第41話 元おじさん・・・人助けをする。



 おはようございます。

 今朝も元気に出発です。

 昨晩の内に、内容設定を済ませたので後は呪文を唱えるだけの簡単なお仕事。


「移動㋮法(馬)発動」


 呪文も無事に発動し、そこに現れたのは赤いフィ〇ット500。


 一応、色は別にしたのだけどもやっぱりいいね!


「マスター、色を赤くしても3倍速くはなりませんよ」


「分かってますぅ、気分の問題です!」


 ふむ、これで4輪バギー同様にストレージに設置した召喚用倉庫に登録して置けば少量のMP消費で召喚出来るな。


「外観は古めかしいが内装と機能は高級車並みにしてあるぜ、高級車乗った事無いけどね!」


 シートの座り心地の良さと空調機能の充実に力を入れました。


「チャチャ、ノワ、シートベルトは装着したか?」


「ニャ!」 「ミャ!」


「良しでは、クロウ・クローバー フィ〇ット500 出る!」


 セリフと共に空へと舞い上がる、・・・やはりシートに座りながらの運転は楽で良い。

 操縦はハンドルだが、あくまでそれは気分の問題で操作自体は思念で可能なので形にこだわらなければ只の四角い箱でも良いのだが、モチベーションって大事だよね。


「これで、花嫁でも襲われていたら完璧なんだが・・・そう起きないよね」


「提案します、御希望でしたら周囲にイベントが無いか検索しますか?」


「え、いやただの独り言だから気にしないで、イベントって実際の現場に姿を出すのはコミュ障には勇気がいるのよ。 ラヴィ!」


「そんなマスターに残念なお知らせです、検索結果は0件でした」


「いや、残念じゃないでしょ! 襲撃イベントなんて誰が得をするの」


「回答します、私がマスターの雄姿を脳内HDDに記録出来る事です」


 ・・・あれ? ラヴィ、壊れた?


「回答します、正常状態ですので御安心下さい。

 マスターに心配をされましたので今日の所はこの辺に致します」


「・・・あ~、いい天気だ♪ なあ、チャチャ」


「にゃ~♪」


 その後何事も無くその日を終えました。




 おはようございます。

 昨日は少々大変でしたが、今日も快晴の中、快適なドライブ中です。


「マスター! イベントです! 襲撃イベントです!」

 ラヴィが嬉しそうに報告して来た。


「襲撃を喜ぶんじゃありません、被害に遭う人がいるんだから!」


「御安心下さい、いきなりの襲撃では無く包囲してからの武装解除と生命の保障をチラつかせ交渉からの無力化を図っています。

 勿論、約束を守る気は無い様ですが、いかが致しますかマスター♪」


「ああ、もう嬉しそうにして、知ってしまったら見過ごせないだろう!

 これ、自分が対処出来るのか?」


「回答します♪もちろん余裕です!」


「・・・ちょっと待ってね、 これは仕事、これは仕事、プライベートじゃ無いこれは仕事、・・・」


「マスター?」


「おじさんのコミュ障はね、気持ちを切り換えないと大勢の人前に出るのも覚悟が要るの!」


「提案します、でしたら〈スキル:ヤル気スイッチ〉や〈スキル:精神抑制〉の習得を致しますか?」


「・・・前案はやらかしそうだから保留で、後案は緊急時以外はやめて、日常の感情は自分にとって大事な物だから」


「了解しました、そろそろ準備は宜しいですか?」


「応、心も装備も準備完了だ! チャチャ、ノワ、車で待機OK!」


「ニャニャ!」 「ミャウ!」


「ラヴィ、逆光に成る高い場所に停めてくれ、フィ〇ット500はステルス状態で待機」


「了解しました、条件に合致したポイントに移動します」


「さて、始めようか!」





 2㎞先地点


 20人近い野盗が2台の荷馬車を集団を囲んでいる。

 野盗の首領らしき男がニヤニヤしながらいたぶるのを楽しむ様に声を掛ける。

「さっさと降伏しな! 素直に条件を吞めば命は保証するからよぉ(開放するとは言っていない)」


「そんな条件、吞めるか!」


「おいおい、何なら殺し合いでも良いんだぜ! だがなぁ、その時は皆殺しだぞ! 良いんだな!」

 くっくっくっ、まあ、どちらでも男は皆殺しだがな、女は楽しんでから生きていたら奴隷商人に売り付けるがな!



『待てい!』 ♪~♬BGM使用中♫~♩


「誰だ!」


『言葉の底が見えすいた嘘、見るに堪えない下手な芝居、頭の悪い馬鹿げた振る舞い。

 人其れを茶番と言う』


「誰だてめえは!」


『お前達に名乗る名前は無い!』


 革の外套で身を包み、女神ドゥジィンの虹宝玉の仮面で正体を隠し、野盗から逆光に成る高い木の天辺に浮遊魔法で立つ、そして野盗を見下ろし不敵に笑う!


「てめぇ、そんなイカレタ格好でふざけてる『〇〇タービームゥ!(非殺傷)』バシュー!   ぎゃー!あが・・」 しゅう~。

 おじさんの額から打ち出された七色の光線が野盗の首領を打ち抜く。

 首領の体からは煙が出ている、大丈夫かアレ?


「回答します、問題ありません!遠慮無くヤッテ下さい」


「か、頭! おい! 早くあいつを撃ち殺せ!」

 野盗達が弓を構え一斉に放とうとして来た、ならば此方はコレだ!


『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

 拡散し降り注ぐ光線は野盗のみを打ち抜いて行く。


「「「ぎゃあぁ」」」 「「痛てぇ」」 「たすけてぇ」 「「があぁ」」


 周囲で野盗達がのたうち回っている・・・拡散だと威力が低いのかな?


『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

 『ふぅ』

『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!

『拡散〇〇タービームゥ!(非殺傷)』 バシュー!ババババババババッ!


 ・・・良し、動いてる野盗は居ないな、・・・もう一回位行って

「進言します、マスターもう十分かと思います」


 ラヴィに止められて、もう一度周囲を見回す・・・うわぁ、助けられた側が凄い引いてる、やり過ぎたな一方的とは言え初めての大勢の人間との戦闘で冷静でいられなかった・・・もっとスキルを併用して冷静に動ける様にしないとな、これからの課題だな。

 さて・・・良し、逃げようこれ以上関わりたくないから!


 踵を返しその場から離れようとすると。

 

 集団の代表のような人物が慌てて声を掛けて来た。

「お、お待ちください、た、助けて頂いた御礼を此方に降りて来て頂けないでしょうか!」


 ここで降りたら捉まるな。

『急いでいるのでこれで失礼する』


 するとさらにアタフタして。

「せめて、せめて御名前を!」


 仮面をして素性を隠している奴が名乗る訳ないだろ。

『・・・ジョン・スミス』


「有難う御座います! ジョン・スミス様」


 名乗ると直ぐに、木々を飛び移り感知されない所まで移動してから車に乗り込んだ。


「あんな感じで良かったのかな?」


「回答します、少々やり過ぎの所も在りますが、油断するよりかはずっとマシです」


「ところで、あの人達は商人か何かかな?」


「回答します、方向から言ってこの先の集落へ行商に行く途中だったと思われます」


 なるほど、野盗からすれば絶好の獲物だったのか。

 ん? と言う事は、拠点が近くに在る?


「回答します、正解です!ボーナスタイムです」


 次は、拠点へ強襲か!

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