倒錯ゲーム開発日誌 〜会社に内緒で〝男の娘〟をしてるのがバレて人生終わったと思ったら美少女の彼女ができて一緒に創った〝乙女ゲーム〟が大ヒットしてしまった。〜
第5話:告白後のお願い事が、しっかりしすぎた件。
第5話:告白後のお願い事が、しっかりしすぎた件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
試用期間中のデザイナーの
ぼくは、社長の
ぼくは、ガッツリ落ち込みました。
でも、告白はしてもいいらしいです。なんでも、
れ、れれ、
ちょっと意味がわかりません。
あと白状すると、ぼくは今、めちゃくちゃ嬉しいです。天にも登る気持ちです。
だって、れ、れ、
姉さん! ぼく、どうすればいいんだろう……。
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ぼくは、抜けるような青空の中尾、巨大ススキを背にして、芝生をもふもふと踏みしめながら歩いて行った。
告白を仕切り直すためだ。
ぼくは、
上を見上げると、枝振りは豊かに真っ赤に染まっていて、足元も、落ち葉で一面真っ赤に染まっていた。
綺麗だった。
あまりの光景に、ぼくは歩みを止めて息を飲んでいると、
綺麗だった。
息を飲んでいると、風が吹いた。数えきれない
綺麗だった。
綺麗だった。
風がやむと、紅葉が一枚、
綺麗だった。
ぼくは、
綺麗だった。
ぼくは、
「
綺麗だった。
「
「…………………はい……………おねがいします」
綺麗だった。
ぼくは、すっと右手をだして、
冷たかった。
ぼくと
「あらー、あらあら! お幸せに!!」
ぼくが、
プルルルル
携帯電話だった。正式には
ぼくは、慌てて
「はい、
(あー、
「まだ、植物公園です。今から帰ります」
(おお! そいつは
ついでに、君たちもお茶して帰ってきたまえ。あ、その前にお寺を参拝して、おみくじを引きたまえ! ついでにすぐそばで売っている〝蕎麦まんじゅう〟も買い食いしたまえ!)
「え? もう外出してから結構時間経ってますよ……さすがに帰らないと……」
(命令! 必ず寄り道したまえ! はっはっは! それじゃ)
ツーツーツー
電話は、一歩的に切られた。
「どうしたんですか?」
「
ついでに、お寺を参拝して、おみくじひいて、蕎麦まんじゅうを買い食いしろって。もう、二時間以上外出しているのに……いいのかな? 今から寄り道したら軽く三時間を超えるけど……いいのかな?」
「いいんじゃ……ないですかね。今日はもう……サボっちゃって」
まるで天使と小悪魔が同居した、紫の髪をした魔法少女みたいにイジワルっぽく微笑んだ。
可愛い。
ぼくと
「あらー、あらあら。学生さん! デートの続き? お幸せにー!」
おばさんからの祝福を背中に一身に浴びながら、スタスタ、スタスタと植物公園を引き返して行った。
そして、
「おお! 学生さん! 告白、うまく行ったようだなだな! お幸せにー!」
と、おじさんからの祝福を背中に一身に浴びながら、テクテク、テクテクと、コンクリートの急な坂道を降りて、お寺の境内を目指した。
境内は、数人が、まばらにいただけだった。
ぼくと
可愛い。
それから、本堂をお参りした。ぼくは五円玉を放り投げた。
ぼくが、
さっきまでぼくがずっと握っていたから、あったかい左手と、ずっと抜けるような青空に晒されていた、
しっかり、しっかり、しっかり、しっかり、お願い事をしていた。
可愛い。
ぼくは、しっかり、しっかり、しっかり、しっかり、お願い事をしている
幸せだった。
この幸せがずっと続けばいいのにと、かなりしばらく考えていると、おもむろに
「ごめんなさい。色々とお願いしすぎちゃいました。図々しい……ですよね」
と、テレテレと顔を赤くして、ドジなメイドロボットのようにはにかんだ。
幸せだった。
ぼくは、この幸せが本当にずっと続けば良いのにと思った。
幸せだった。
本当に、本当に、幸せだった。
そして、気がついてしまった。ぼくは、
なんで?
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