第113話 元おじさん・・・商業ギルド・2
おバカな帝国の話を聞いたのち、今度は此処アバルナ商業ギルドでの出来事を聞いた。
此方の予想通り異世界知識チートを用いても商品登録が行われていた様でおじさんと内容が被ってしまった青年が職員に食って掛かってしまった様で少々騒ぎになってしまったらしく青年曰く『オレが考案したアイデアがパクられたものだ! これ等は本来オレの物だ!』と騒いだらしいが職員に『証明できる証拠はありますか?』と聞かれるとぐちぐちと文句を言いながら内容が被らない商品の登録のみした後帰ったそうだ。
更に商品においても製造から販売にかけて自身で行うので商業ギルドの手助けはいらないと言っていたらしい・・・恐らく失敗するか他の連中に食い物にされるだろう、この世界は自分達が居た世界よりもずっと残酷で慈悲が無いと思える、商業ギルドはこの世界でもかなり職人や商人を保護している組織だと思える、何せ商業系の神々が加護をしている組織なのだから国であっても無下には出来ないであろう。
このほか別の国々でも今までにない商品や発想案などが商業ギルドに持ち込まれている様だ。
「本当にこの数か月に集中していてねぇ、ギルドとしても大変驚いているよ!
まぁ帝国や一部の連中がクロウ殿を探っている様だから用心しなさい。」
まぁ予想の範疇で他の人達も頑張っている様だし神々の目論見には貢献しているのかな?
「報告します、マスターこれからが本番です! スキルを使用して情報の漏洩を最大限防ぎますのでくれぐれも発言にはご注意して下さい!」
ハァ~ぽんぽん痛くなってした。
「さて、シャリーや、出入り口で待機していてもらえるかい。」
ロザリア婆さんが秘書さんに告げると、
「・・・かしこまりましたギルマス。」
少々間を置き秘書さんは部屋を出て行った。
部屋の扉が完全に閉められるのを確認してからロザリア婆さんはテーブルの上に全長10㎝程の円柱型をしたマジックアイテム?を持ち出して此方に説明をした。
「これはダンジョン産の結界型防諜認識阻害のマジックアイテムでね、発動させれば外に情報が洩れる事は一切ない空間になる、そしてこの部屋にはわしとクロウ殿しかいないので話を他者に聞かれる事は無い、信じられなければ好きな様に調べて貰っても構わんよ。」
・・・これ下手に調べたら探索・探知・鑑定系のスキルを持っていますよって教える事になるよな?
「報告します、対象の発言に偽りはありません、スキルにつきましてもおおよそ予想されていると思われます、ユニークスキルや上位スキル、収納系のスキルでなければ小出しに知られても問題はありません、それに頑なに隠してそればかりに意識が行き過ぎてその他で隙を作る方が危険です。」
なるほど!
「いえ問題ありません、どうぞ発動させてください。」
問題無いと告げマジックアイテムを発動して貰う。
ヴォン!という作動音と共に部屋全体を結界が覆う。
「これでここでの会話が訊かれる事は無いから安心して欲しい。
では改めて、ダンジョン完全攻略おめでとうクロウ殿!」
にこやかに賛辞を述べられる。
・・・まぁバレてるだろうとは思っていたのでこちらも笑顔でお礼を返す。
「いやぁ、ありがとうございます。」
「おや? 否定はしないのかい?」
「ええ予想はしていましたから、それに自分としても色々とお願いもありますので手間も省けます。」
「ほう、お願いねぇ? 一体どんな内容なのかわくわくするねぇ。」
そう言いながら得体のしれない雰囲気を醸し出し始めるロザリア婆さん。
「もちろんお願いする以上はしっかりとした御礼は致します!
まずは此方をご確認ください。」
まずは此方からの誠意を見せる為に綺麗な装飾をした箱をカバンから取り出してテーブルの上に置き、ロザリア婆さんの前へと移動させる。
「自分からの最大限の贈り物です、どうぞご確認ください。」
そう告げて差し出した箱をまずは手を触れずにじっくりと眺めている、恐らくは鑑定をして危険の有無を調べているのだろう、十分安全を確認した所で此方に視線を戻し。
「どれ中身を確認させてもらおうかね・・・ふむ、ポーションかい?
どれ?・・・・・・はあぁ!!!?」
箱を開けて中のポーションへの鑑定結果に声を上げて驚く様子を見れておじさんはイタズラが成功した子供の様な気持ちになった。
ロザリア婆さんはポーションを未だに凝視しながら口をパクパクさせている。
実はあのポーションは、ラヴィと相談して確実に此方が優位に話を進められるように用意した。
そのものズバリ! 若返りの薬(10・20・30)各一本と若返りの霊薬一本を詰め合わせた、その名も逆玉手箱詰め合わせセット!!(ネーミングセンスは皆無です)
「如何ですか?お気に召して頂けたでしょうか?」
そう声を掛けると、ハッとした様に箱に手を掛けながら此方に向き直り真顔になっている。
あれ? 外したかな? 事前調査じゃさっさと引退をして老後をゆったり過ごしたいって事だったから第2の人生を送れるように若返りの薬や霊薬を贈ったのだけれども?
「あ、あのお気に召さない様であれば別な物に致します『嫌よ駄目! 返さない!!』か?」
そう叫び箱を大事そうに抱えて離さないロザリアさんがいた。
如何やらお気に召したようだ!
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