第59話 アバルナ冒険者ギルド・・・ギルマスは頭を悩ます。



 シャク シャク シャク シャク   ん~~~っ

 効くぅ~ 風呂上がりのハチミツかき氷は格別です!


 みんな美味しそうに食べているし、ダンジョン産ハチミツ沢山収集しといて良かった。

 日本産とはまた違った味わいで美味しい♪


 色々あった一日だったけれども明日はダンジョン攻略だけに集中したいな。


 


 —――—―—――――――—―――――――――


 アバルナ冒険者ギルドSide


 ギルドマスター・トルマは頭を抱えていた、そんな隣で書類をまとめているアナシアが話し掛ける。


「ギルマス悩んでいても仕様しょうがないでしょ、何時かは起こる事だって予想していたじゃ無いですか、幸い被害者無しの状態で起きたのですから最大限利用しましょうよ」


「アナシアちゃんよぉ、簡単に言うが罰するにしてもこの条件じゃ軽く見る奴らの方が多いぞ」


「それはギルマスの采配次第で頑張って下さい・・・でも物事は望み通りには行かないモノですよ実際は、私の時もそうでしたし」


「アナシアちゃんの時は特殊だったの! こいつ等に関しては本来なら立証するのも難しい状態が、如何遣どうやっても誤魔化し様の無い御方から確実な証言を頂いて、しかも更生のチャンスを与える様にと言われたら見せしめの為に厳罰処置が出来ないだろう」


「ギルマス? 何も厳罰で無くても良いじゃないですか、更生も含めるならランクを降格させて1~2年昇格無しの罰金と追加罰則で新人さえ嫌がる依頼を定期的にこなしてもらってその時の態度を監視して罰則期間の延長か短縮かを判断して、更にその状態に耐えられない様なら更生の余地無しでギルドカード抹消とかにすればどうです」


「・・・どうですって、アナシアちゃんの提案の方がきつくないかい?

 それならスパっと厳罰で、全員罰金で払えない者は借金奴隷、ただし罪の重いリーダーは犯罪奴隷で鉱山で5年労働の方がはっきりして良くないか?

 その方が無茶をする若造達が同じ目に合わない様に少しは頭を使うと思うんだが?」


「・・・良い方に頭を使えば良いですけどね」


「怖い事言うなよアナシアちゃん、 ハア まあ取り敢えずは話を聞いてから、連中の態度を見てどれが妥当か考えるか、あまりに酷い様ならアナシアちゃんの案に追加で色々付け加えるか、アナシアちゃん必要書類は揃っているかい」


「もちろん揃っていますよ、先に15階層から戻って来たパーティーからもダンジョンでの異常の報告が上がっていますから、どんな態度を執るでしょうね! 私は誤魔化して最後は逆切れして罪状を増やすのに1パル賭けます。 ギルマスは?」


「賭けに成るかそんなもん、俺がどれだけの駄目な冒険者を視て来たと思う!

 連中、特にリーダーのパーカーは絶対に誤魔化すだろうよ!」

 苛立ちながらそう吐き捨てるトルマは突然、ハッと思い出した。


「いけねぇ、もう一つ忘れてた! Gコールを使用した冒険者も特定しないと、そして厳重に口止めしないと、何処かの誰かの様に茶飲み友達の感覚で世間話をされたら堪ったもんじゃねえ」

 そう愚痴を漏らし視線を向ける。


「ルールは守っていますから違反じゃありませーん!」

 素知らぬ顔で視線を逸らす。


「節度ってもんが在るんだよ!」

 呆れて叱るトルマ。


「ははっ、気を付けまーす! でも多分見付からないと思いますよ」

 あまり気にしない様子で答えるアナシア。


「どういう意味だそれは?」

 眉をひそめて問い掛ける。


「だって、ローズオネエ様が素性を隠して伝えて来たって事は本人が望んでいないって事だから」

 アナシアは真剣な面持ちで語る。


「・・・それでも冒険者ギルドのギルドマスターとしては調べて置かないとその上から叩かれるんだよ、例え無理でも形だけは遣って置かないと駄目なのが組織の辛い所なのアナシアちゃん!」

 ギルドマスター中間管理職の悲哀を漂わせながら語るトルマ。


 そうやって時間を潰しているとコンコンとドアがノックされた後声が掛かる。

「ギルマス、準備が出来ましたので会議室にいらして下さい」

 どうやら役者が揃ったらしい。


「御苦労、今から向かう。

 じゃあ、アナシアちゃん行きますか! 補佐宜しくね」


「了解です、ギルマス!」


 2人はドアを開け会議室へと向かった。

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 その後大方の予想通り、パーティー〈デッドエンド〉はリーダーのパーカーが率先してしらを切り、誤魔化そうとし、虚偽の報告をして、青筋立てたギルマスと楽しそうなアナシアに証拠を突き付けられたのち、全てバレている事に青ざめてパーティーに助けを求めると、メンバーは反省して更生しますから勘弁して下さい殆どの原因はパーカーがメンバーの意見を聞かずに無茶をしたせいだとあっさり見放した。


 元から最近パーティー内の意見の食い違いが起きていたらしく今回の事もパーカーが強引にダンジョン攻略を進めたのが事件の発端らしい。


 理由として自分達より低いランクのパーティーが20階層まで行けるのはおかしい!

 あいつ等が行けるのだからCランクに昇格したばかりの俺達だって問題無く行けるはずだ、先輩達万年Cランクの話なんて俺達を先に行かせない為の嫉妬による嘘だと力説したらしいが、実際は全くの力不足でドンドン追い込まれて15階層での状況を起こした。


 階層主も死人は出なかったが本当にギリギリで何とか倒せたが、人的被害に加え装備とアイテムの消費が激しく今の自分達では割に合わないと結論付けた、だがパーカーだけはまだ先に行けると息巻いた。


 しかしその時点でメンバー達はパーカーを追い出すか、自分達が抜けるかを考え始めていたらしい、更に巻き込んだ相手を事故で殺そうとした事がメンバーにも知られた事で愛想が尽きた様でメンバー達はパーティー脱退を突き付けた。


 パーカーとは別で処罰を受けたいと嘆願して来た事をギルマスは了承して、ランク降格は無しの罰金もしくはギルド指定の依頼を監視付きで規定数こなす事を彼らへの罰とした。


 そして、案の定パーカーはキレた、このままだと鉱山行きに成りかねないので逃げる為に持っていたナイフを使いアナシアを人質にして逃げようと掴み掛った!


 腕をつかんだままナイフをアナシアに突き付けようとした直後 カチャリ!とナイフを落とした。


 何が起きたのか分からずにナイフを持っていた右手を見ると手首がおかしな方向に曲がっていた、右手首に気が向いた瞬間に次は左腕に力が入らなくなった、良く見ると左肩関節が外れていた、すると次は右肩関節が外れ、次は左膝関節が外れた事で立つ事が出来なくなりその場に崩れ落ちた、パーカーは何が起きているのか分からないでいると外れた関節部位から激しい痛みが襲って来て思わず叫ぼうとしたが既にあご関節も外れていて上手く叫ぶ事も出来なかった。


 そんなパーカーを見下ろしながら次は右膝関節を外そうとした直前でギルマスが制止の声を掛ける。


「その辺で止めてやれ、それ以上壊すと治療が大変だからアナシア」


「壊していません! 外しただけです、関節を入れて回復魔法を施せば元に戻ります」

 少し不満げに答えるアナシア、その光景を引き気味に見ているギルマスとその他大勢。

「しかし、元Bランク冒険者〈骨抜きのアナシア〉は健在だな! 相変わらずおっかねえ!(笑)」

 笑いながらパーカーを拘束するように指示を出すギルマス。


「その二つ名は不本意です、そもそも乙女の柔肌にゲスな男が触れるからそんな目に合うんです! (小声で)私に触れて良いのは渋いオジサマだけです」


 こうして、パーカーは治療が終了する迄激痛に苛まれていた。


 パーカーはアナシアの予想通り罪状が増えて鉱山労働が10年に延長された。

 

 

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