第44話 元おじさん・・・迷宮都市到着。



 移動5日目、今の所何事も無く移動中、新たにソラを乗せているが後部座席で外を眺めている。

 助手席にはチャチャが座っていて、口を半開きにして気持ち良さそうに寝ている。


「ラヴィ、アバルナには何時頃着く予定?」


「回答します、このままのペースですと本日の昼頃には到着すると思われますので、人気の無い所に一度降りてから歩いて街に入るのが宜しいと思われます」


「やっぱり、飛行での移動は速いな、一度慣れると普通の移動法はもう無理だな」


「補足します、通常の飛行による移動でも、魔物が襲って来ますのでこの様な快適な移動には成りません」


「ああ、やっぱり飛行型の魔物が襲撃してくるんだ」


「回答します、最低でもワイバーン便位で移動しないと狙われます。

 稀に飛行型のマジックアイテムが在りますが魔物からすれば良いエサです」


「確かに、余程性能が良くないと一方的に襲われそうだな」


 でも、飛行型マジックアイテムってどんな物だろうな少し興味あるな。


「マスター、そろそろアバルナの外壁が見えますので移動を徒歩に切り替えて下さい」


 ラヴィの指示に従い、街道から見えない位置にフィ〇ット500を降ろして徒歩型装備に着替える、リュックサックはソラが加わったので性能は同じで左右と後部に特殊収納袋を取り付けたタイプⅡ型に変更した。


 見た目は普通の旅の冒険者風に姿を装い、誰にも気付かれない様に街道に移動した。

 街道に出てしまえばこちらのもの何食わぬ顔で街へ入る列に並び呆気ない程簡単に入る事が出来た、衛兵さんに冒険者ギルドの場所を聞き、まずは冒険者ギルドに向かう事にした。


 アバルナの冒険者ギルドに到着し、先ずやっておくのがソラの従魔登録だ!

 うちの子達は可愛いから悪い奴らに目を付けられるかもしれないだから事前の備えは大事だ。


 早速受付に向かう、昼頃なので空いていたなのでラヴィがお薦めの受付嬢に声を掛けた。 

「すみません、お尋ねしたい事が在るのですが宜しいでしょうか」


「はい、アバルナ冒険者ギルドへようこそ!どの様な御相談でしょうか」

 ファンタジー定番の青色ショートヘアーのスレンダー美人の受付嬢さんがにこやかに応対してくれた。

「報告します、B80W59H85 渋めのおじ様好きな未経験者です」

 ・・・ラヴィさん、いつもの事だと安心していたら別の情報を投げ込まないで。


「じゅ、従魔の登録をしたいのですが書類を頂けますか」

 そう言って登録料500パル(銅貨5枚)支払った。


「確かに受け取りました、此方が従魔登録の書類と成ります。

 書き終わりましたら、書類とギルドカードを提出して頂き、登録する従魔を確認させて頂きます」


 説明を受けてサッサと書類に必要事項を記入して、ギルドカードと一所に提出してリュックサックからソラを取り出し確認してもらう、ミニチュアコボルトはやはり人気が在るらしく、受付嬢のお姉さんが仕事の顔を忘れて破顔していた可愛かった。


 我に返った受付嬢さんは少し気まずそうにしていたので、ソラに魔法刻印を刻みながらダンジョンについて質問したら、快く答えてくれた。


「先程は失礼しました、私はアバルナ冒険者ギルド受付のアナシアと申します。

 クロウさんはダンジョンに挑戦しにアバルナにいらしたのですか」


 当たり障りの無い様に答える。

「挑戦って程じゃないです、レベルも低いですし浅い階層で身の丈に合った依頼をこなそうかなと思っています」


「しっかりとした考えなのですね、無謀な事をしないのは良い事だと思いますよ」

 ふむ?

「無茶をする方達が多いんですか?」

 アナシアさんは少し困った様に。

「以前は減少していたのですが、ここ最近は増加していて、アバルナのダンジョンは難易度が高くまだ未踏破なので様々な冒険者が挑戦に来ていますが、流石に発見されて300年以上攻略されていないと昔ほど無茶な攻略をするパーティーは減ったそうなんですが、此処最近結成したばかりの新人パーティーが既に中間層の20階層を攻略しそうな勢いでして、それに触発された・・・いえ、酒場で煽られた若い冒険者達が無茶な攻略を始めてしまいその結果が・・・」


「ああ、ケガ人の増加や行方不明者の増加ですか」


 ため息を吐きながらアナシアさんがうなづく。


「遺体は放置されればダンジョンに吸収されてしまいますから・・・。

 ハア、彼らも他の方達を煽らないでくれると良いのですが、流石にギルドが注意するのは話が違いますし」


 まぁ、冒険者の軽いいざこざに冒険者ギルドが介入するのも可笑しな話だしな。


「そんなに優秀なパーティーなんですか」

 個人情報だからそんなに深くは聞けないだろうが少し嫌な予感がする。


「ええ、能力的には優秀です、Dランクで20階層まで行けたのは彼らが初めてですから、古参の皆さんは焦りを感じているのでしょうし、若い方々は自分達でも出来ると思ってしまってその結果結構支障が出ていまして、ですからクロウさんは無茶しないで下さい」


 綺麗なお姉さんに見つめられると照れてしまう、分かりましたと返事をしてから御礼を言い、そのまま依頼の掲示板を見たが特に良さそうな依頼が無かったので冒険者ギルドを後にした。


 取り敢えず、ダンジョンは明日にしてラヴィの案内で素泊まりで従魔もOKの宿に泊まった、今回はきちんと全部含めて支払いをした。


「さて、ラヴィに意見を聞きたいのだけれど、例の新人パーティーってさ」


「回答します、恐らくマスターの考え通りだと思います」


「転移者か?」


「肯定します、学生組だと思われます」


「大人が居れば流石に煽らないか? う~ん、大人イコール常識人では無いしな、何とも言えないか」


 下手すると鉢合わせるかな、出来れば接触したくないなぁ。


 そんな事を願い、マヨヒガに戻り明日の準備をしてから就寝した。


 まぁ、明日はダンジョンを楽しもう!

 

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