第84話 元おじさん・・・駆け抜ける。



 33階層の湖のほとりを眺めながら脳内マップで索敵と探索を使用して攻略の計画を検討中です。


 森林には個別にウロウロしているダンジョンモンスターを確認して、湖には水面に群れで移動しているのと水中を泳いでいるダンジョンモンスターを確認した。


「解、森林をうろついて居るのは5階層主と同種のダイアウルフです。

 水面上の群れはグレーグースで灰色のガチョウです。

 最後の水中に潜んで居るのはレイクサーペントと呼ばれる大蛇です」


 ・・・3種類か、グレーグースは羽毛が取れそうだなガウンに羽毛布団寒い時期には良いかもしれないな、レイクサーペントは蛇皮も良い物なら色々と加工品が作れるよな、ダイヤウルフは階層主部屋ではそれほどドロップアイテムを入手出来なかったからここで狩れるだけ狩っておきたい。


 まずは状況を確認してみると、この階層は如何やら円形で、森林が外周をぐるっと囲み、中央には大きく広がった湖が占めている、そして湖の中央にポツンと小島が在るのを確認したのである程度探索を済ませたら行ってみよう。


 ラヴィの解析で森林は外側よりも先に出ようとするとランダムで森林のどこかに転移させられるらしく、下手をすると永遠に森林を彷徨う羽目に為るそうだ、方向音痴には厳しい仕掛けだ。


 34階層への階段もおじさん達が下りてきた場所から対岸の位置に在る様なので湖のふちに沿って進めば辿り着けるだろう。


 ・・・この湖って魚は居ないのだろうか?


「解、錬金術の素材に使用出来る水草等は在りますが、食材に出来る魚類は確認が出来ませんでした」


 色々と素材に成りそうな物は沢山在る様だから手早く進めていきますか。


 まずは範囲魔法の実験と行きますか!


『集え大気よ 集え黒雲よ 集いし交わり 産声を上げよ 鳴け! 汝は神の声なり! 落ちよ!』


『 神  鳴かみなり ! 』


 湖を指定して呪文を唱えると上空より凄まじい稲光いなびかりと共に巨大な雷撃が湖に落ちた!


 轟音と共に直撃した電撃は湖を縦横無尽に駆け巡り水面のグレーグースと水中のレイクサーペントをまとめて仕留めた。


 思った以上の威力におじさんも驚いている間にラヴィが粒子化する前に素早く回収をしてくれていた。


 ・・・その後は魔法の爆音に引き付けられて森林からダイアウルフが襲撃して来た、それに対応していると魔法の範囲外に居たグレーグースとレイクサーペントも参戦して来て、全ての討伐を終わらせるのにかなり時間が掛かったが、その分素材が多く入手出来てホクホクだった。


 思いがけない成果になったので予定を変更して小島を先に調べる事にした。


 久しぶりに4輪バギーを呼び出して、そのまま空中を走らせて小島を目指した。

 

 小島にはそれほど時間を掛けずに到着して上陸をした。


 そこは一面の花園で様々な花々が咲き乱れていた!


「告、マスターこの島の花々はポーション類やマジックアイテム類の貴重な素材です!

 例えばマスターの足元のオレンジ色の花は『ライフラワー』と云い上級HPポーションやエリクサーの材料に成ります。

 ダンジョン産ですので残す事は考えずに採取しましょう!」


 このテンションのラヴィは止めても無駄なので好きにさせる事にします。

 ラヴィは楽しそうに小島を丸裸にした。


 丸裸の小島の中心に花に隠れて宝箱が蓋の部分だけ残して埋まっていたので取り敢えずストレージに収納した。


 何故なら小島を囲う様にグレーグースとレイクサーペントが集まって来ていたからだ! 恐らくだが上陸するとこう為る様に仕組まれているのだろう、ただしおじさん達にとってはボーナスタイムだが、またデカいのを湖に落として全滅させたのち、4輪バギーで34階層への階段に向かった。


 特に襲撃も待ち伏せも無く辿り着いて、そのまま34階層へと進んだ。


 34階層は32階層と地形的に同じだった、ただ違うのは鎧の様な外皮をした大猪にまたがった黒いオーク、アーマーボアとブラックオークが其処彼処そこかしこを走り回っているのだ。


 ・・・おじさんにはその姿が過去に見た事の在る暴走する族の人達に見えた、何故ならアーマーボアに色々と装飾をして走り回っているので、あっ、でも良く見ると武装をくくり付けている様にも見えるな。


 おじさんも負けじと4輪バギーを呼び出しチャチャ達を乗せていざ騎乗戦だ!


 草原を駆け抜けながら迫り来るブラックオーク達を魔法やヒルディアを長槍に変化させ攻撃して、チャチャとノワは巧みな立体起動移動でアーマーボアを渡り歩きながら仕留めて行き、ソラはバギーの後方を警戒しながらミスリル槍で対応している。


 ついでに遊撃で雷球ビットを2つ飛ばしてエタローとシオりんに操作させている。


 装飾かと思っていた物は投げ槍だったり替えの武器だったりで実用性の在るものだった、ただ羽飾りは自己主張の一部だと思う。


 そんなチェイスをしながら気付いた時には後方に長い列が出来上がり、おじさんが先頭を走り爆走している。


 ・・・チョット爽快感が在るかな? さてこれだけ集めたらそろそろまとめて仕留めるかな。


 おじさん必死に追いかけて来る集団に向かって『ピットホール』と『ストーンウォール』の呪文を使用した。


 後方から悲鳴と衝突音が鳴り響き暫くすると静かに成った。


 引き返して確認すると、中々酷い惨状に為っていたが流石に生命力が高いのか辛うじて息が有ったので皆で止めを刺していった。


 全てストレージに収納して35階層への階段に進み道中たまに絡まれながらも目的地に到着した。


 周囲には異常が無かったのでそのまま35階層へ向かった。


 35階層は31階層と同じ大草原だったが今までと明らかに違い、所々でダンジョンモンスター同士で争っていた?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る