第86話 元おじさん・・・頭を抱える。



 35階層の豆腐ハウスを眺めながら壁に触れてみた、つるつるしている石の様な?金属とも違う? 材質が良く判らない? 鑑定では白質の壁と出た。


 軽く叩くと、コンコンと軽い音がする、少し大胆にヒルディアを槍に変化させて壁を軽く刺してみると、抵抗無く穂先が壁に刺さった。


 そして一度引き抜いてみると、抜いた途端に壁の刺し傷が修復された。


「解、高い修復機能が有る様です」


 この豆腐ハウスは階層主の部屋なのか? それとも別のイベント関係の部屋?


「解、内部を確認しない事には判りません、私が鑑定系スキルを駆使しまして調査をしてみましたが内部に関しての情報が得られていませんでした」


 ・・・う~ん、扉を開けて覗いてみるか、如何どうしようか。


「告、マスター索敵に反応在り! 此方に4体のダンジョンモンスターが接近中です」


 おっと、のんびりし過ぎたか? ここが最終決戦場なら直ぐに隠れてこの階層の秘密を暴くかな!


 姿と気配を消しておじさん達は勝ち残った4体の精鋭による戦いを観戦する事にした。


 四方から中央に向かってくる4体はそれぞれ、ゴブリンジェネラル! ゴブリンロード! コボルトソードマスター! アントマプリンス!


 それぞれが中央に到着すると互いに見つめ合った後、一対一での戦いを始めた!


 ゴブリンジェネラルvsコボルトソードマスターとゴブリンロードvsアントマプリンス、4体それぞれがここまでの激戦を乗り越えて来ただけ在って凄まじい戦いを繰り広げている。


 ゴブリンジェネラルとコボルトソードマスターは接近戦での剣戟の応酬!


 ゴブリンロードとアントマプリンスは魔法を織り交ぜての駆け引きと読み合いをもちいた高度な戦い。

 

 観戦していて見応えのある戦いだ! あ、ラヴィ! 決着が付いたら次の戦いの邪魔に為らない様に落ちているして置いて。


「了、心置きなく戦えます様ににしておきます」


 気を利かせて周囲を綺麗にしていると、決着が付いた様だ!


 勝者はゴブリンジェネラルとアントマプリンスだ!


 互いに激戦だったのだろう、ゴブリンジェネラルは足を引きずり、アントマプリンスは4本の腕が2本に為っている。


 両者はみだれていた息を整えると覚悟を決めたのか武器を構える!


 先に飛び出したのはゴブリンジェネラルで負傷した足を無理矢理動かして突進する。


 しかし、その動きは先程迄の鋭い動きとは程遠く、アントマプリンスの魔法攻撃をまともに受けてしまい、どんどんとHPが削られてゆく・・・耐えに耐え、やっと近づいた所でアントマプリンスの一撃により息絶えた。


 機動力を失った時点でゴブリンジェネラルには勝ち目は無かったのだ。


 勝利を確信したアントマプリンスは高らかに雄叫びを上げた状態で進化が始まった!


 進化が終わりその場に悠然ゆうぜんたたずんでいたのはアントマキングだった!


 上位の支配階級種、確認されただけでも国が軍隊を派遣する程の大騒ぎとなるらしいとラヴィに聞いた。


 アントマキングは自身の体を確かめるとゆっくりと豆腐ハウスに向かって進んだ。


 おじさん達も気付かれない様に後ろからのぞき込みながら付いて行く、アントマキングが扉のドアノブに手を掛けて扉を開ける。


 微かにアントマキングと入口との隙間から見えるのは赤い絨毯と奥に見える豪華な宝箱だ。


 そして、アントマキングは扉を閉めて豆腐ハウスへと入って行った。


「告、マスター部屋内部に関しましては透視は出来ない様ですがアントマキングにマーキングをしておきましたので個体の状況だけは把握が出来ます」


 了解、異常が在ったら報告して。

 

「告、マスター異常発生です!」


 早いな! それでどんな状態だ!


「告、魅了・恍惚状態でHP・MP・SPが減少しています!」

 

 ・・・はぁ? えっと? あれか、エ エロい事されて搾り取られているのか?


「告、数値と状態表示だけの情報ですので何とも言えません」


 あれ? おかしな方向に答えが向っている?


「告、マスター、アントマキングの全ての数値が0に成りました死亡を確認しました」


 うわっ! 嫌な予感しかしないのだけれども・・・ラヴィ周囲で収集が出来る物は根こそぎ収集して置いて!


「了、最大範囲で収集します」


 良し! これで予想外の事が起きても忘れ物に気を取られないぞ。


 まずは、扉に対して目星・聞き耳を立てる・・・丈夫な扉だ・何も聞こえない。


 ドアノブに手を掛けてみる・・・何も起こらない。


 ドアノブを手前に引いて扉を開ける・・・普通に開くが何も起こらない。


 内部には入らずに見える範囲で目星・聞き耳・・・内部の床はフカフカの赤い絨毯、壁と天井は外壁と同じ白い材質の様に思える、部屋は見える範囲では奥に鎮座する豪華で煌びやかな宝箱以外は何も無い、草原の風の音しか聞こえない。


 宝箱に対して、〈スキル:神羅眼〉使用!


 —――—―—――――――—―――――――――

 【宝箱】:SSSランク・罠なし・施錠はし

 35階草主部屋の宝箱

 —――—―—――――――—―――――――――

 

 ?・・・んっ? ラヴィ、エタロー、シオりん、全力のサポートを頼む!


「了!」「任せろ!」「了解♪」


 〈スキル:神羅眼〉使用!


 —――—―—――――――—―――――――――

 【宝函】:SMランク・罠もし・施錠梨

 ト5改装牛部屋の宝餌

 —――—―—――――――—―――――――――


 ・・・・・・つぅ~~(鼻血)  パキッ パキ ビキッ バキバキッ


 パリ~~ン!


 —――—―—――――――—―――――――――

 トラップハウス・××××××の疑似餌兼触手口ぎじえけんしょくしゅこう

 —――—―—――――――—―――――――――


 ハァ! ハァ ハァ ハァ ハァ  うっ! ゲホゲホッ! ゴホッ! ガホ!


 おじさんは膝をついて咳き込む、き キツイ! あっ、鼻血が出てる。


「にゃあ~~」 チャチャ達が心配そうに駆け寄って来る・・・ああっ癒される。


 何だこれ? 疑似餌? 触手? トラップハウス?


「解、魔法生物の一種で獲物を様々な方法で誘い込み罠にハメたのち捕食します」


 じゃあ、トラップハウスが階層主で良いのかな?


 取り敢えず、〈スキル:神羅眼〉使用!


――――――――――――――――――――――――


【種 族】 トラップハウス・××××××


【年 齢】 ×××歳


【性 別】 不明


【状 態】 正常


職 業ジョブ】 35階層主


【レベル】 1507


【心体力】


H  P:鑑定不能


M P:鑑定不能


S P:鑑定不能


筋 力:鑑定不能


攻撃力:鑑定不能


体 力:鑑定不能


防御力:鑑定不能


知 力:鑑定不能


精 神:鑑定不能


速 度:鑑定不能


器 用:鑑定不能


魅 力:鑑定不能


幸 運:鑑定不能


【スキル】


・偽装:LvMax ・隠蔽:LvMax ・魅了:LvMax

・誘引:LvMax ・ハッキング:Lv5 ・思考誘導:Lv7

・技巧(触手限定):LvMax ・挑発:Lv6 ・超回復:Lv8


【補 足】


・少しずつ獲物(ダンジョンモンスター)を捕食している内にレベルが上り特殊な進化を遂げたトラップハウス。


・35階層限定でダンジョンのシステム設定を操作出来る様に成った為、質の良い獲物(餌)を作る為に現状の状態に変更した。


・長年に及び続けて来た為、Lv1500越えの化け物に成った。どうしよう?


―――――――――――――――――――――――


 どうしよう? じゃ無いだろう! 思わず頭を抱える。


 ・・・無視して次の階層に進めないだろうか?

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