第88話 元おじさん・・・作戦開始。



 ではこれより、オペレーション・「まさに悪魔の所業」を開始する!


「告、マスター、ネーミングセンスが酷いです!」


 ほっといて! 自覚しているから!


 さてまずは全員に作戦の全容を説明するとしよう。


 ・・・?・・・!・・・!!! 説明終了後、チャチャ達にニャーミャーキャンキャンと文句を言われたが遠くに避難していて良いと伝えたらあっさり了承した。


「告、マスター御要望のアイテムの準備が終了いたしました」


 ご苦労様、有難うラヴィ! 急がせて済まないね、試作品だけでは数が足りないと思ってさ。


「解、何処までが有効なのかが未知数ですので当然の処置かと思います」


 さて、準備も整ったし始めようか! まずはチャチャ達の待機場所に4輪バギーを予め出して置いて。


 じゃあ豆腐ハウスに襲撃を掛けますかね、まずは前回と同じように宝箱(触手口)前にゴブリンの死体を置いて捕食されるのを待ちます。


 触手に絡め捕られて箱の中に持ち帰る所でゴブリンの死体と共に解除済みの悪臭玉EXとついでに製作して置いた、刺激物を現状出来る最大で濃縮した、辛味、渋味、苦味、酸味を内包したボールを出来た分全部と、ラヴィが特殊な薬?を作る途中で出来た副産物の嗅覚と味覚を3千倍に増幅する薬もついでに放り込んだ!


 そして、蓋が閉まるのを確認してから、100万MPを注ぎ込んで魔法を詠唱する!


『全てを閉ざす永遠なる世界よ 凍て付き 凍える 万年の息吹よ 汝が静寂の抱擁にて 全てを包み込め!』


『エターナル・フリーズ』!!(エタロー命名)


 呪文と共に放たれた膨大な魔力が宝箱を中心に凍り始めて室内を氷で埋め尽くして行く、更に室内を埋め尽くすと入口から溢れた氷が豆腐ハウス全体を厚い氷で覆った。


 魔法の効果を確認してから直ぐにチャチャ達の居る4輪バギーのある場所に急いで移動した。


 途中から感じ始めて来たが、地面が微かに揺れている、チラリと後ろを振り向くと豆腐ハウスを中心に地面に亀裂が入り始めている、のんびりとはして居られないので急いで乗り込み、上空へと避難した。


 ある程度、肉眼で監視が出来る距離まで移動して様子をうかがう。


 上空から見ると良く判るが豆腐ハウスを中心に亀裂が無数に走っている。


 氷漬けの豆腐ハウスが小刻みに上下左右に揺れている・・・苦しいのだろうな。


 吐き出すにしても氷で全て埋まって居るし、100万MP注ぎ込んだからまず破壊出来ないだろうし、いや~酷い事したな~(反省の色無し)。


 そんな風に眺めていると、突如地面が盛り上がり! そこから白い腕が飛び出した! 更に飛び出した腕は1本だけでは無く、それぞれ対角線上から合計4本の白い腕が地表に現れると、地面にそれぞれの腕を押し付けて地面から這い出ようとしている。


 豆腐ハウスのみが未だに上下左右にがくがくと激しく揺れているがその下、地面に隠れていた部位が漸く姿を現した。


 ・・・あ~、うん・・・どう説明したら良いのかな? ありのままを説明すると異様な姿としか言い様が無い。


 ハッキリ言って人型では無い、頭部?が豆腐ハウスで胴体と思われる部分は白い円柱? いや下が先細っているから太い大根? その大根の上部に左腕と下部に右足が対角線上に4本生えている?


 つまり、豆腐ハウスが頭部の太い大根が胴体で左腕と右足が4本の巨体(約15m)こそが『トラップハウス』の正体だという事だ。


 自分で言ってみても訳が解らん?


「解、マスター魔法生物は大体が常識的では無い姿のモノが多々在りますので気にしたら負けです」


 ・・・了解した、しかし酷い暴れっぷりだな、転げ回っているぞ。


 氷を壊そうと手を豆腐ハウスに当てたら手が張り付いて氷に飲み込まれているし、十分過ぎるMPを使用しているから簡単に壊せる様には出来ていないのだよ。


 あっ、今度は地面に頭を叩き付けている、ドゴン! ドゴン! と激しい振動と大きな衝突音を響かせながら暴れるトラップハウスは何とか内部の異物(劇物)を吐き出そうとするが、豆腐ハウスを覆う氷を排除する事が出来ず、4本の腕も既に氷で半分が氷漬けに成り、胴体もじわじわと氷が侵食している。


 完全に錯乱状態に為ったトラップハウスは35階層を走り回り途中で地面に体を叩き付けたり、転げ回ったりして周囲のダンジョンモンスターを巻き込み蹴散らして暴れ回った。


 あれから2時間が過ぎたが、どんなに暴れても氷が融ける事も壊れる事も無く、むしろどんどん浸食して行って今では全身の半分が氷に覆われていた。


 もはや、氷塊と化した上半身を支える事が出来なくなりズリズリと引きっている。


 もう少しかな? と考えているとトラップハウスが動きを止めてピクピクと痙攣していた。


「告、如何やら限界の様ですね、状態も気絶と為っています」


 いやぁ、図体がデカいだけ在って時間が掛かったな。


 しかし、ラヴィが言った通り本当にレベルが高いだけだったな、ステータスも本来のレベル1500基準だと低いんじゃないのか?


「解、恐らく鍛えて上げた訳では無いのでステータス値も最低値なのではないのでしょうか」


 耐性も無いから今回みたいなイレギュラーに対応出来なかったみたいだし、さて目覚める前に止めを刺すか、ラヴィ急所は何処だ?


「解、現在調査中です・・・・・・発見しました! マスターの視覚に表示しますので、ヒルディアでコアを破壊して下さい」


 ラヴィの報告と共に目に前にコアの位置が表示されたので、ヒルディアを槍形態に変えてコア目掛けて構え、突き刺した!


 抵抗は殆ど無くトラップハウスの胴体に突き刺さった穂先はコア目掛けて伸びて行き貫いた。


「告、コアの停止を確認、HP0も確認、直ちに回収します、回収完了! お疲れ様でした!」


 目の前でストレージに回収されたトラップハウスを見送り、やっと終わったと溜息を吐き、マヨヒガへと帰還した。

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