第60話 元おじさん・・・物欲センサー発動。



 おはようございます、現在16階層蜘蛛の巣だらけの通路前です。

 この先にはトラップスパイダーが手薬煉てぐすねを引いて待っているらしく実際に見える蜘蛛の巣と魔力を通した透明な蜘蛛の糸で絡め捕り動きを封じて毒牙でパクリと噛んでどくどくと毒を注ぎ込んで来るらしい。


 さらに16階層はトラップが多めに在りそのトラップの前後に蜘蛛の巣を張って冒険者を仕留め様として来るらしいが、あからさまに蜘蛛の巣が在る所は前後に罠が在ると云う情報を知っていると難易度が下がり攻略し易いそうだ。


 まぁおじさん達は見える糸も見えない糸も全ての糸をストレージに収集してしまうのだけれども、多少ずるいけれど生きる為です、蜘蛛さん色々と頂いて行きます。


「告、マスター、トラップの位置はマップに表示しますので参考にして下さい」


 ありがとうラヴィ、周囲に居る冒険者とかち合わない様に糸の回収とトラップスパイダーの討伐と回収をしながら17階層に向かおう。


 トラップスパイダーの糸についてだが既に蜘蛛の巣として張られている糸は布地にするには向いて無いらしく主に紐やロープ等に加工するらしい、そして布地に加工するのがドロップアイテムのトラップスパイダーの糸か解体で腹部に在る糸を生成する分泌腺を取り出し特殊加工で生成する糸で肌触りの良い布地を作る事が出来る。


 更に魔力を流す事で出来る透明な糸には様々な使い道が在るらしく、上位の種属に成る程に品質や性質が良くなるそうだ。


 そしてドロップアイテムはトラップスパイダーの糸、トラップスパイダーの魔糸、神経毒瓶入り、トラップスパイダーの眼球、トラップスパイダーの甲殻、魔石(小)等が手に入る。


 Bランク位になるとこの辺りは良い稼ぎ場の様で何組かのパーティーがウロウロしているがマップで丸分かりなので遭遇せずに17階層へと降りた。


 17階層もトラップ多めらしく此処のダンジョンモンスターはマーダーカメレオンと云うらしく姿を消して伸びる舌で攻撃し、舌の先に鋭い突起が生えていて獲物を突き刺し麻痺毒を注入して丸呑みにするらしいが、姿と気配が消せても魔力は消せないので魔力感知持ちが居るとまる分かりらしく遠距離攻撃の良い的になるらしい。


 それにこの17階層のマーダーカメレオンは殆どがトラップの奥付近で待ち構えているのでこの情報を知っていると魔力感知が無くても取り敢えずトラップの奥を攻撃すれば大概攻撃が当たるらしく一度当たれば姿を現すのでトラップに気を付けて討伐すると良いらしい。


 ドロップアイテムはマーダーカメレオンの皮、麻痺毒瓶入り、マーダーカメレオンの舌、マーダーカメレオンの眼球、魔石(小)等だ。


 今回は待ち伏せをしているダンジョンモンスターばかりなのでマップで位置も分かり遠距離攻撃で済むので割と楽である。


 何事も無いまま18階層に降り立ち周囲を警戒し調べてみたが目に見えて異常は無かった、後はラヴィからの情報待ちだ。


「告、18階層のダンジョンモンスターはジェルスライムです」


 ジェルスライムとはダンジョンや洞窟に生息するスライムでこいつ等も待ち伏せとトラップを仕掛けて来る、まず岩場や平らな石床に自身の分泌液を塗りたくる、その後、天井に移動して獲物が掛かるのをひたすら待つ、分泌液はヌルヌルヌメヌメで粘性も在り無色無臭、見た目にも地面が濡れている位にしか思えないが、その場所に足を入れると殆どがつるりと滑る一度はまると全身ジェルまみれで立つ事もままならなくなる、そんな状態の獲物をジェルスライムは上から覆い被さり捕食する。


 ジェル自体には毒性等無く、水で流せば除去出来、他には洗浄や浄化の魔法でも簡単に綺麗に出来る。


 ジェルスライムについても事前情報が在れば濡れている場所の上を注意すれば直ぐにジェルスライムを視認出来るとの事、情報って大事だね。


 ドロップアイテムは、スライムジェル瓶入り、スライムパウダー瓶入り、スライムゼリー瓶入り、スライムフィルム、魔石(小)等がドロップする。


 ジェルは洗浄や水魔法で取り除き、ジェルスライムは魔法で討伐しながら19階層に向かったが、ここで宝箱がドロップした。


 鑑定して視ると。


 —――—―—――――――—―――――――――

 【宝箱】:Dランク・罠なし・施錠なし

 —――—―—――――――—―――――――――


 鉄製の宝箱だった、通常のダンジョンモンスターでもドロップするんだな。

 中身は

 ・スライムクッション(小)

 ・帰還珠(1/1)


 おお、帰還珠が手に入った、一回きりみたいだけれど、もしもの時の備えが出来たのは良い事だ。


 スライムクッションは非常に座り心地の良いクッションで人気らしく特にデスクワーク職やお尻に負担の掛かる仕事や馬車の座席のクッションとして引っ張りだこだそうだ。


 ふむ、どれどれ・・・ああぁ、良いわこれ! でももっと大きいのが欲しいな、全身が埋まる様なクッション・・・。


 マップに冒険者の反応無し、ジェルスライムの位置確認良し、・・・良し宝箱が出るまで狩り尽くそう。


 狙うはスライムクッション! 出来れば大きいクッション!

 こんな時こそ高い幸運値が唸る時、物欲センサー起動!


「解、その様なスキルは習得していません」


 気持ちの問題です、生前似た様なクッションを購入するかしないか悩んで結局無駄遣いになると自分に言い聞かせて断念しました。


 だが今ならジェルスライムから宝箱を頂けば入手出来ます。


 おじさんは心地良い安らぎが欲しいです!

 

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