倒錯ゲーム開発日誌 〜会社に内緒で〝男の娘〟をしてるのがバレて人生終わったと思ったら美少女の彼女ができて一緒に創った〝乙女ゲーム〟が大ヒットしてしまった。〜
第4話:抜けるような青空の中、猫舌の美少女が可愛かった件。
第4話:抜けるような青空の中、猫舌の美少女が可愛かった件。
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【前回のあらすじ】
姉さん! 事件です!
試用期間中のデザイナーの
今は、デート&告白先に指定された植物公園に向かうため、ふたりでバスに乗っています。
ちょっと意味がわかりません。
あと白状すると、ぼくは今、めちゃくちゃ嬉しいです。理由は、新人デザイナー
姉さん! ぼく、どうすればいいんだろう……。
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ぼくと
バスはのったりと坂道を登っていた。乗客はぼくたちふたりだけだった。
バスは、順調に植物公園に向かう。
ポーン
「次は、◯◯植物公園、ただ今、国際バラコンクール開催中、色とりどり、総数一万本を誇るバラが……」
ピンポーン
「次、停車します」
ぼくは、バスの乗車ボタンを押した。程なくバスは停車して、ぼくは二人分の運賃を支払って下車をした。
ぼくたちは、植物公園の入り口を目指した。
スタスタと歩くぼくの三歩あとを、
そのまま、スタスタを入場券売り場に行って、ぼくは、チケット売り場のおばさんと会話した。
「大人二人で」
「千円です」
「じゃ、これで」
「ちょうどいただきます。デートですか? 学生さん? 楽しんでってね。
今はバラ園が見頃よ。そのあと、その先にある大温室に入って、芝生の大広場のススキの巨大ススキを見て、最後に
あ、あとチケットの半券で再入場できるから、お昼は、裏門の向かいにあるお蕎麦屋さんで食べるのがおすすめよ。時間からすると、芝生の大広場の巨大ススキと紅葉を楽しむ前に、食べておくのがいいんじゃないかしら。
それじゃ、楽しんでってね」
ぼくは、千円で、植物公園の入場料二枚と、かなりしっかりとしたデートプラン情報を入手して、植物公園の中に入った。
とても気まずくて、会話どころじゃなかった。
会社を出てから、もう三十分以上が経つ。
ぼくと
会社から歩いて五分のバス停までの道のりも、バスを待っていた十分間も、バスに揺られた十五分間も、そして、植物公園に入るまでの五分間も、ぼくは
オーバーオールと、黄色のトレーナーのうえに、白いカーディガンのボーイッシュ可愛いファッションの、
可愛い。
ぼくと
とても小さくてコロリンとした丸顔の、コロボックルみたいな
ぼくは、アイヌ民族の衣装に身を包み、ちょこんとオオオニバスに座った
可愛い。
そして、入場券売り場のおばさんの忠告通り、ぼくたちは、裏門のお蕎麦屋さんのオープンテラスで食事をした。
ぼくは、天ぷらとざる蕎麦。癸生川さんは、きつね蕎麦をたのんだ。
ぼくと
バラ園を散策した十五分間も、大温室でちょこんとオオオニバスに座った
猫舌なのに、あっつあつのお汁の入ったきつね蕎麦を頼んで、ふーふーと、息を吹きかけて、懸命に蕎麦を冷ます
可愛い。
僕たちふたりは、裏門にいたおじさんに入場チケットを半券を見せて、植物公園に再入場した。
「はい、再入場ね。
見たところ学生さんだね。初デートかい? ひょっとして、まだ告白してないんじゃないの? だったら、芝生の大広場のススキの前か、
ぼくは、チケットの半券渡して、かなりしっかりとした告白プランを受け取ると、植物公園の中に入った。
ぼくは、覚悟を決めた。おじさんに背中を押してもらった。大広場のススキの前で
ぼくは、木漏れ日の溢れる雑木林のなか、落ち葉をサクサクと踏みしめながら大広場に向かい、
雑木林を抜けると、抜けるような青空の下に大広場が広がっていた。一面の芝生の緑が綺麗だった。そしてその中央に、みごとなススキがこんもりと繁っていた。全長三メートルはあるんじゃないかな? 見事な巨大ススキが穂をもたげていた。
ぼくは、一面の芝生の大広場の芝生をもふもふと踏みしめながら中央にある巨大ススキに向かい、
ぼくは、巨大ススキの真前に立つと、務めて平静を装って、振り向いた。
三歩後ろを歩いていた、
可愛い。
ぼくは覚悟を決めた、
「あ、あの……!」
「は、はい……!」
ぼくのうわずった声に、
可愛い。
そして今更ながら、ぼくは、
可愛い。
「あ、あの、ぼく、
はじめて見たその日から、
「ちょっと待ってください! 困ります!!」
覚悟をきめたぼくの告白は、
……そりゃあそうだ。ぼくは誤解していた。
でも、それけだ。それだけなんだ。
別に、ぼくの事を好きだとは限らない。
そりゃ、そうだ。だって今日初めて話したんだよ? 初めて声を聞いたんだよ?
ぼくは
うかれていた。完全に調子に乗っていた。
ぼくは務めて平静を装って、笑いながら
「そ、そうだよね……おかしいよね。会社の命令で告白なんて……
「それ! やめてください!」
は?
「
癸生川さんはレースのような前髪をゆらしながら、頭を下げた。
可愛い。
「そ、その、できれば名前で……告白……してください。
癸生川さんは頭を下げて、小さく肩をふるわせていた。
可愛い。
可愛い。
とても可愛かった。
可愛かった。
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