第40話 元おじさん・・・趣味と騒動。



「クロクロォ~! ラヴィが! ラヴィが! オレのセリフを盗ったんだぁ~。」


 現在、いつもの集会所でエタローの愚痴を聞いている。


「それは大変だったねwww。」


 笑顔で慰め、おもむろに気付かれない様にアレを装着した。


「何で笑って!ちょまっ ぷっくく、あははははははははっ ギャハハハハハハハハハァ ハァ ハァ も もう かんべ  n・・・・・・・・・・」


 気絶した様だ、大した効き目だ、山賊・野盗位なら無力化出来るな。


「じゃあ、エタローおやすみ♪」



 移動2日目 特に異常無く、快適な空の旅だ。


「ラヴィ、空飛ぶ4輪バギーより空飛ぶ車の方が移動するの快適じゃないか?」


「回答します、負担は少ないと思いますが現在のマスターでは、軽自動車が精々ですよ。」


「小型自動車の認識で良いんだよな」


「その認識で結構です」


「じゃあ、外観はアレにして中身は快適な作りに改造しよう」


「マスター、趣味全開ですね」


 明日が楽しみだぁ。


__________________________



 オルーマン冒険者ギルドSide


 コンコン、ノック音が鳴る。

「入って良いぞ」


 ドアが開き、男女が1人ずつ入って来た。


「サブマスに呼ばれて来たが何か急用かギルマス」

 はげ アゲインが質問する。


「急用では無いが、以前から調査していた件で中間報告が在ってそれを伝えて置こうと思ってな、それと厄介事が増えたので注意喚起も含まれている」


「ああ、南東の森林の調査だったな、確かドラゴンが出たって言う胡散臭い話の」


「そうだ、胡散臭いはともかく複数人が咆哮を聞いたと証言していたからな、姿に関しても遠目でチラッと見えただけらしいが、無視する訳にも行かないからな、少数精鋭で調べて貰っていた、朝方に中間報告が届いてな、報告結果は異常無しとの事だったが、安全を取って後2日調査したのち帰還する様に伝えて置いた」


「結局痕跡は見つからなかったのですか?」

 ミラルが訊ねるとギルマスは。


「・・・痕跡は在ったらしいが、その後が綺麗さっぱり消えて居るらしく調査の続行が出来ないそうだ」


「・・・そうなると直接調査した本人達から詳しく聞く他無いですね」


「まあそうだが、異常が無ければ、南東の森林も再度開放出来るからまた忙しくなるだろう」


「まあ、忙しいのは良い事だがな、飲んだくれ達も少しは働くだろうよ」


「皆さん暇そうでしたものね」

 くすくすとミラルが笑っていた。


「・・・でだ、ここからは信用の置ける者以外には話せない事だ、他言無用だぞ!」

 ギルマスが語尾を強めた、両者も重大性を感じ取り強く頷いた。


「ザコニーリ商会のザコニーリが殺害された、犯人は4人組の冒険者だ」


 !!


「まさか、うちの関係者か?」


「いや、流れ者の冒険者だ・・・ただ、ここにも寄っているのだその連中」


「あちゃ~、うちも無関係じゃないってことか?」


「・・・いや、それだけじゃ無くてなかなり訳が解らない行動をしていてな、調査している衛兵も困って此方に相談と情報の交換を申し出て来た」


「何したんだ、その連中?」


「まとめて説明する前に補足だがザコニーリは違法奴隷の販売をしていた事が発覚している」


「やっぱりやっていたのですね、噂はされていましたが、確証が在りませんでしたから噂止まりでしたけど」


「それらも含めての話だ、まずその4人組はザコニーリの部下が雇った連中で直接ザコニーリに結び付かない様に幾つか仲介が入っていたそうだ。

 その雇った部下も行方が分からないそうだがな。

 4人組の役目は、手頃な新人の冒険者と指示された対象の誘拐だったらしい。

 ・・・リルルカの誘拐騒ぎ覚えているか、あれもザコニーリの仕業だったらしい、当時の犯人は始末されていて辿り着く事が出来なかったが、未だに狙っていたらしくギルドの隙を突いて誘拐する計画を立てていたらしい。

 今回、オルーマンに滞在していたのもその為だったそうだ」


 アゲインは、ギルマスの話を聞いて頭が真っ赤になる程に怒りが込み上げて来た。

「要するにザコニーリは、その4人組を使ってリルルカを誘拐しようとしていた訳か!」


「他にも居る可能性は在るが恐らくそうだろう。

 何せ計画書が見つかっているからな、ザコニーリは余程の小心者なのか常に重要な書類や財産は自分以外取り出し不可の専用マジックバックにしまい込んでいた様でな、遺体の側にどうやったのかマジックバックが手付かずで放置されていたそうだ」


「内輪揉めによる金品の強奪じゃないのか?」


「金品には一切手を付けていない、それどころか隷属奴隷にされていた者達を開放してその金品を渡している位だ」


「訳が解らんな、その中にだって4人組の被害者だって居た可能性だって在るだろう」


「ああ居たぞ、その被害に遭った彼女らが衛兵に証言したのだから間違い無いだろう。」


「ますます解らん、どう考えてもそいつら常習犯だろう?」


「証言では終始無言で、唯一話したのが「ごめんなさい」と嫌々言わされている様な謝罪だったそうだ」


「・・・裏に誰かいるのか?」


「分からん! ザコニーリの証拠の中に取引相手の貴族の名前が可成り在るらしいがその関係か? それとも別の勢力か? 4人組も既に早朝馬で正門を出て行っているのが確認されている、追跡の追手は出ているが何処に向かったのかが判らないそうだ」


「ザコニーリ側の生き残りはどうなんだ?」


「・・・全員死んでいる、生きているのは一切関わって居ない使用人達だけだそうだ。

 ただ此方もそれを鵜吞みにするつもりは無い、リルルカには暫く気付かれない様に護衛を付ける、職場ではお前達も警戒して置いてくれ」


「ああ、任せて置け!」 「承知しました」


「今回はここにリルルカが居なくて良かった、妙な所で勘が良いからなアイツは、経緯はどうあれ謹慎処分は此方としても都合が良かった。

 ただ、サブマスが現在役立たずになっているがな」

 

 そう言いながらも和やかに笑い合っていた。



 


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