第19話 目撃
準備が始まって2週間がたった。
平日は放課後みんなで準備をし。
休日は委員長の家でドラムの練習。
ゆっくりではあるが大分出来るようになってきたと思う。
「葵ちゃん、ちょっと相談が」
「なになに?」
葵は俺の分まで委員会の仕事をしてくれていた。
正直めっちゃ助かっている。
「翔馬ー。そろそろ集まる時間だよー」
「わかった。委員長すまん。行ってくるわ」
「委員会か。お疲れ様だね」
体を半分にしてやりたい気分だった。
「翔馬ドラムはどんな感じ?」
「大分出来るようにはなったかな?」
「そうか。それは良かった。私も毎日お風呂で歌って練習してるんだー」
「本番までにはちゃんと出来るようになりたいな」
残り1ヶ月もない。
ここからは怒涛の追い込みだろう。
「失礼します」
「失礼します。あ、吉川君」
「寺島さん、どうも」
最近葵と吉川君話してるのよく見るな。
2人が仲良く話してるのを見ると何故かモヤモヤするというかなんか嫌な気持ちになる。
何なのかはわかってないんだけど。
「それでさもう大変だったんだー」
「そうだったんだね。お疲れ様」
「ホントだよー」
「じゃあ委員会始めます」
「また後でねー」
「うん」
なんなんだよあの2人。
いつのまにそんなに仲良くなってるわけ。
俺の中で黒い感情が芽生えてしまっていた。
ダメだダメだ。
葵が誰と仲良くしたって俺には関係ないことだろ。
そうわかっていても心の中では思ってしまっていた。
葵は誰のものでもないってのに
「ねぇねぇ西園寺くん。寺島さん知らない?」
「葵?居ねーの?」
「うん。相談したいことあったから探したんだけど居なくて」
「とりあえずそれ俺が聞いとく」
「ごめんね。忙しいのに」
「いや、いいよ。俺も一応委員だし」
それにしても葵が勝手に居なくなるなんてな。
ここ最近はどこか行く時は俺に声をかけていた。
準備期間だからそういう細かな連絡は大切ということでお互いにそうしていた。
まぁそのうち帰ってくるだろ。
ところが10分経っても20分経っても帰ってくる気配はなかった。
「ちょっと俺探してくるわ」
「わかった。後のことは任せて」
「委員長すまん」
けどあいつどこ行ったんだ?
文化祭の準備関連だろう。
とりあえず生徒会室か。
生徒会室へ向かう渡り廊下だった。
「寺島さん。1年生の頃からずっと好きでした」
そんな声が聞こえてきたのは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます