第42話 元おじさん・・・どうする?
只今、野盗の拠点手前に潜伏中。
周囲を柵で囲んだ小屋が数件の集落?的何か。
「ラヴィ、索敵結果はどうだった?」
「回答します、生体反応3,内訳 赤2 黄緑1 以上です。
他生体反応は在りません、ただ、霊体反応は在ります、黄5です。」
「・・・もしかして、被害者?」
「回答します、女性の被害者です」
はあぁ、胸糞悪い! ん、黄緑は生存者か?
「回答します、黄緑は人間では在りません、ここからでは
「ふむ、だとすると魔物かな?」
実際に確認しないと判らないから後回しで、まずはお留守番の方々に大人しくして貰おうか。
「サポートします、脳内マップに表示しますので、参考にして下さい」
おお、拠点内部のマップが出た、入口は表と裏の2つ、一人は表入口の見張りで、もう一人は裏口のあれ?…寝てるのかこれは?
「回答します、居眠り中の様です、奇襲しますか?」
「もちろん、据え膳は頂かないと失礼だ」
気付かれない様に〈スキル:隠密〉を使用して裏口に回り込み、消音魔法発動後、木の棒で全身痺れ状態にして、バインド魔法で簀巻きにして猿ぐつわを嚙ませたら柵の裏側に放置した。
表入口も内側には無警戒だったので内側から近づき同じ手順で梱包後放置した。
「邪魔者が居なくなったのでそれぞれで探索しようか、でもトラップには気を付ける様に!」
「ニャイニャイ」 「ミャウミャウ」
チャチャとノワにも探索を手伝って貰う事にした、楽しそうに散開して行く。
「さて、おじさんも行きますか、ラヴィ首領の住処は分かる?」
「回答します、マップに表示します」
おお、ここか! では家探し♪ 家探し♫
首領に居住場所は他の小屋とは違い、平屋だが良い作りの建物だった。
このままでも、開拓拠点とかに転用出来るかもな。
「回答します、可能ですが、発見されなければ魔物の住処に成ります」
ああ、ゴブリンとかオークとかの妖魔系だったか?
「回答します、他にも種類は居ますが概ねそれらが住み着き易いです。」
最後に破壊して措くか、さて中はどうなっているかな?
「お邪魔します、・・・うわ、臭っ! 汚っ! 浄化魔法発動!」
汚部屋だった、一部を除きどの部屋も同じだった、特に寝所が酷かった。
価値の在りそうな物は大して見つから無く、最後は一番作りが頑丈に出来ている部屋を残すのみと為った。
「さて、作り的には貴重品を保管する為の場所だと思うのだが? ラヴィ、施錠と罠はどうだ?」
「回答します、施錠はされています、トラップは在りません、開錠しますか?」
「うん、開錠よろしく!」
「了解しました、〈無属性魔法:ロックブレイク〉発動!」
パキッ っと乾いた音と共に錠が砕けた・・・なんか思っていた鍵開けと違う。
「回答します、再利用されない為の措置です」
そうだね、再利用されると困るよネ、さて御開帳と行きますか。
ギギギィと立て付けの悪い音を立てて開く扉、手持ちの懐中電灯で中を照らした、そこそこ広い室内には様々な物品が雑多に置いてあった、整理整頓の出来無い奴らで在る、・・・はぁ。
「ラヴィ、価値の在りそうな物は確認出来るか?」
「回答します、貨幣の他は幾つかのマジックアイテムと価値の高い素材、ポーション類、宝石貴金属、貴族関係の装備品、貴族関係の不正の証拠等です」
「・・・貴族関係は価値あるの?」
「回答します、上手く
「命も狙われそうだが、何処かの街にでも捨てて置くか面倒だし」
「貴族の装備品は?」
「回答します、主に身分証明の為に授けられた物でしょう。
推測ですが、貴族の不正の証拠を何処かに届ける途中で野盗に襲われたものかと思われます」
「え~、じゃあ捨てるのは不味いのか?」
「証拠と告発文を確認しましたが、事実と認定されれば御家取り潰しの内容です。
本当に面倒でしたら、神殿にでもお布施と一緒に突っ込んで置けば処理してくれますよ・・・たぶん」
「結構曖昧だな、まぁ臨時収入は有ったからそこから出して神殿に押し付けるか。」
余計な物を見つけたがもうここには何も無いからさっさと出よう浄化はしたけどまだなんか臭い。
平屋を出ると、チャチャとノワが既に待って居たが、チャチャは困り顔、ノワは何かを抱えていた。
「何か収穫が在ったのかい?」
そう訊ねるとノワが嬉しそうにソレを掲げた。
「みゃ!」 「きゅう~ん」
柴犬? 子犬? ネコがいぬ? ???
「回答します、ノワが抱えているのは、〈ミニチュアコボルト〉です。
コボルトの亜種で希少種です、その温厚な性質から愛玩用として乱獲されています」
ほんと業が深いな人間は!
「回答します、集落が見つかると問答無用で襲撃し隷属の首輪や束縛の首輪などで自由を奪い、主に貴族や金持ちへと売られます」
じゃあ、この子が首に付けているのが
「回答します、束縛の首輪です、行動の制限が出来ます、解除しますか?」
・・・何でも出来るなラヴィは、じゃあ解除でお願い。
「私は出来るナビゲーションですから! 解除します、マスター首輪に触れて下さい」
ラヴィに言われて首輪へと手を伸ばす。
「今からその邪魔な首輪を外すから大人しくしてね」
声を掛け乍ら首輪に触れる、子犬は大人しくしている良い子だ。
カチャリと音が聞こえると共に首輪が外れる。
「これで良しっと」
首輪をストレージに回収して、子犬の頭を撫でて。
「よくがんばったね、えらいぞ」
褒めてやった。
「きゃん、きゃん!」
嬉しそうに尻尾を振り答える、するとノワが。
「みゃ、みゃあ!みゃみゃう!」
どうやら家で飼いたいらしい。
あれ?これって子犬を拾って来た子供が親に飼って良いか頼み込む状況?
「いやでも、この子の親とかもしくは飼い主が居たら」
「回答します、契約の類はされておりませんフリーです、この状況です、親を見つけるのはほぼ不可能です」
あれ、ラヴィはそっち側? はっ!
「みゃ~」「きゅ~ん」うるうる
待って! やめて! そのうるうるした眼で! しかも下からのぞき込む様に見つめないで! 何か悪い事していないのに良心がガリガリと削られて行く!
「・・・くっ、 ちゃ、ちゃんと面倒をみるんだよ」
膝を着くおじさん敗北しました、勝てません。
「みゃあ~!」「きゃん!」
まぁ、嬉しそうにくるくると回って、そして、肩に肉球をポンと置くチャチャ。
「にゃあ~」
慰めるなら、さっき援護してよ!
「にゃあにゃ!」
え、無理、お前は逆の立場なら出来たのかって?・・・ごめん。
こうして、うちに新しい家族が増えました。
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