第87話 元おじさん・・・挑戦する。



 レベル1507って無理だろうどう考えても・・・ラヴィこのレベルの魔物が地上で確認された場合はどんな対応がされる?


「解、出現する場所にもりますが人族の活動圏内でしたら国々が連合軍を編成して、英雄と呼ばれる各国の最高戦力を投入した状態で80%の確率で全滅して各国を魔物が満足するまで蹂躙されます。

 そして、19%の確率で全滅と引き換えに追い払う事が出来ます。

 最後は1%以下の確率で奇跡が起きて謎の人物に魔物が討伐されます。

 その後、魔物の素材を巡って各国で大規模な戦争に発展するでしょう」


 最後の1%が余計だけれど要するに手に負えないと言う事か、人族以外だと如何どうなんだ?


「解、一般的な人族種、人・獣人・エルフ・ドワーフ・竜人・他等以外ですと、上位種に当たるエルダー種、ハイ種、龍人等でしたら追い払うだけで無く討伐も可能かと思われます。

 更に付け足しまして、レベル1500程度は魔境や聖域等と呼ばれる所では普通にウロウロしています」


 ・・・そうなんだ、驚く程でも無いのか?


 う~ん、もう少し調べてみるか、まずは部屋の内部の調査をしよう、ただ内部に入るのは危険感知が警報を鳴らしているので却下、こんな時こそ妖精の指輪を利用して偵察しよう。


 感覚共有をした疑似妖精を室内に侵入させて室内を見回して見たが宝箱(疑似餌)以外は何も無い殺風景な室内だ。


 天井と内壁に触れてみたが外壁と同じ手触りだった、次は床の赤い絨毯に触れてみるとフカフカの手触りで心地良いのでしばらく触れていると、絨毯がうごめき出して絨毯の毛が疑似妖精に絡みつき動きを封じて来た!


 此方の動きを封じると宝箱(疑似餌)の蓋が独りでに開き宝箱の中からサーモンピンクのウネウネとした無数の触手が這い出て来た。


 おじさんは咄嗟に危機感を感じて疑似妖精の実体化を解除して感覚を自身に戻した。


 獲物が消えた事に気付き周囲を探る様に探す触手の1本が此方に気付いて先端を向ける、向けた先端の先が縦にグパッと開きその奥から眼球の様な器官がせりあがって来る。


 その眼球と目が合うと自分的には眼球がをした様に感じたが、眼球が此方に対してスキルを使用しようとしたのを感じて、急いで室内に魔法を打ち込んだ!


『十字雷槍』『ファイアーボール』『ウインドソー』×5 『アイスジャベリン』×5・・・『雷鳴』!


 立て続けに魔法を打ち込んで最後に豆腐ハウス全体に高威力の魔法を使用した。


 周囲に激しい轟音が響き渡り煙が辺りを覆った、その後に煙が晴れて静寂が訪れたので確認をしたが豆腐ハウスは無傷だった。

 中も覗いてみたが内部も綺麗なもので傷一つ汚れすら無かった。


「解、マスターの攻撃魔法の威力を上回る回復力で修復している様です」


 納得した、ただ疑問だ! こんなバケモンどうやって討伐するんだ!

 これだと36階層以降には永遠に辿り着けないだろう!


「・・・! 告、マスター朗報です! 36階層への階段を発見しました。

 隠蔽と偽装を組み合わせて隠していた様ですが、私でなければ見逃していました!」


 おお、じゃあ無視して進んでも良いのか?


「解、問題ありません、たかがレベルが高いだけの置物ですので気にする必要はありませんよマスター、先に進みますか?」


 ・・・(レベルが高いだけか)ラヴィもう少し調べてみるからランクが低く粒子化しない様に加工した魔物の死体を用意してくれ。


「了、何時でも取り出せます」


 おじさんは再度、豆腐ハウスの中を覗いて変化が無いのを確認すると宝箱の前に加工済みのゴブリンの死体を投げ込んだ。


 投げ込んで数十秒で床の絨毯モドキが拘束、続いて宝箱が開き触手が這い出て来てゴブリンの死体をまさぐりながら触手が侵入出来る入り口を探して見つけた所から次々と入り込み、内部から体液を吸い始めた。


 中々見ていてグロい、体液を吸い終わると干乾びた状態のゴブリンを触手が持ち上げてそのまま箱の中へと消えて蓋が締まり、中からゴリゴリとすり潰す様な音がした。


 ・・・答え合わせが出来ました、35階層はこのトラップハウスの餌場に為っている、ダンジョンモンスター同士で戦わせて最高の状態に為った所で魅了と誘引で無力化して食べてしまい、その際に得た高い経験値でこんな馬鹿げたレベルにまで成ってしまったという事だな。


 確かに、ラヴィが言う通りレベルが高いだけで強いとは言えないな、やり様が在りそうだ。


 ・・・う~ん、ネックなるのはおじさんのMP不足かな? ラヴィ、MPタンクの残量ってどの位あるの?


「解、ダンジョンでかなり貯蓄出来ています、現在はMPに変換した分だけで5千万程あります」


 ・・・? はあ! 5千万! その言い方だとまだ変換出来る素材が在るって事だよね?


「解、他の生産素材としても使用しますので重要度の低い素材からMP・SPに変換しています。

 MP5千万では不足でしょうか?」


 いや、十分です! 100万MP位使用出来れば問題無い、流石にそんなバカでかい量のMPを操作出来る自信が無い。


「(100万MPでも十分に普通は操作が難しいのですが、良い具合に常識がズレ始めて来ました♪)」


 良しこれで討伐まで行けるかは運次第だが嫌がらせには十分な威力は在るだろう。


 ではこれより、オペレーション・「まさに悪魔の所業」を開始する!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る