第51話 元おじさん・・・鑑賞する。



 衝撃の事実を告げられてサスペンス物に成った所でラヴィが横幅の広いソファーとテ-ブルを作製して設置してくれたのでみんなで座る、此方の音が洩れない様に防音魔法を使用し、向こうの展開を聞き逃さない様に収音魔法を使用した。

 そして、好みの飲み物と茶菓子を置いて…さぁ準備は万端だ!


 この後の話の流れから次のような物語でした(ラヴィによる補足解説付き)。


 ・オルディン:役割、剣士兼リーダー 10年前の被害者で当時は幼馴染パーティーのまとめ役だった、実質のリーダー的立ち位置。


 ・エーコ:役割、斥候兼アーチャー 幼馴染パーティーの紅一点オルディンとは家が隣同士で家族ぐるみの付き合いだった、オルディンと密かに付き合っていたが周りにはバレていた。


 ・ビーグ:役割、戦士兼タンク 幼馴染パーティーの現在のまとめ役でオルディンの死後に酷く落ち込んだエーコ(初恋に相手)を献身的に慰めて2年前から結婚を前提に交際をしている(清い仲)。


 ・シーケル:役割、シーフ兼薬師 幼馴染パーティーのサポート役、罠解除から回復まで器用にこなす、最近馴染みの薬屋の娘(長女)と良い仲らしい(母親公認、父親攻略中)。


 ・デェーオ:役割、槍士兼リーダー(自称) 幼馴染パーティーのトラブルメーカー故郷の村の村長の3男で村でも評判の悪いチンピラ、扱いに困った村長が冒険者に成る為にパーティーを集めていた(既に揃ってた)オルディンにせめて独り立ち出来る迄、面倒を見てくれと金貨10枚で押し付けた(本人は自分のお陰で村を出れたと思っている)。


 あらすじは、仲良し4人組+お荷物1人のパーティーが迷宮都市で一旗揚げようと意気揚々と乗り込み、オルディンは仲間達との協力でお荷物が居ても何とか頑張りCランクへの昇進が間近だった時、オルディンがダンジョンで起きたスタンピ-トに巻き込まれて死んだ事が告げられる突然の悲報に動揺する仲間達、泣き叫ぶエーコ、芝居をするデェーオ、それでも1人を除く仲間達はたとえ無駄でも何か遺品を探そうと躍起になりダンジョンを探索した、しかし皮肉にもその行動が認められCランクへと昇進した。


 だが、結局は何の成果も得られなかった、落ち込む3人とは対照的にはしゃぐ1人当然パーティー内がギスギスするのは必然だがパーティー解散とまでは行かなかった、そして今までの勢いが嘘かの様に効率的で安全なダンジョン探索しかしなくなった。


 もちろん、その状態に不満を持ちデェーオは抗議するが多数決で常に却下される、ならばパーティーを抜ければ良いのだがそうも行かないデェーオの素行の悪さは有名でまともな冒険者ならまずはパーティーを組んでくれない、ソロに成ろうにも自分一人でダンジョンに潜る勇気等始めから無いのだ(寄生する気満々でいた)。


 そのままズルズルと約10年間続いたパーティーに我慢の限界が来ていたデェーオが11階層でゴールデンハニーを発見した、ビックチャンスであるまとまった金が手に入る!


 此処とは別の場所で遊んで暮らせるそんなチャンス!だが自分一人で追いかけたいが出来なかった、何故なら夢を見てしまったからだ!


 それは鮮明な夢だった、今まで見る事が無かった夢だ、そうオルディンの夢を!


 独りになるのを恐れた、オルディンが死んだ、いや自分がおとしいれたダンジョンで独りになるのが怖かったのだ。


 だから全員に知らせた、急ぐ様に急かした、しかし動きは鈍かった、やる気の無い言動、下らない冗談、更にさとされた事がデェーオの中で何かが盛大に切れた、気付いた時には大声で叫んでいた。


 それは今まで隠していた秘密であり、どうでもよいプライドの下らない自慢だ、オレ様がやってやったんだと自慢げに語る自白だった。


 (本人はそう思っている)それはたまたま闇市で手に入れた呪物のマジックアイテム、ダンジョンモンスターを活性化させる物らしくこの街で無許可で所持していれば発覚後間違いなく投獄される代物だ。


 デェーオはその呪物をオルディンの荷物に忍ばせて、こんな話を持ち掛けた。


「もう直ぐ、Cランクも間近だし昇進直後にエーコに贈り物をするのはどうだ?

 この辺りの流行りだと、相手の体の一部と同じ色の宝石をペアの装飾品で送ると喜ばれるらしいぜ、浅い階層でも稀に宝箱に宝石が出るらしいから回数重ねれば手に入るかもよ? 勿論バレない様に協力するぜ!」


 そうやってソロでダンジョンに向かう様に仕向けそこで小規模でもスタンピードが起きて騒ぎに成れば、上手く行けばオルディンを始末出来るし、生き延びても呪物が発見されて牢獄行きに成ると自信満々に語る。


 嬉しそうにダンジョンに向かうオルディンは滑稽こっけいだったと大笑いしていた。


 しかし、サスペンス物かと思ったけど、犯人はただの逆恨みじゃん、しかも被害者に何も落ち度無いじゃん、聞いていて頭の悪い計画だなと思えたが、まぁおじさんがとやかく言う必要も無いか、この先をどの様にするかは彼ら達なのだから…でもラヴィ、チョット相談して良い。


「解、準備は出来ています!何時でもどうぞ!」


 ・・・察しが良過ぎて助かるよ本当に。



 デェーオは自慢自白話が終わるとすぐさま、槍の刃先をエーコに向けて突き刺す!


 

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