第20話 決意
◇
◇
助けられなかった。
死なせてしまった。
何故助けられなかったのか。
弱かったからだ。
自分に力が無かったからだ。
あの魔法使いなどものともしないくらい、
魔法など問題にならないほどの、
絶対的な力。
”世界を穿つほどの力”
足りない。
今の自分には全然足りない。
「いや、しかし凄い回復力ですね。明日には動けるようになりますよ」
ベッドの上で、医者の言葉に頷く。
雷の魔法による全身の火傷と、闇魔法によって右半身の肉が大きく抉れていた。
残念ながら右手はもう使い物にならないらしいが、どうやら明日には動けるようになるらしい。
「動けるようにはなるでしょうが、酷い怪我ですからね。しばらくは入院してください」
医者の言葉を聞き流しながら、コーデリクは一つの決意を固めていた。
”グラベル家への復讐”
レイアの命はもう戻らない。そんな事はわかっている。
しかし胸の内に宿ったドス黒いこの感情は、どうしても押さえ切れそうになかった。
あぁ、自分は復讐の鬼となる。
そして、グラベルの家を潰すまで、この胸を満たす感情は決して消えない。
しかし今の自分には力が足りない。
魔法すら寄せ付けないほどの、圧倒的な力が必要だ。
「…………魔鉄」
ポツリと口から出てきたのは、かつて自分の人生を変えてくれた放浪の鍛冶師の名前。
動けるようになったら彼女を訪ねよう。
きっと彼女なら、今の自分に道を示してくれる。
そんな予感がしていた。
全身を襲う痛みに耐えながら、コーデリクは目に殺意の炎を宿らせたのだった。
◇
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