第50話 元おじさん・・・観てしまう。



 おはようございます。

 おじさん少々気持ち的に寝不足です。

 何せ、エタローが昨日の戦闘の事で興奮して次の魔導神装の設計プランを考えると大はしゃぎでああでも無いこうでも無いと時間一杯語り続けるので正直寝た気がしない。


 取り敢えず、身支度をして食堂に行こうか。


「だからみんな起きてけてくれるかい」

 今日も布団に入り込まれています。

「みゃあ」「はぁい」「くぅん」


 朝食は、鮭の切り身の塩焼き(皮がカリカリ)、小葱入り出汁巻き卵焼き、小松菜のお浸し、豆腐の味噌汁、気分的にたまご掛け御飯が食べたかったのでだし汁と絡めて頂いた。


 さて、今日からは11階層からだな、此処はどんなダンジョンモンスターが出のかな?


「回答します、蜂型のダンジョンモンスターが出現します。

 その蜂型のドロップアイテム中で一番人気は蜂蜜です、ダンジョン蜂蜜は高値で取引されています」


「・・・この階層に、花って在るの?」


「回答します、マスター、花の蜜ではありません。

 蜂の蜜です、腹部に魔力を用いて蜜を生成する器官が在ります。

 ですのでこの蜂蜜は単体でも美味しくMP回復が出来ます。

 さらに上級MPポーションの材料としても使用されるので甘味としても素材としても高級品で実力のあるパーティーは蜂型の存在する11階層のダンジョン・ビーと15階層の階層主ダンジョン・ビープリンセスを狙います」


 ・・・そうだ此処は異世界だった、常識が違うんだった。


「補足します、マスター花の蜜を集める蜂型の魔物も存在します。

 あくまでダンジョン・ビーがその様な生態だと言うだけです」

 

 そうなのかぁ、ちょっと興味が在るな・・・あれ?

 プリンセス? クイーンじゃなく?


「回答します、現在これ等の階層での目撃情報は在りません。

 恐らく、もっと深い階層に存在する可能性が在ります」


 行って視なくちゃ分からないと!


「余談ですが、レア個体も存在してそのドロップアイテムの極上蜂蜜は最上級の甘味や素材として王家への献上品等にされています」


 いのちがあぶない?


「回答します、まともな冒険者なら秘密裏に冒険者ギルドか商業ギルドに駆け込みます」


 ああ、ギルドに秘密で買い取って貰うんだ。

 まぁ早々そんな事無いでしょうがね。

 そろそろ11階層に出るかな。


「じゃあ、出発するから各自警戒と隠密行動を心掛ける様に」


「ニャ!」「ミャ!」「キャン!」


「了解です、これより警戒モードに移行します」


 では警戒しながらゲートを開けよう。


 ・・・ゲートを開けた先でおじさんは目と目が合った、あれおかしい?

 索敵・感知系スキルに反応が無かった? ラヴィでさえ何も反応していなかった?

 幻覚・幻の類? 目の前に金色に輝く蜂が飛んでいる。


 此方が戸惑っていると黄金蜂は慌てて逃げ様とした瞬間!視界が突然変化した。


「告、間に合いました、マスター例のレア個体ゴールデンビーです、敵意も無く感知妨害のスキルを持っていますのでほぼ目視でのみの発見に頼るしかありません。

 発見しても気付かれると相手が弱くても即座に逃げます。

 ですので今回は高速思考を緊急で発動しました」


「なるほど、理由は理解した。 で! どうやって仕留めるの?」


「解、超加速は準備無しでは負担が大き過ぎますので今回は高速思考解除後に魔法で仕留めます。

 既に急所に目標をロックオンして在りますのでこの距離ならば避けられません」


「使用魔法は?」


「解、風魔法ウインドエッジで頭部を狙って下さい、ドロップアイテムと腹部の蜜袋を頂きます」


「了解、何時でも良いぞ!」


「了、高速思考解除します」


 解除と同時に目の前の景色が元の速度に戻った!

 逃げるゴールデンビーに対して既に準備の整ったおじさんが魔法を放つ!


『ウインドエッジ!』


 放たれた風の刃が正確に逃げる標的の頸部けいぶを切り裂く!


 頭部と胴体が別れたのを確認し。


「告、HP0を確認、回収します」

 すぐさまラヴィがストレージに収納した。


 ドロップアイテムも出現と同時に回収され心持嬉しそうに感じる声でラヴィが。

「告、極上蜂蜜瓶入り・魔石(小)・黄金蜂の羽×2・黄金蜂針剣の指輪がドロップしました。

 本体も既に解体済みで必要な部位は素材にしました。

 もちろん、蜜袋は回収済みです、やはりドロップ品よりも内容量が多いですね」


「随分と嬉しそうだね」


「解、当然です極上蜂蜜は最上級ポーション類の精製に必要不可欠な素材です」

 と熱く語るラヴィ。

「そもそもこのそ!…マスター! 4人パーティーが此方に向かって来ています。

 直ちにゲートを偽装で隠して下さい、此方が確認出来ない様にするだけで良いです」


 直ぐにラヴィの指示道理に偽装を施し、通路の先を見ると角から人影が現れた、一応3匹にも静かにする様に指示を出した、賢い3匹は手を上げて返事をした…仕草が可愛い♪



「・・・・・・・・・ぁ、本当に見たのか?」


「間違いねぇ!本当にゴールデンビーだって!」

 男は仲間に対して必死に説明している。


「でもここ数年、目撃情報すらなかったんでしょお、見間違いじゃないの?」

 仲間の女性は否定的な意見だった。


「そんなもん! わざわざ教える馬鹿が居るかよ! 極上蜂蜜が手に入ったら一生遊んで暮らせる位の金が手に入るんだぞ!」

 男は更に興奮して話す。


「見つけたとしてもう逃げられただろう、聞いた話じゃザコ相手でも逃げるらしいじゃねえか」

 仲間の男が笑いながら諦める様に言いくるめる。


「それに、普通の蜂蜜でも十分な稼ぎになるだろう。 大体お前の見たって言うゴールデンビーもダンジョンが幻で見せたトラップかもよ?…ぷっ ハニートラップってか!」

 もう一人の仲間が上手い事を言ったとばかりにくっくっくっと笑っていた。


 異世界にもハニートラップって在るんだ。


「ふざけてねぇで真剣に探せよ!」

 仲間の対応に男がキレた。


「おいおい、落ち着けよどうした? 最近のお前おかしいぞ?」

 仲間が男をなだめる。


「おかしくなんてない! むしろおかしいのはお前らだろう! 何で上を目指さない! この9年ずっとCランクじゃねぇかぁ! 俺達は1年足らずでCランクに上り詰めた新星パーティーだったろう! それが今では万年Cランクパーティーだと言われる始末だ! 悔しくないのかよ! せめて大金を稼いで連中を見返してやろうと思わないのかよ!」


 おお、熱血ドラマ? 飲み物が欲しいな。


「もう昔の話だろ、万年Cランクなんて幾らでも居るだろ? むしろ、俺達万年Cランクが経済を動かしているんだぜ!」

 そう言いくるめる仲間の話にもう一人の仲間が乗っかり。

「おお、博識だねぇ、しかし良い考え方だ、今だって十分稼げてるだろう? 危険な事しないで地道に稼ごうぜ!」

 そう言いながら親指を立てる。


 ふむ、確かに安全は大事だ。


「あたしもさぁ、無理する必要無いと思うよ、故郷での暮らしに比べたらずっと良いもの、何時までも子供じゃないんだからさ堅実に行こうよ」

 女性が尤もらしい事を言う。


 あ、これは不味いかも?

「問、不味いですか?」

 あんな頭に血が上った状態のやつに、お前大人に成れよ!みたいな事言ったら、


 ガキィィン! 甲高い音に意識を向ければ、男が持っていた金属製の槍の石突を床に叩き付け叫ぶ!


「ふざけるなぁ!! 俺がお前らを誘ってやったから、あのクソ田舎から出れたんだぞ! 役立たずで邪魔だった清々していたのにCランクに昇進してから全く上手く行かねぇ! お前らはせめてもっと俺の為に働けよ!」


 熱血物がサスペンス物に成った! ソファーと茶菓子が欲しい!

 

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