第95話 元おじさん・・・夜の快楽街に訪れる。
39階層は如何やらそれほど大きなエリアでは無く、灯りが煌々と目に映るあのネオン街以外は建造物も無い様だし、何よりも脳内マップの索敵に敵対反応が一切無い事に驚いた!
まぁだからと言って油断してのこのこ姿を現す気は無いけれど、おじさんが知らないだけで索敵を誤魔化す手なんて幾らでも在るかも知れない。
「解、マスターの予想通り完璧なスキル等は在りません、何処かに抜け道の様な欠点があります、ですのでそれらを補う為にスキルの統合等を行います。
ですので今回の反応は、99%の確率でこの39階層は今迄発見されなかったエリア全体が安全地帯である可能性が在ります!」
おじさんもそう思う、でもダンジョンである以上は警戒を解かない様にしてくれ!
「了、
細心の警戒をしつつ街の入り口近くまで近づくと門の前に何とも場違いな豪華なソファーとその横に夜なのだがこれまた豪華で大きめの日除け傘を立て掛けて、そのソファー上で横座りでキセルを持ち、色っぽく煙を吹いている、胸元がこぼれそうな衣装の狐耳と尻尾の美人のお姉さんが門番?をしていた。
周囲の暗さも相まって篝火に照らされた狐のお姉さんの肢体が妖艶に映り何とも眼福である。
そんな見えそうで見えないギリギリの攻防をしていると、再度狐のお姉さんがキセルを吸い、煙を吐き出すと此方の方をじっと見つめて来た?
「ほう! おやおや! まあまあ! ようやくここまで辿り着ける者が現れたか! 良く来たのう客人!」
え! バレた!
「告、スキルは正常に機能しています!」
此方が焦るのを感じたのか、狐のお姉さんは妖艶に微笑みながら。
「客人の隠蔽や気配遮断はわしにも見破れておらぬ、じゃから別の方法で見破っただけじゃ、じゃから警戒せずに姿を現してくれぬか?
この『夜の快楽街39階層』は、殺し合いは御法度のアバルナダンジョン唯一の安全地帯じゃ!」
そう言いながら、お胸を空いている方の腕で軽く押し上げる様に強調して、更に少し困った様な表情で微笑んだ来る、・・・敵意も悪意も感じられなかったのでおじさんは観念してスキルを解く。
決して狐のお姉さんの仕草に釣られた訳では無い!
「あら♡ 予想外に可愛らしい御客人じゃのう♡」
ニコニコと微笑みながら色っぽい歩き方で近づいて来る、狐のお姉さん。
「改めまして自己紹介じゃ、わしは妖狐のルイじゃ! 皆からはルイ姐さんと呼ばれておる、よろしくの♡」
ルイ姐さんは軽くウインクすると此方を見ている、はいはい此方も自己紹介しますよ。
「どうも初めまして、ルイ姐さん! クロウ・クローバーです!」
「にゃにゃ!」「みゃみゃあ!」「きゃん!」
「そうかそうか、チャチャにノワにソラか、良い名前じゃの!」
ニコニコしながら答えるルイ姐さん、・・・理解出来るんだ! 少し驚いた。
「ふふっ、これでも四尾の妖狐じゃ、容易い事よ♪」
そう言って尻尾を四つに分けるとくるりと回転してその毛艶の良い四尾をみせてくれた、回りきる最後に一本の尾の先が軽く手の甲に触れたが、その毛触りの良さにおじさんゾクゾクしてしまった! な、中々危険な街だなここは。
「さぁ、あいさつも済んだ事じゃし、街の管理者に挨拶に行こうかの!」
確かに初めての訪問者らしいからそうなるのか?
「あの、いきなり訪ねても大丈夫なんですか?」
「うむ、問題無い! 問題無い! むしろ大歓迎じゃ! 後、敬語も要らぬよ」
「じゃあ遠慮なく、この街の管理者って誰なんですか?」
「まぁ管理者と言っても皆が面倒じゃから押し付けただけじゃがの♪
文句は言っておるが、面倒見の
上位種かな? 面倒見が良いって・・・いつも貧乏くじ引かされてる様な気がする、思わず同情をしてしまった。
「夜の快楽街39階層てどんな街なんですか?」
まずは情報収集から始めよう。
「ふむ、どんな街か? そうじゃのう、この階層全域が安全地帯なのは、詳しく伝えるのは禁止なのじゃが、この先からが非常に死に易いからじゃ!
そこで、この街で武具やアイテムを補給して万全の状態で攻略に向った欲しいという願いで用意されたのじゃが。
じゃが実際に始めてみるとのう、武具とアイテムの店は数件で殆どが酒場兼娼館と成ってしまってのう、いや~まいったまいった♪」
「まいったじゃ無いでしょう! 何故そんな事に為ったんです?」
「理由は単純でのう、39階層に集まった者達がほとんどエロ系の者達だったからじゃ!」
・・・。
「武具やアイテムは、ダンジョンから創り出されるからのう、ただ店で売るだけなのじゃが、知っての通りクロウが初めての訪問者じゃ!
正直今迄が暇でのう、やる事と言ったら『食う、寝る、飲む、性交』位しか無くてのう、店もほとんどが酒場と娼館と連れ込み宿ばかりに成ってしまったのじゃ!」
・・・・・・。
「じゃが安心せい、同意無しでの無理矢理の性交は厳重に禁止しておる!
その辺りは、人類種に合わせておるぞ、まぁ稀に同意の上でも激しい者もおるが、腹上死しても直ぐに蘇生薬か蘇生呪文で生き返らせるから大丈夫じゃ!」
・・・・・・・・・。
「まぁ詳しくは、管理者と話してみると良いじゃろう!」
今、幾つもの問題単語が出た様な、腹上死は置いといて、蘇生薬? 蘇生呪文?・・・この階層、他の階層よりもヤバイかも!
「告、マスターの想像通り蘇生薬や蘇生呪文は現在の扱いは、蘇生に関係するモノなのに死人が出るモノになっています!」
・・・。
「おう、そうじゃ! もしクロウも必要じゃったら、
蘇生薬が金貨1枚(10,000パル)、蘇生呪文の
お買い得じゃろう~♪」
・・・・・・お買い得じゃ無いよ~! 絶対に碌な事考えない馬鹿がやらかすよ!
彼女等としては、冒険者が死に易いからこの価格なんだろうけれど!
ダンジョンだからポンポンとこんなに簡単に・・・かんたんに?
ラヴィ? ちなみにラヴィは蘇生薬作れるの?
「解、素材は揃っていますので可能です! 既に幾つか保管した在ります!」
おおう、こっちも問題抱えていた!
どうしようこの件、ここまで来れる冒険者はまだ居ないけれど、いずれ辿り着いた時に何処かの馬鹿が折角の安全地帯を利用出来ない状態にする可能性が在るな!
・・・一応、管理者に忠告だけして置こう。
おじさんが口を出す事じゃあ無いし、良しそうしよう!
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