第35話 元おじさん・・・オルーマン出立。



 冒険者ギルドに向かう途中やはりと言うか尾行されていました。


「回答します、冒険者ギルドに居た赤反応4つの残り2つです。

 因みに冒険者ギルドにも赤反応が2つ在ります」


 めんどくさいな如何どうにか成らないだろうか。


「回答します、現在の状況では此方側からも相手側からも何も出来ません。

 もう少し此方のスキルレベルが高ければ対処出来ましたが現在は無理です」


 うわ、スキルレベルが上ると如何にか出来るんだ怖いな。


 ラヴィと不審者達への対応を話し合いつつ冒険者ギルドへと到着した。


 昨晩の予定道りに受付へ向かい、ミラルさんに話しかける。


「ミラルさん、クロウです。ギルドカードの更新出来そうですか?」


「ようこそ、冒険者ギルドへクロウさん、その件でしたら問題無く許可が下りましたのでDランクへの昇進が認められました。

 おめでとうございます。

 ギルドカードの更新を致しますので、カードを此方にお渡しください」

 ミラルさんがそう言いながら両手を出したので。


「有難う御座います。では、此方をお願いします」

 そう返し、ギルドカードを渡した。


「では、只今更新いたしますのでお呼びするまでお待ち下さい」


 ひとまず、ギルドカードの件はこれで良いでしょう。

 近くの長椅子に座り、ミラルさんのお呼びを待つ。

 後は、不審者の件かぁ めんどくさいなぁ いてしまうのが一番楽なんだけど・・・見逃せないよな、やっぱり。

 ああっ! もう! 損な性格だ! 絶対他でもやらかしているだろうし見逃せば誰かが犠牲になる、後悔したくない自己満足の為に行動するのだから・・・本当に嫌な性格だ!


 ・・・ん? あれ? みられてる? 不審者じゃない! 位置的に素材買取・受取カウンター?

 リルルカ(胸がつつましい)さん? ふむ、熱い視線だ!

 ・・・まさか、おじさんに惚れた! しかし、年齢差が・・・あ!今はほぼ同い年か。

 どうしよう、女性からのを誘いはあの詐欺師女以来だしなぁ、自分で声を掛けるのもなんか怖いし(へたれ)。


 どうしよう、「・・・・ん」 先ずは共通の知り合いを通して「く・・・さん」 あ、自分ボッチだった。「クロウさん!」 おっわっ!


「びっくりした!」 !!め、眼の前に大きな双丘が・・・ごくり!


「クロウさん!聞いていますか!」

 ミラルさんの声で我に返った、いかんあれは魔性の双丘だ!


「あ、すみません! 考え事をしていて聞こえませんでした」

 素直に謝ろう、目線がバレない様に頭を下げて。(注・大抵バレているらしい)


「もう、大丈夫ですか?冒険者なのだから油断するのはダメですよ」


 おお、お姉さんぽく叱ってくれている、此方は座っているから見上げる姿勢で魔性の双丘が・・・はっ、まさかワザと強調している! もてあそばれている? このまま食べられてしまう性的な意味で!

 ・・・いかん、朝からエロ本なんか見たから思考がおかしな方向に向かってしまう。


「大丈夫です、御心配掛けて済みません」


「いえ、此方こそ大きな声を出してしまいました。

 こちらが、Dランクのギルドカードです」

 そう言いながらギルドカードを渡してくれた。

 

 ああっ! カードの受け取る位置が微妙に双丘に触れそう。

 まあ、触れる事無くカードは貰ったけどね。(へたれが!)


「クロウさん、これは色々な冒険者をみて来た受付嬢としての御願いです。

 EランクからDランクへの昇進は簡単に出来ますが、本当に大変なのはCランクへの昇進です、そこで上手く行かずに無理をして亡くなる冒険者や大怪我をする冒険者を沢山見て来ました。

 ・・・クロウさん、無理だけはしないで下さい」

 ・・・他人に心底心配されたのは何時振りだろう。


「ミラルさん、有難う御座います無理はしませんよ」

 笑いながらそう告げた。


「・・・クロウさんは、暫く此方で活動なさるのですか?」

 今後の事を聞かれた・・・言っても問題無いか。


「こんなに早くDランクに成ると思っていなかったので、予定を早めてダンジョンに挑戦しようかと思っています、勿論浅い階層からですけども」

 無理はしないよアピールをしておく。


「そうですか、Dランクからダンジョンに入れますものね・・・無理はしないで下さいね」

 そうささやき、両手を握ってくれたが、両手の位置が双丘の手前。

 ああもう! 届きそうチョット力を入れたら届いてしまう!

 我慢しました、おじさん我慢したよ、雰囲気を壊さない様に我慢して、さわやかにお礼を言いつつ冒険者ギルドを後にしました。


 はあぁ、良い双丘だった!(このへたれが)無理です、出来ません、おじさんにはラッキースケベのスキルは在りません。


「回答します、スキル習得出来ます、習得なさいますか」(はい)(いいえ)

 ・・・いいえでお願いします。

「了解しました、もし必要に成りましたら再要請して下さい」


 ・・・いい天気だな。「曇りです」 ・・・こんな時ラノベだと、ミラルさんが胸に秘めた想いを告げに追い掛けて来たりするけども。


「報告します、不審者が4人尾行しています、・・・マスター、後方より別反応あり、此方に向かっています・・・接触まで3・2・1」


 まさか本当に告白に、急いで振り返ると・・・ハゲが居た。


「はぁ、はぁ、よ、良かった、追い付いた! 坊主…いや、クロウさん話があるんだ、聞いて貰えないだろうか頼む!」


 ア、ハゲインさん・・・まさか、そっちの趣味が、ええぇ~。(少し引いた顔をする)

「・・・嫌な思いをさせたのは、本当に済まない・・・ただ道中では話づらいので屋台通りの近くまで来てくれないか、あそこなら座って話せるし飲み物も奢るから。」


 そんなに思い詰めていたのか? だがおじさんはそっちの趣味は無いからきっぱりお断りしなくては、昔おっさんのホモ上司に困っていた後輩を思い出す。

 禍根も残さずきっちり言わなくては、・・・いくぞ!


 屋台通りの近くの席に座り、アゲインさんが途中の屋台で買った果実水を渡して来たので受け取った。

 〈スキル:神羅眼〉使用!

 

 _______________


 スッピーの果実水:春にみのるスッピーの実を絞り水と混ぜた飲み物。

 冷やすとスッキリして美味しい。

 異常は無し

 ________________


 良し!盛られていないな。


「有難う御座います」


「いや、此方こそ無理を言って済まない」

 思い詰めた表情で言いだし辛そうにしているので、此方から切り出した。


「アゲインさん、何やら思い詰めた顔をしていますが、自分から先に伝えたい事があります宜しいですか」


「…ああ、構わない言ってくれ」


「自分は、男同士に御ホモ達の趣味は無いので諦めてくれ!」

 良し、きちんと伝えたぞ。

「はあ?」

 ん、聞こえて無かったか?ではもう一度。

「自分は、男同士に御ホモ達の趣味は無いので諦めてくれ!」

 今度は聞こえただろう。


「・・・いや待て、何の話をしている?」

 なんか、顔が赤くなってるな、照れてる?


「アゲインさんがホモで「何でそうなる!」・・・え、最近ホモの集団に尾行されているから、てっきりその関係かと・・・違うの?」

 頭を抱えるアゲインさん。

「そ、それは大変だな、だが俺の方は別件だ! 後俺はホモじゃない、妻も居るし娘も居る、男じゃ無く女が好きだ!」


「・・・分かりました、疑って済みません」


「分かってもらえれば良い」


「マスター!今から此方の指示道り行動して下さい、では・・・・・・・」

 ラヴィが指示を出して来たのでそれに乗った、最善策なのだろう。


「アゲインさん、冗談はこれ位にして置きましょう。

 要件については分かっています、此方も大事にするつもりは在りません。

 少し反省して貰えれば・・・多少の罰で済ませるつもりです」


「分かった、責任を持って言い聞かせる、で罰って言うのはどんな罰なんだ」


「なに、理由は話せないが13日間の鑑定系スキルの封印だ、軽いだろ13日間経てば元道りに成るのだから、納得出来ないなら・・・」


「いや待て、納得する納得させる、しっかり反省もさせる俺たち大人がしっかり教育する、それで勘弁して欲しい必要なら冒険者ギルドから賠償金も出す様に掛け合う」


「賠償金は、結構ですよただ今後の彼女の為にもこの言葉を伝えて下さい」


『・・・、・・・・・・・・・』


「わ、分かった一言一句間違えずに伝える、今回は本当に済まなかった。

 そして、許してくれてありがとう」


 そう告げてアゲインさんは、冒険者ギルドへと戻って行った。

 そんな後姿を雲の隙間から差し込んだ太陽の光が彼の頭に反射をして光輝かせた。


 これで良かったのかな、ラヴィ。


「回答します、及第点です、ご苦労様でした、彼女もこれで懲りるでしょう。

 ではマスター、まだ問題は起こるでしょうが迷宮都市アバルナへ向かいましょう」


 出来れば問題無く旅がしたいなおじさんは。


 こうして、この先の騒動は約束されている中、交易都市オルーマンの門を出るのであった。





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