第93話 元学生さん・・・異世界を謳歌する。
俺の名前は
比較的目立たない人間だと俺自身思っている、でも何時か役に立てたいと通信教育で格闘技を習っていて、気になるあの子のピンチに颯爽と駆け付けて格好良い所をみせて! あわよくば・・・ふふっ♪
そんな妄想を思い浮かべながら学生生活を送って来たが、現実は俺に甘くなく、気になるあの子は幼馴染の男といつも楽しそうにしている。
普通は男女の仲の良い幼馴染なんて空想の中だけの話なんじゃないのか?
理不尽だ! 俺には可愛い女の子の幼馴染なんて居なかった!
高校生活にも慣れて来た頃、校外学習でバス移動と為ったが乗り物酔いをしやすい俺は一番前の窓側の席に座り、事前に飲んだ酔い止めの薬の所為で次第に眠くなり、バスガイドさんの説明も子守唄の様に聞こえた。
そして次に目覚めた時は・・・バスの正面に乗用車が突っ込んで来る寸前の光景だった!
死んだ! 瞬間的にそう思った! いやだ! 死にたくない! まだ童貞なのに! あの車の運転手!絶対に赦さねぇ!
様々な感情が渦巻く中、目を開けるとそこは薄暗い石造りの大部屋だった!
何が起きたのか分からなかった? 此処は何処だ? バスは何処だ? 他の皆は?・・・みんな? そうだ他の人達は如何した! 俺が慌てて周囲を見回すと!
「おおっ! 遂に成功だ!」「いよいよ、悲願の達成だ!」「陛下! 陛下に今直ぐ知らせろ!」「4人も居るぞ!」「我等が帝国の偉大なる始まりだ!」
周りのフードを被った怪しい連中と金属の鎧を身に着けたゴツイ体格の連中が俺を、いや俺達を取り囲む様に見下ろしていた。
俺以外には後3人居て、どいつも知っているだけで交友は無かった。
混乱した頭を整理しつつ、単純だが俺の考えが行き着いた結論は『異世界召喚』!
ラノベやアニメや漫画でお馴染みの異世界に俺が選ばれた!
そう思うとドキドキした!
普段は目立たず、周囲の楽しそうにしている男女に嫉妬して、今の自分の境遇に嫌気をさし。
妄想の世界で俺TUEEEEをやりながら無双して、ハーレムでイチャイチャする自分にニヤケつつオカズを吟味していた俺が異世界に召喚された!
「おい! 此処は何処だ!」
今まで黙っていた内の・・・え~と? 確か、そう! 鈴木賢士(すずきけんじ)だ、体格も態度もデカイ奴で自分勝手で俺様主義の口よりも先に手を出すのが早い奴でクラスでも煙たがれている。
「サッサと答えろ! 手前等!」
いつものやり口だ、とにかく怒鳴って相手を委縮させて自分の意見を通そうとするが、実はコイツ見た目と違い強くはない、相手に自分の常套手段が効かなく、格上だと感じると悪態をついては逃げるのだ。
いつもの事と冷めた目で見ていると、もう一人のお調子者がこの状況に乗って来る。
「サッサと答えた方が良いぞお! ケンジ君怒らせると大変な事に為るぞ!」
この状況で余計な事を喋るこの馬鹿は佐々木乃夫(ささきのぶ)と言い、物事を良く考えずにその場のノリで行動する奴だ。
こいつの軽率な行動で迷惑を
更に質が悪いには全く反省もせずに同じ事を繰り返すのだ、今も事態を悪い方向に持って行こうとしている悪ふざけで!
「お待ちください! 異世界の勇者様! 詳しい御説明は私達が致しますのでお怒りを鎮めて頂けませんか!」
馬鹿2人の所為で険悪になりそうな雰囲気を
思わず見惚れてしまった! 美人でスタイルも良く周囲から良い匂いがする!
「ひ、姫様方!」「どうして此処に!」
如何やらあの美少女達はお姫様の様だ、彼女等は此方の機嫌を
そうなると、うちのクラスの女子とは全然違う異世界の美少女に俺も含め鼻の下を伸ばし、淡い期待を妄想しつつ二つ返事で了承した。
だって、高1の童貞にこの色香と色気には逆らえないってホント、魅了されてしまうんだよ!
その後は素直に別室に案内されて行った、案内された部屋はあの薄暗い大部屋とは別物の豪華な応接室でお姫様達に席を進められ、豪華で座り心地の良い席に座り一息付くと、一目で釘付けになるけしからんメイド服を着た女性が飲み物と茶菓子を俺の目の前に強調した胸が来る様に置いて行った。
室内に
初めて飲む味だったが香りも良く喉越しも爽やかだった。
俺達が落ち着くのを見計らって、お姫様の1人マルガリア・ニア・メルディオス様が説明を始めた。
この世界は『ルドラガ』と呼ばれていて、俺達が今居る場所は『神聖メルディオス帝国』と呼ばれる大国らしい。
そして俺達は
今の世界は様々な種族や国々が入り乱れているらしいがかつては『古代帝国メルディオス』によって大陸の殆どが平和に統治されていたそうだが、魔物達の卑劣な策略により国は分断されて今の規模に成ってしまったそうだ。
涙ながらに語るマルガリア様に俺は思わず目頭が熱くなった!
良く見ると、五十嵐と佐々木も俺と同じ様だった、ただ一人違うのは大居悟(おおいさとる)だ! 多少勉強が出来るからって偉そうにしているキザ野郎だ!
こんな話を聞いて、何でこいつは冷めた目で見ているんだ! しかも出された物に一切手を付けないで失礼なヤツだ!
こんな薄情なヤツは放って置いてマルガリア様の話を聞く事にした。
大まかにまとめると俺達に大陸を帝国に取り戻す為に力を貸して欲しいそうだ。
勿論その間の生活や装備等の全てを帝国が保証するし、望めば帝国で用意出来るモノは何でも準備してくれるらしい。
勿論、元の世界に戻りたいのであれば帰還魔法陣の準備をするが、俺達を呼ぶ為に、用意した魔力を全て使用してしまい、直ぐには帰還魔法陣を起動させるのは無理なので魔力が十分に貯蓄出来る間だけでも良いから協力して欲しいと頼まれて俺は快く了承した。
さらに細かい話は明日、この部屋で再度行う事に成り俺達も初めての異世界で心身共に疲れているだろうから、各人に個室を用意したので疲れを癒して欲しいと気を使ってくれた。
マルガリア様達にお礼を言ったのち、それぞれに2名のメイドさんが付き個室へと案内された、更に案内をしてくれたメイドさん達が俺専属でお世話をしてくれるらしく、思わず膨らんだ下半身を気付かれない様に個室へとメイドさん達と共に入室した。
・・・・・・そしてその夜・・・俺は男に成った!
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