「ケフちゃんの入社祝いに蕎麦シフォンケーキ買ったから、適当に食べたまえ!
あ、小さいのは乙葉君とケフちゃん専用だから、家に帰ってふたりで食べるように!!」
は?
ちょっと意味がわからない。
あんまりにも意味がわからないので、ぼくは
「
「ケフちゃんには、今日から君の家に住んでもらうのだよ」
は!? どういうこと!?
ぼくは、
大きなキャリーバックと普通の大きさのボストンバックがあった。
は!? どういうこと!?
ぼくは、
え!? そういうこと!?
いやいやいやいや、嬉しい……じゃなくて、困る! 嬉しいけど困る!
ぼくは、ニヤけてしまいそうな顔を(窓に写った顔を見て修正しながら)どうにかこうにかこうにか困り顔にして、
「いやいやいいやいや、いくらなんでも急すぎでしょ!(こそこそ)
ぼくにだって心の準備がありますよ!(にやにや)」
ぼくが務めて常識的かつ個人的な事情を言った。こそこそにやにやしながら言った。
ぼくはヘタレなのだ。
年齢=彼女いない歴なのだ。
ぼくが、務めて冷静に、年齢=彼女いない歴人間の常識を説明すると、
「君はバカか、大馬鹿ものか!!(こそこそ)
私にだって事情があるのだよ!(こそこそ)
好きな人とイチャイチャしたいのだよ!(こそこそ)
それを、ケフちゃんがいるからずっと我慢していたのだよ!(こそこそ)
私の身にもなってくれ!!(こそこそ)」
きっとぼくの知らない、ぼくが経験したことがない。ぼくもできれば
「たのむ!(こそこそ)」
「……わかりましたよ。しょうがないですね(にやにや)」
ぼくは、しぶしぶと言った。そしてついつい、にやにやしてしまった。
うれしかった。ぼくは、大義名分が出来て嬉しかった。
ぼくは、
うん! 仕方がない! 仕方がないなあ! 仕方がない!!
ぼくは、にやける顔をだらしなく歪めて、してはいけない妄想をしていると、
そして、やさしくやさしく、ぼくを諭すように言った。
「君は優秀だから、わざわざ言う必要はないと思うのだがね。
今のところケフちゃんの、画力というか表現力は、君に対するラブなパワーというか空想というか妄想というか倒錯というか、私なんぞが遥か昔に失ったイノセントでピュアファンタジーなエネルギーで構築されている。
私はね。このケフちゃんのとてつもなくイノセントでピュアな、妄想と言うか、妄言というか、倒錯というか、お花畑というか、お気楽ご気楽というか、パラッパラッパーな話を、酒の
君がどれだけ紳士的で、女の子の気持ちが解るのかを……ね。それが解るからこそ、君はあんなにも可憐な〝男の娘〟になれるのだと……ね」
「君は優秀だから、わざわざ言う必要はないと思うのだがね。
ケフちゃんのこのパラッパラッパーな妄想を汚すとどうなるか……わかってるね?」
ぼくの肩の骨は、ミシミシと悲鳴をあげた。
「 は い ぃ ぃ」
ぼくは、声にならない、かすれ声で答えると、発子さんはほがらかに微笑んだ。
「はっはっはっ! ま、そう気張るな少年!
適当でいいよ。適当で。〝適して当たる〟で。くれぐれも〝当たって砕ける〟のだけは勘弁な! 失敗は許されないし、許さない! いいね!!」
「 は い ぃ ぃ」
「はっはっは! 任せた!!」
そう言うと、
ぼくは、
ガチャリ
会社のドアを開けると、視線の先のミーティングルームで、蕎麦シフォンケーキを切り分けて、社員みんなしてもごもごと食べでいた。
ぼくが靴を脱いでスリッパに履き替えると、
「ふぉい〝ふぉとふぇゲー〟ふぉろっとふぉこう」
(訳:ほい、〝乙女ゲー〟プロットの初稿)
今、
アホほど執筆速度の早い
ぼくは、フロッピーディスクをガチャコンと入れて、〝op06_01.txt〟と書かれたファイルを自分のPCにコピーして、テキストファイルのアイコンをクリックした。
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キャラNo6 乙姫 湊(おとひめ みなと)
外観:
身長と体重は
(メイドロボットだと、ドジすぎて誘導ができん。あれは主人公の属性にする)
概要:
四六時中、女装した
主人公の親友。
家は代々、歌舞伎の
男とバレると、学園を強制退学させられる。
性格、劇中の立ち位置:
要するに空気がめっちゃ読めて四六時中女装ししている
主人公が大好きで、いろいろと恋の相談にのってくれる。
男心がめっちゃわかる(そりゃそうだ)
基本、主人公が他キャラと揉めると、親身になって相談に乗ってくれたり、中をとりもってくれる便利キャラ。メタ的に、こいつの言うことは大抵正解。
男とバレると退学なので、四六時中、女としてふるまっている。(メインにひとりぐらい事情を知ってるやついた方が面白い)
建前的には、貧乳を気にして主人公になげいている。
分岐ルート 4種(仮)
基本的に、誰とも付き合わない場合にかぎり、こいつに分岐。
バッドイベント(友情イベント)
身バレイベントは、4段階くらい(伏線、匂わせ、バレ、トゥルールート)
バレは、全キャラエンド見ないとフラグ立たない。バレ経由すると、以降好感度で分岐。
好感度は、他キャラの相談役で出た時にこまざいて仕込む。
1:女のまま友情エンド(汎用バッドエンド)
2:専用バッド:好感度低い
身バレイベントアリ。退学して疎遠。
3:専用グッド:好感度高い
身バレイベントアリ。退学して交際。
4:専用トゥルー:好感度、
トゥルーイベント発生。女の娘のまま学園でいちゃラブ交際。
てな感じ?
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よく出来ていた。いわゆる隠しキャラ扱いだ。某ときめくゲームのライバルキャラが、親友キャラになった感じかな?
多分これ、コアファンの人気が爆発する系のキャラだ。存在自体がどんでんがえしなんだもん。
やっぱりすごいな。
トゥルーエンドの好感度に対しては、これ以上ない表現な気がするけど、恥ずかしいから変えよう。
ぼくは、キーボードをガチャガチャ言わせて、仮タイトルを、
『
』から『女性向け学園ラブコメ(乙女ゲー)』
とし、トゥルールートの高感度説明を、
『
に変更した。
「どうよ」
ぼくが、一旦テキストファイルをセーブしていると、
「すごいです。全く問題ないと思います」
「じゃ、残りの5キャラ設定はよろしく。開発期間とボリューム考えたら、ま、そんぐらいが適当だろう。小説7冊分とちょい?」
「へ?」
「当然だろ、お前がディレクターだ。キャラ設定はお前が起こしてもらわないと困る。そもそも俺は、〝乙女ゲー?〟が一体全体なんなのかさっぱり解らん。どんなキャラが需要があるのか全くわからん。なぜなら俺は男だからだ」
確かに。というかぼくも男だから知らないのは一緒なんだけど。
「そんなわけで、需要があるキャラ考えて概要プロット起こしてくれ。そもそもこのキャラは隠しだ。メインキャラのシナリオ書いた後じゃないとシナリオなんぞ書けん。整合性がとれん。
とりあえず1キャラでもいいから、至急頼んだ。じゃないと俺はしばらく、おまえが炊いたご飯を食べるだけに会社に来ることになっちまう」
空塚さんはニヤニヤしながら、ぼくの肩をやさしくやさしく「ぽん」と叩いた。
「がんばれ、
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