ゾロアスター教:ゾロアスターは、こう言った

 ゾロアスターは英語読み。ドイツ語ではツァラトゥストラになる。

 この教祖にちなんだ有名な話をひとつ。


 戦前。ニーチェの本が訳され、「ツァラトゥストラかく語りき」と名づけられた。

 よく売れたが、手に取った人たちには、一つの疑問があった。


 「かく語りき」という言葉づかいはおかしくないか?


 時は流れ、別の者が訳した際、「ツァラトゥストラはこう言った」と改めた。

 すると、ある学生から「なぜ、格調高き題名を変えたのですか」と苦情が……。

 辰野隆か池田弥三郎の本で知った逸話。



 青木健さんの「ゾロアスター教」を読んだ。出版は講談社。

 なかなかおもしろい宗教なので、概要をすこしだけ書く。


〇宇宙創世


 宇宙は「善なる光の神」と「悪なる暗黒の神」の世界に分離していた。

 当初、中間に虚空の神が存在し、両者に接点はなかった。

 しかし、暗黒の勢力のせいで、虚空がなくなり、善悪の世界が混ざり合う。

 結果、我々の世界が生まれ、善と悪による戦いの場となった。

 善の側が、自らを守るために、いろいろと創造物を生み出す。

 すると、悪の側も、対となる事物を創造する。

 善悪の生み出した創造物のひとつに、我ら人間がある。

 なお、最初の人間ガヨーマルトは、人の姿をしていなかったとのこと。

 球形だったらしい。



〇なにが善か


 ゾロアスター教は、社会への義務を果たしたうえで、人生を楽しむことを善とした。

 ちなみに、ゾロアスター教に飲食のタブーはない。

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