第79話 元おじさん・・・ムカついてヤッてしまいました。



 セーフポイントに居た3人組を放っておいてそのまま30階層へと進むおじさん達、冒険者ギルドの記録ではここから先は未知の領域らしいが恐らく到達はしたが生き残れなかった者達も居るだろう。


 30階層に辿り着きダンジョンモンスターを確認してみて、ああこれは不味いなとおじさんは思った。


 蟻だよ、蟻! 小さいので全長約2m、大きいので全長約4mの頭の赤い蟻。

 レッドヘッドアントと呼ばれる種類らしく、働き蟻と兵隊蟻が8対2位の割合でうろついて居る。


 かなり、わさわさうごめいている、おじさん思わず卑怯でも何でも良いから『女神ドゥジィンのフルフェイスマスク』を装備して結界を張った。


 結界の外側でわさわさと群がるレッドヘッドアント・ワーカーとレッドヘッドアント・ソルジャー、正直キモイです! まぁ内側から攻撃を入れて討伐してはいるけれど30階層は余程の技量が無いと全滅が確実だな。


 レッドヘッドアントとたわむれながら30階層の探索を続けて、鉱脈の吸い上げと隠し部屋への強襲、レッドヘッドアントは彼方此方あちらこちらに隠し部屋を作る様でアタリハズレは在るけれど中々良い物が隠してある。


 しかし、数が多いなどれだけ増えていたんだ? レッドヘッドアントが次から次へと襲撃して来るのでおじさん少々うんざりして来ました。


「解、ここまで辿り着けた冒険者がほとんど居なかったのでしょう。

 間引き出来ない分、どんどん増えて更に30階層を独自に増築して行ったのだと思われます」


 ああ、だから他の階層に比べてやたらと広いんだ、通常奥に在る筈の階層主部屋が中央辺りに在るし、どんだけ増築しているんだこの蟻達は?


「解、襲撃者が居なかったので本能のままに増築をおこなったのではないのでしょうか」


 ・・・ヒマだったんだ。


 そんな、レッドヘッドアントのヒマな時間を解消して挙げながら階層主部屋に到着した、30階層をぐるっと視回みまわしても良いのだがマップで確認しただけでもだだっ広いのでマッピングだけして置いた。


 そう言えば今までの階層のマッピングしていなかったな。


「告、その件でしたら私の方で既に済ませてありますので御安心を」


 流石ラヴィ頼りになる!


「告、敏腕秘書ですから当然です」


 頼りになる相棒は心強いね、おじさんだけなら色々と詰んでいる状態に為る自信が在るからね!


 まぁ自虐ネタはこれ位にして、階層主に会いに行きますか。


 扉を開けて中に入るとそこには一体の巨体のレッドヘッドアント鎮座していた。

 如何どう見てもレア個体ですね分かります。


 〈スキル:神羅眼〉使用!


 ―――――――――――――――――――――――


【種 族】 レッドヘッドアント・キング


【年 齢】 100歳


【性 別】 ♂


【状 態】 正常


職 業ジョブ】 駄王だおう


【レベル】 60


【心体力】


H  P:1900/1900


M P:1200/1200


S P:400/400


筋 力:400


攻撃力:400


体 力:550


防御力:550


知 力:100


精 神:500


速 度:100


器 用:100


魅 力:500


幸 運:100


【スキル】


・身体強化:Lv5 ・爪攻撃:Lv5 ・噛みつき:Lv5

・体当たり:Lv5 ・圧し掛かり:Lv5 ・重撃:Lv5

・物理耐性:Lv5 ・魅了:Lv5 ・悪食:Lv6

・怠惰:Lv6 ・色欲:Lv6


【補 足】


・特殊条件でのみ発生するレアダンジョンモンスター。

・発生条件:初挑戦でダンジョンを単独(従魔、使役は含まれない)でレッドヘッドアント・ワーカーを50体、レッドヘッドアント・ソルジャーを10体を討伐した状態で25階層の階層主に挑む事で条件が満たされる。

・メス社会であるレッドヘッドアントおいて魅力と運とスキルのみで生き抜いて来たレア個体(オスは用済みに成るとレッドヘッドアント・クイーンの産卵の為の栄養に為る)。

・食べる事と繁殖行為にしか興味が無く、襲撃されてもその硬い甲殻で防ぎその間にスキルで相手の精神抵抗を低下させて魅了し洗脳して無抵抗に成ったらそのまま丸齧まるかじり。


―――――――――――――――――――――――


 なんか腹を搔きながらヤル気の無さそうな雰囲気をかもし出しているがヤッちゃっても問題無いよね?


「解、問題ありません、通常であればステータスとスキルが厄介な相手ですがマスターが相手に場合只の動かない的です」


 ・・・通常だとどんな風に厄介なんだ?


「解、レッドヘッドアント・キングは硬い甲殻とスキル:物理耐性により物理攻撃に対して高い防御力を有しています。

 更にスキル:怠惰によって周囲に強力なデバフが撒かれて対象のステータスを大幅に低下させます。

 そこにスキル:色欲の効果で耐性が低下した相手はレッドヘッドアント・キングに対して欲情します。

 そして、畳みかける様にスキル:魅了で洗脳してしまい完全に無抵抗になった相手を捕まえて捕食してしまいます」


 要するに今の説明とステータスの補足を合わせると繁殖行為を済ませて用済みになりクイーンの栄養にする為に始末をしに来た相手を返り討ちにして今まで生き延びて来たと言う解釈で良いのかな?


「解、おおむねその通りです」


 ぶわっ! 少し可哀そう(涙) ・・・ガシガシ・・・ボリボリ・・・フワァ~(大欠伸)おおあくび・・・ピキピキ# やっぱり始末しよう!


 おじさんはあのムカつく顔面に十字雷槍を10発程叩き込んだ!


 全く動かない的だったので決着は直ぐに付いた、サッサと回収を済ませて31階層へ向かう事にした。


「告、レッドヘッドアント・キングが全く動かなかったのはスキル:怠惰の影響です、強力なデバフを振り撒く代わりに自身の行動も強い欲求を有するモノ以外は緩慢かんまんになります」


 なるほど、食欲と性欲以外はどうでも良くなっていたと。


 ラヴィからの説明を聞きながら31階層へと降り立つとそこは。


 軟らかい太陽光が降り注ぎ、さわやかな風が吹く、緑の匂いが心地良い大草原だった。

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