第48話 元おじさん・・・強敵に会う。



 10階層の階層主はゴブリンのパーティーらしい、内訳はゴブリンファイター、ゴブリンシーフ、ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンシャーマンの5体編成でパーティーで戦う分にはCランクならさほど強くは無いらしいがソロには辛い様だ。


 まぁおじさんは、頼もしい仲間が居るから問題無いけれどね!


 そんな訳で、準備万端で扉を開けた。


 部屋の中は入口から出て直ぐ広い空間に成っている。


 その中央に階層主が待ち構えている筈だが、中央にはゴブリンが1体しかいない?

 

「告、マスター緊急事態です、急いで鑑定をして下さい!」


 ラヴィの様子から直ぐに指示に従った、〈スキル:神羅眼〉使用!


 ―――――――――――――――――――――――


【名 前】 ゴブディン


【種 族】 ゴブリンブレイブ


【年 齢】 10歳


【性 別】 ♂


【状 態】 通常


職 業ジョブ】 ゴブリンの勇者


【レベル】 50


【心体力】


H  P:1440/1440


M P:640/640


S P:1000/1000


筋 力:320


攻撃力:320


体 力:400


防御力:400


知 力:120


精 神:200


速 度:200


器 用:300


魅 力:20


幸 運:15


【スキル】


・身体強化:Lv6 ・ブレイブハート:Lv5 ・剣術:Lv8

・ブレイブアーツ:Lv6 ・必殺技:Lv3


【補 足】


・特殊条件でのみ発生するレアダンジョンモンスター。

・発生条件:初挑戦でダンジョンを単独(従魔、使役は含まれない)で10階層の階層主に挑む事で条件が満たされる。

・約10年前に仲間の裏切りで殺された冒険者の魂魄をダンジョンマスターがダンジョンモンスターに改造し10階層の特殊階層主に任命した、そしてこの約10年間無敗のままレベルも上がりこの辺りの階層では手の付けられない状態に為っている、だが彼は止まらない如何いかなる強敵も今まで勇猛果敢に挑み打ち倒して来たのだから! がんばれ、ゴブディン! 負けるな、ゴブディン!

 

 次回 ゴブディン〇す‼   さぁ 決戦の時だ!!!


 ―――――――――――――――――――――――


 ・・・? すみません、最後の一文で意識が遠退きました。

 異常に強くないか? おじさんこれ勝てるのか? あと、裏切った仲間って生きてるの?


「解、この程度は異常には入りません、勝ち筋は出来ています、10年前ですので不明です」


「了解! それで、どんな勝ち筋なの?」


「マスター、アレを使用します」


「…ああ、了解だ」


 まだ、試作段階だがラヴィの提案だ使いこなして見せる。


「ゾロソロ イイが 準備デキダカ?」

 ゴブディンが語り掛けて来た。


「! 喋れるのか!」

 おじさんは咄嗟に聞き返した。


「おヴ ハナゼルぞ オデは ゴブディン お前ば?」

 名の問われたので答えた。

「自分は、クロウ」


「グロウだな ジャア 始めヨガ ダタガイを」


「随分と此方こちらに気を使ってくれるな、始めの方でも攻撃出来ただろ?」

 そう訊ねるとゴブディンはにたりと笑い。

「オデ ユウじゃ ユウガンなるモノ ギョウてきトノタダカイがヤクメ ヒキョオ良くない」


 おおぅ、何処かの人間達に聞かせてやりたい。


「…チャチャ、ノワ、ソラ、聞いての通りだ。

 卑怯は良く無いから一対一で戦うから手は出さない様に頼む。」

「ニャ!」「ミャ!」「キャン!」

 うん、良い返事だ。


「モオ イイガ?」

 そう聞きながらゴブディンは戦闘体制へと移行し始めた。


「ああ、ありがとう 御礼に良い物を見せよう」

 そう告げて、右手を軽く前に出し、てのひらに意識を集中する。


 〈スキル:魔導神装〉使用!


 スキル使用と同時にてのひらに球体上の魔法陣が現れる、その魔法陣を丹田の辺りに押し付けてから、エタローと協議しながら練習したポーズを決めて。


 『 変 身 』 と唱えた。


 すると魔法陣が解放され、謎の発光現象の後に現れたのは、全身が黒基調で所々に赤のラインが入った戦闘スーツが姿を現した。


 そして、右のてのひらを上に向ける様に返し人差し指を相手に向けて。


「 さあ、始めようか! 」

 とキメ台詞(エタローの希望)を告げる。


 それを見ていたゴブディンがにたりと笑い。

「クロヴ オモジロイな アア 始メヨウ!」


 ストレージから撲砕君を取り出し右手に持つと、ゴブディン目掛けて走り出す。

 ゴブディンも剣を構えて此方に切り掛かって来た。


 先ずは力比べと強化された筋力を乗せて撲砕君を叩き付けた。


 ガキィィィンン と激しい金属音と共に此方の一撃はゴブディンの剣で受け止められていた。


 あれ? 筋力では此方が倍以上に強化されている筈だけど、なぜ受け止められる?


「解、〈スキル:ブレイブハート〉の使用を確認しました。

 条件を満たすとステータスが増加します。ただし5分間の制限時間が在ります」


「グロウ つヨい ダシオシミじない!」


 ゴブディンが此方を押し返して来たので、力をいなす様にして間合いを取り直した。

 そこから互いに打ち合い始め、お互いの隙を探り合う形になった。


 ガキッ! ギイィン!  ガガッ! ゴッツ!  ビギイィッ! ガヅゥ!


「マスター、制限時間が過ぎれば此方が優位に成ります、如何しますか?」


「分っていて聞いてるでしょ! エタロー、ラヴィ、準備頼む!」

「了」『任せろ!』


「ゴノママ オワラぜナイ い ク ぞ !」

 そう呟き、剣を振り下ろすゴブディン!


 撲砕君で受け流そうとした途端、ゴブディンの剣が赤く発光した!


 危険感知が盛大に反応した、すぐさま撲砕君を手放し後方へ回避した。


 ドゴオオオォォン! 体にズシンと来る衝撃を受けながら回避する事が出来た。


 先程迄いた場所を見ると、撲砕君を含め周囲が粉々に成っていた。


「オレの ブレイブ・クラッシュ ヨぐ ガワシタ」


 必殺技ってやつか、おっかね~ じゃあ 此方も答えないとな!

 右足を後方へと下げる様に構えを軽く腰を落とし右足にMPとSPを集中する。

 右足が接している地面に魔法陣が浮かび、右足集中する様に吸い込まれ輝き出す。


「マスター、準備が整いました!」


「(了解)ゴブディン! い く ぞ !」


 その瞬間世界が変わった! 高速思考からの超加速と空気抵抗の減少魔法、今出来る最大の方法でゴブディンに必殺の蹴りを打ち込む!

 既にゴブディンには此方の動きを正確に認識出来ていない、剣を赤く発光させ構えているが最早その剣が自分に触れる事は無い。

 ゴブディンの剣を躱し、胸の中央に此方の必殺を打ち込んだ!

  

『(エタロー命名)エターナルブレイク!』


 !  ドオオオォォォォォォォォォンン! 


 ゴブディンが気付いた時には既に強烈な衝撃が鎧を貫き吹き飛ばされていた、何が起きたのかは分からなかったがコレだけは理解した。


 己が負けたという事が。


 ゴブディンを蹴り飛ばした後もおじさんは構えを解かずにいた。

 そして、ゴブディンはゆっくりと起き上がって此方を見つめた。


「オレバ マケダのか?」

 ゴブディンに打ち込まれた魔法陣が輝き始めた。


「ああ、そうだ」

 此方の魔導神装も解け始めている。


「ザイゴは ヨク ワガラナカッタガ イイ タタガイだった!」

 ゴブディンの内包するMP、SPが全て魔法陣へと収束して行き輝きが更に増す。


「こっちも必死だったからな余裕が無かったよ」

 完全に魔導神装を解除した。


「ハハっ タノシガッタ ありがとう」

 そう呟くと同時に魔法陣に収束したエネルギーが爆発する。


 ドガアアアァァァァァンンン・・・・・・


 爆発の際に発生した煙が辺りを覆う、時間と共に煙は薄れ。

 爆発の煙が晴れるとそこにドロップアイテムと宝箱が置かれていた。


「おじさんも良い経験になったよ、ありがとう ゴブディン!」



 

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