第46話 元おじさん・・・階層主の部屋。



「さて、実証見分と行きますか、ラヴィ予定通りに可能かどうか検証してくれ」

 そう告げて、ストレージから金属製の打撃道具を取り出す。

「了、準備は万全です、何時でもどうぞ」


 シャアァァ―――!

 絶賛威嚇中のキバウサギが駆け出して跳び付いて来た、攻撃方法がかみつきと体当たりしかないので、サイドステップで側面に回り込む様にかわして無防備な後頭部を打ち抜く、ゴキッ と骨を砕く音と腕に伝わる殺したという感触、ここで生きて行く以上慣れないといけないが・・・


「HP0を確認、目標の収納開始、ストレージへの収納を確認、マスター成功です」


 感傷に浸る暇もなく、淡々と仕事をしてくれるラヴィが頼もしくも有り難い、今は余計な事は考えない事にしよう。


 おじさんは直ぐにラヴィが収納した場所を確認すると、そこには毛皮(50㎝×50㎝)と魔石(微小)がドロップしていた。


「ドロップも有りか、ラヴィ、ストレージ内のキバウサギに変化は無いか?」


「解、変化無しです」

 ふむ、粒子に変換前なら収納が出来るという事か? ストレージBoxだから可能なのか? アイテムBoxでは可能なのか?


 良し、分からないなら検証だな! ウサギ狩りだ!


 その後、10匹程度のキバウサギを狩り検証した結果、以下の事が解った。


 ・ダンジョンに吸収される前であれば収集可能。

 ・アイテムBoxでも収集可能(但しコツがいるらしい、チャチャ談)。

 ・収納後に再度ダンジョンで取り出すと吸収される。

 ・吸収後に別でドロップ有り(牙と魔石微小がドロップした)。

 ・収納後にキバウサギの出し入れを繰り返したがドロップは無し。

 ・収納後、ダンジョンの外で取り出すとどうなるのかは不明なので後日検証。

 ・収納後、ストレージ内で解体し素材にすると取り出しても吸収されない。

 ・数回試したがダンジョン側からの規制は現在の所無し。


 以上の結果、おじさん少し興奮して来ました。

 素材やアイテムがほぼ2倍に成るぞこれ、誰も気付いていないのか?


「解、そもそもマスターの様な規格外の冒険者はそうは居ませんし、アイテムBoxは希少スキルです、易々やすやすと検証出来ませんし気付いたとしても公表しないでしょう」


「やっぱり危険か?」


「解、余程の考え無しで無い限り身の危険は感じ取れるはずです」


 そうだよな、遠隔操作での収集スキルが無かったら直接触れられる位置に常にいないと間に合わないよな、常に戦闘の真っただ中で待機とか恐ろしい。


 まずは、おじさんの考えがダンジョンに通じたのは少し嬉しいけどダンジョンマスターがもし規制を掛けてきたら困るのでサクサクと進めて行こう。


 ただ直ぐには、ソラが付いてこれないだろうから慣らしながら臨機応変に進めよう。


 

 ・・・そう思っていた時も在りました、ノワとチャチャの集中指導でソラの成長がいちじるしく、あっと言う間に現在5階層の奥、階層主部屋の扉の前です。

 ダンジョンには、各5階層ごとに階層主が居て討伐しないと先の階層に進めないそうだ、階層主は固定のモノも在れば、数種類からのランダムだったり、出現条件に依って決められた階層主が現れるモノと多様らしい、今回は固定型なので問題は無いが浅い階層なので冒険者も多く現在順番待ちである。


 軽い休憩の積もりで待って居たが順番が来るまで1時間位掛った、前に居たパーティー達は行儀良く進んでいたが、後ろの一部のパーティーがなんか揉めてるみたいなので、絡まれる前にサッサと入ってしまおう。


「おい!ちょ ギギギイィィ 良し行こう!  まて…バタン!


 ? 何か聞こえた様な気もしたが、きのせいきのせい。


 扉の直ぐ前は広い空間に成っていて、中央に階層主が待ち構えていた。


 では、〈スキル:神羅眼〉使用!


 —――—―—――――――—―――――――――


【種 族】 ダイアウルフ


【年 齢】 0歳


【性 別】 ♂


【状 態】 通常


【レベル】 10


【心体力】


H  P:180/180


M P:60/60


S P:170/170


筋 力:50


攻撃力:50


体 力:40


防御力:40


知 力:15


精 神:15


速 度:60


器 用:25


魅 力:20


幸 運:35


【スキル】


・噛みつき:Lv4 ・爪撃:Lv4 ・咆哮(恐怖):Lv3 

・身体強化:Lv4 ・気配感知:Lv3 ・統率:Lv1

・連携:Lv4 ・遠吠え:Lv3

【補 足】


・大型の狼、群れで行動する。

・咆哮に抵抗失敗すると恐怖状態に陥るので注意。


 —――—―—――――――—―――――――――


 群れで行動するのに一体だけとは是如何これいかに。

 少し可哀そうに思ってしまう。


 そんな風に考えていると、ダイアウルフが息を吸い込んだ!

 いきなり咆哮かい! そう小言を言おうとしたその時、二つの影がダイアウルフに攻撃を加えて咆哮を阻止した。


 もしかして今の咆哮って初見殺し?

「解、事前情報が無いと高確率でハマります」


 おおっ、チャチャ、ノワ、ナイス!

 そうやって感心していると、2匹でダイアウルフを片付けてしまった。

 やばい、早く収納しないと!


「了、既に収納完了です」


 ・・・あれ? みなさん、優秀過ぎません? まぁ、取り敢えずは。

「チャチャ、ノワ、ありがとう! そして、おつかれさま!」「キャン」


「ニャア、ニャ」「ミャ、ミャア」


 両手を上げてハイタッチをする、ああっ肉球の感触が心地良い!


 さて、ドロップは何かな?


 ダイアウルフの毛皮(150㎝×150㎝) 魔石(中) ダイアウルフの爪×5

 木製の宝箱


 おお、ダンジョン初の宝箱! 幸先が良いね今回は! 先ずは鑑定だ!


 —――—―—――――――—―――――――――

 【宝箱】:Eランク・罠なし・施錠なし

 階層主討伐の報酬

 —――—―—――――――—―――――――――


 罠も施錠も無いので木製の宝箱を開けてみた中身は何かな?


 ・銀貨10枚

 ・低級HPポーション×2

 ・ダイアウルフの毛皮のコート

 ・狼耳のカチューシャ&狼の尻尾


 中々良さそうな物が入っているな。

 コートは冬場は暖かそうだし、ケモミミは色々とはかどりそうだし、尻尾は・・・? 大人のオモチャ?

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