第96話 元おじさん・・・少し熱くなる。



 夜の快楽街39階層に訪れて、頭を抱える問題にも直面し、いよいよ街の管理者のハイサキュバスとハイインキュバスに面会する事に為る。


 ルイ姐さんに案内されて一軒の高級そうな宿屋に着いた。


「わしじゃ、リルスとエクロスは来ておるか?」


 ルイ姐さんは宿屋の従業員らしき上半身が人型で下半身が蛇の女性に話しかける。


「あら、ルイ姐さん! 門番ごっこは今日はお終いですか?

 お二人でしたら2階の個室でいつもの様に騒いでますよ」


 ルイ姐さんに少し呆れた様に話す、ラミアのお姉さんは此方を見ると眼を見開いてルイ姐さんに掴み掛り、ガクガクと揺らした!


「ルイ姐さん! 誰この子達! もしかして冒険者! しかも男♡ 他にも来ているの! やっと本来の仕事が出来るのね!」


 勢い良く揺らしながらルイ姐さんに捲くし立てるラミアお姉さん!


「お お お 落ち着かぬか! そんなに揺らされたら答えられぬわ!」


 そう言いながらラミアの拘束を解いて彼女の頭へ手刀を入れるルイ姐さん!


 ごす! 軽く入れている様に見えたが、かなり重い音がした。


「ルイ姐さん、痛いですよ! 凹んだらどうするんですか!」


「おぬしがこの程度で凹む訳無いじゃろうが! 初めての客人を街の代表に会わせるのに案内したのじゃ! あと、茶と茶菓子は普通の物を用意するのじゃぞ!」


 そうルイ姐さんが言い付けると渋々ながら彼女は了承した・・・もしかして盛られる所だった?


「せいぜい媚薬じゃ! 今回は話し合いじゃからその様な事は抜きじゃ!」


 ・・・同意を得られなければ襲われないけれど、同意を得る為の工作は問題無いんだ。


「告、マスター実際に盛られたとしましても無効化しますので御安心を!」


 うん、頼りにしているよラヴィ。


 ルイ姐さんの後について2階へと上がると奥に在る部屋へと案内された。


 扉の向こうからは男女の言い争う声が響いていた!


「まったく、しょうがない連中じゃのう、入るぞ!」


 ルイ姐さんはそう言うと間髪を入れずに扉を開けた、扉の向こうにはきわどい衣装の男女が取っ組み合いの喧嘩をしていた!


 その光景を見たおじさんは色々なモノがモロに見えていて目のやり場に困った。


「聞いてよ、ルイ姐さん! エクロスの奴、自分だけ良い思いをして置いて、私が行くのはダメだって言うの! ヒドイでしょ!」


 恐らくは、ハイインキュバスであろう男性にまたがり馬乗りになりながら攻撃を加えているハイサキュバスの少女? 


「我は市場調査をしているだけで遊びで行っているのでは無いと、散々言っているだろう!」


 反論しながら攻撃を見事にいなしている、そんな双方の言い分を聞きつつ、ルイ姐さんはキセルを吹かして、おじさん達に空いているソファに座る様に促した。


「取り込み中の様じゃから、もう少し落ち着く迄はわしとおしゃべりを楽しもうぞ♪」


  ルイ姐さんは、ニコニコしながら話そうとすると。


「ルイ姐さん! 私の話を・・・あ~~~~~~! だれ! その人達だれよ!」


 こちらに気付いて、馬乗りを止めておじさん達に勢い良く突進して来た!


「ちっ、気付きおったか! これリルス! はしたないじゃろう、落ち着け。」


 そうルイ姐さんに言われて、此方の顔に触れるか触れないか距離で止まり、ジ~ッと見つめていると、にこりと微笑み腕を掴み。


「良し! 寝室で(性的に)話しましょう♡」


 いきなり、ベットへのお誘いを受けた! ただし次の瞬間、「あほう!」とルイ姐さんにキセルでお尻を叩かれていた。


「キャンッ痛いよ! ルイ姐さん何するのさ?」


 叩かれた所をさすりながら文句を言うリルス、そんな態度に呆れながらルイ姐さんが問質といただす。


「何をする気じゃ何を!」


 その問いにキョトンとした表情でリルスは、爆弾を落とす!


「何って、彼の筆おろしをしてあげるだけよ♡」


 ごふっ! その言葉にルイ姐さんも此方に勢い良く顔を向けてニヤリと笑った!


「ど ど ど 童貞ちゃうわ!」必死の抵抗! しかし、このリルスさんは更に爆弾を落とす!


「うふ♡ 大丈夫、分かっているからね、私の種族特性で一目見たら判っちゃうのよ、勿論恥ずかしい事ではないのよ♡

 それに私も種族的特徴では無いけれどだからね♡

 初めて同士、寝室で語り愛ましょう♡」


 妖艶に囁くリルスさんにおじさんは、おじさんは!


「今回は遠慮させて頂きます!」 ノーと言えるおじさん!


 すると、とても残念そうにリルスさんは更に余計な事を言う。


「やっぱり、初めてはが有る方が良かった? でもが有るのは人族種位で、他の種族って繁殖とかに邪魔だからが無いのよねぇ」


 まくまくと連呼するリルスさんにおじさんは(ここからはおじさんの主観ですので賛否両論は在るでしょうが温かい目で見て下さい)。


「リルスさん! 種族的に仕方の無い事でしょうが、もう少し恥じらいと言うモノを身に着けて下さい!

 色っぽさや妖艶な仕草も良いですが、それだけじゃあ無いんです!

 恥じらいの仕草等もそうですが、その場の雰囲気やシチュエーションも大事だと思うんですよ!

 取り敢えず、男って夢見がちで理想を持ってしまうんです!

 目の前で、綺麗な人がまくまくと言われると、その・・・萎えてしまうんです」


「告、マスターあまり期待し過ぎるのも後々に響きますよ?」


 思わず、熱くなってしまった、自分でも可笑しな事を言っている自覚はあるがどうしようもないので開き直る。


 此方の話に、キョトンとした表情で聞いているリルスさんと興味深そうに聞いているルイ姐さん、そして先程から一言も喋らないエクロスさん。


 するとコンコンと扉をノックされて、ラミアのお姉さんがお茶と茶菓子を持って入って来た。


「何か白熱しているみたいだけれども、のどが渇いたでしょ? 少し休憩してから再開してはどうです?」


 確かに熱くなり過ぎたな、何をやっているんだ自分は!


「では、此方で休憩しましょうか♡」 ラミアのお姉さんに連れ出されそうになったが、ルイ姐さんとリルスさんに妨害されて追い出された。


「まったく、たまには良い事を言うかと思った矢先にコレじゃ!」


「まったくよ! 最初はトップの私からでしょ!」


 あまり、理解して貰えなかった様だ、無念!


「ねえ! 貴方の言いたい事は何と無く分かるのだけれども、この街はそういった考えが出来る子が居ないから、良く解らないのよ?」


 見本に為る者がいないのか、そりゃあそうだよな。

 う~ん・・・! ラヴィ?


「解、お任せ下さい! 既に厳選して、此方の世界の言語に修正し、写本を済ませて在ります!」


 おお! 流石はラヴィだ!


「告、初めてですのでソフトな内容に留めて在りますので、それ程は大きなカルチャーショックは受けないと思います」


 ・・・なんか不安になって来たなぁ。


「一つ確認したいのだけれど、皆さんは文字は読めますか?」


「「「読める(ぞ)(わ)(!)」」」 問題無い様だ。


「では、この書籍をお譲りしますので参考にして下さい」


 ストレージから出した宝箱にそれなりのジャンルのエロ漫画とエロ小説を詰めて渡した。


 始めは、少し警戒をしていたが直ぐに3名とも、夢中に為って読み始めた!


 おじさんも一仕事終えた気分で休憩用の部屋に行き、ベッドにデコイを置いてマヨヒガへと戻った、何せ今日の夕飯はリトルオーク肉の豚丼なので帰らないと言う選択肢は無い!


 どうせ、本に夢中で気付いては居ない様だしね。

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